“牛が最も快適に暮らす”酪農場、村上牧場
2018/02/09
やりがいに溢れた毎日が、楽しい!
「子牛の時から一頭一頭名前をつけて愛情たっぷりに育てると、とても懐いて、やがておいしいミルクを出してくれる。牛は、家畜であり家族でもある特別な存在です。牛自身は放牧より人間から配合飼料をもらった方が楽かもしれないし、幸せかどうかは人には判断できないけれど、できるだけ自然に近い形で健やかに育てています」。
そうして育った牛たちは、驚くほど人懐こく、穏やか。ストレスによっても生乳の質は変化するため、村上牧場のチーズが高品質である理由には、こうした愛情深い飼い方も起因していると言えそうだ。産業動物である以上、いずれは屠畜の日を迎えるが、死してなお愛情を注ぐのが村上牧場流だ。
「屠畜した牛は、取引先や仲間と一緒に解体して食べたり、革はなめして革製品にして販売したり、余すことなく利用します。牛を可能な限り生活に落としこんで糧として循環させることが、暮らしの充実にも繋がっています。安く安定的に供給する大量生産は合理的ですが、自然の循環の中で無駄を省いて食べ物を生む、僕のようなやり方も1つの合理性。豊かさの1つの形として、楽しみながら実践していきたいですね」。
幸せな牛とともになる、幸せな酪農家の姿がここにあった。
牧場内に併設された「ミルク工房 レプレラ」でも、アイスクリームやナチュラルチーズ各種の乳製品の購入が可能だ。
素材の風味が活かされたアイスクリームは、母・経子さんの手作り。チーズは、モッツァレラなどジューシーなフレッシュタイプ、熟成が進んだハードタイプがある。
photo&text: Yukiko Soda
AGRI JOURNAL vol.06(2018年冬号)より転載