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カーテン導入でどのくらい変わる? 燃料コストやCO₂削減効果を見える化するソフトを誠和が無償公開

2024年7月24日、「LSスクリーン」で知られるLudvig Svensson社と誠和とが締結している日本総代理店契約の40周年を記念する式典が行われ、関連するソフトウェアが紹介された。両社はこれからも価値観を共有して、日本の施設園芸の先頭を走り続けていく。

熱効率を高める高機能カーテンは
「みどり戦略」に沿った必須アイテム

燃料費の高止まりが、日本の施設園芸生産者を直撃している。また、みどりの食料システム戦略において、2050年までに「化石燃料を使用しない施設園芸への完全移行」が目標として掲げられている。燃料を効率的に使うことは、経営面だけでなく環境負荷低減という視点からも、今や施設園芸生産者にとって必須である。

そんな燃料の使用量を削減できる資材がカーテン(ハウス内の内張りフィルム)だ。優れたカーテンを使用すれば、作物が求める日照を四季を通じて確保しながら、夏は遮熱効果を、冬は保温効果を発揮して、熱効率を高めてくれる。

そんなカーテンのなかでも、特に高機能であり環境制御との相性が良い製品として知られているのが、誠和が販売している「LSスクリーン」だ。
 


 

「LS」とは、スウェーデンに本社を置く農業用内張被覆資材メーカー、Ludvig Svensson社(以下、LS社)のこと。「LSスクリーン」は誠和が独占的に輸入販売するLS社の製品である。このLS社と誠和との日本総代理店契約が締結40周年を迎えた。GPEC会場内の誠和ブースで行われた記念式で、LS社の4代目社長であるAnders Ludvigsonさんは以下のように述べた。

写真左:Ludvig Svensson社 CEO Anders Ludvigsonさん、写真右:株式会社誠和 代表取締役 大出浩睦さん

「私は創業社長から数えて4代目。誠和の大出さんも4代目です。両社はともに家族的な経営を大切にする企業として、農業に貢献してきました。この40年間で当社は世界中に支社を持つ資材メーカーに、そして誠和は総合施設園芸機器メーカーへと成長を遂げました。

誠和は当社にとって、日本市場における目であり耳。日本ユーザーのニーズを吸い上げて、商品開発にも寄与してくれています。私たちはビジョン、価値観を共有して、未来に向けて協力関係を強化して参ります」

「LSスクリーン」は5種類ラインナップしているが、白色のストリップをもつ「ハーモニー」は、誠和の提案によりLS社が製品化したもの。透過した光を散乱させる効果があり、作物に優しい光を届ける。散乱光だから作物の株元近くにまで届き、健康的で強い作物づくりに貢献する。

続いて、誠和の代表取締役を務める大出浩睦さんが、LS社製品のさらなる拡販と、将来展望について語った。

「みどり戦略が推進されている今、化石燃料使用量の削減を実現できる『LSスクリーン』が果たすべき役割は大きい。2023年には300万㎡だった『LSスクリーン』販売量を、5年後には400万㎡、10年後には500万㎡にまで拡大していきます」

また誠和は、LS社製品の取扱品目を増やすことを検討をしている、と大出さんは明らかにした。地面に敷いて光を反射させるグランドマルチや防虫ネットも、LS社製品は競争力が高いという。
 

燃料コスト削減を見える化する
ソフトウェアを無償公開

「LSスクリーン」を導入することで、どれほどの燃料削減効果が得られるのだろう? 農業生産者は、費用対効果を詳しく知りたいことだろう。地方自治体等は、削減効果を根拠をもって示すことができれば、補助金申請に活用できる。

それを実現するソフトウェアが、誠和が経済産業省中小企業庁の成長型中小企業等研究開発支援事業で開発した「施設園芸エネルギーデザインシステム」
生産性・エネルギー・炭素排出量を総合的に計算して、農業ハウス建設・省エネ資材導入・脱炭素の取り組みをサポートしてくれるソフトウェアだ。

「施設園芸エネルギーデザインシステム」特設サイト

例えば、新たに農業用ハウスを建設する際、高生産性を実現するために必要な熱量やCO₂量を可視化。コストのシミュレーションもできるから、どのようなハウスを建設すれば良いか、総合的に判断できる。

「LSスクリーン」と関係が深い機能も搭載している。カーテンを導入することで得られる省エネ効果とランニングコスト削減効果を可視化できるのだ。カーテンの組み合わせによる省エネ効果も計算できるから、最適なカーテンを導入できる。

シミュレーションにあたっては、ハウスが立地する地域、面積、連棟数、スパン数などの一般的な事項から、燃料の種類、単価、暖房機の熱出力などまで細かく入力する。だからユーザーごとに正確に、どのカーテンを導入したらどんな効果が得られるのかがわかる。さらに、シミュレーション結果はPDFで出力できるので、地方自治体等はこのデータを補助金申請に活用できる。誠和はこの「施設園芸エネルギーデザインシステム」の特設サイトをオープンしている
 


 
また、大出さんは「施設園芸エネルギーデザインシステム」のライセンスを、一部販売店や地方自治体に無償で付与する、と発表した。

「施設園芸を取り巻く環境は厳しさを増しており、それにともない投資意欲も減退傾向にあります。それでも、価値がある資材には投資すべきです。数字にして見える化することで、「LSスクリーン」の有用性が数字として見える化されます。

今後もLS社と誠和は力を合わせて、日本農業の最先端を走って行く所存です」と、大出さんは力強く語った。誠和の更なる進化に注目していきたい。

問い合わせ

誠和(LSスクリーン)
施設園芸エネルギーデザインシステム特設サイト


取材・文:川島礼二郎

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