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<若手農家の挑戦>マルシェで顧客開拓、その次は?

東京ならではの農業に可能性を感じた繁昌さんは、お客との交流を大切に考えさまざまな仕掛けを用意している。繁昌さんの目指す、農業のある暮らし方とは?

前記事:<若手農家の挑戦>新規就農に欠かせない人脈作り

農業を通して、自然の豊かさを知る

繁昌さんには農業を通じて「自然に優しいライフスタイルを提案したい」と考えている。みどり豊かな里山で、土に触れ合い、自然の恵みをいただく。その幸福感を一人でも多くの人に感じてもらいたいとの願いから、収穫体験も始めた。野菜の原点や、獲れたての味を知ってもらうことも狙いだ。

募集人数は1回につき15人ほどで、マルシェやSNSで募集する。これまでに3回を実施したが、マルシェの常連や、そのお友達が参加してくれたそうだ。
参加者からは「都心から1時間もかからない場所で、農業体験が出来て癒されました」「獲れたての野菜が嬉しい!」との歓喜の声があがった。また、繁昌さんがメインに育てる江戸東京野菜や全国の在来種は、「見るのも、食べるのも、めずらしい」と喜ばれた。

畑に顧客を呼ぶことは、より強固な信頼関係の構築に役立つ。マルシェは顧客とのコミュニケーションの場として有効な場ではあるが、一人で農作業もこなす農業者にとってはオペレーションコストが大きい。
「今後は、お客さまとの信頼関係を築きながら、個人宅配の割合を増やしていく予定です」と意気込みを語る。

暮らし方のロールモデルの提案

また、繁昌さんは農業だけでなく、豊富な森林資源を活かす林業や廃材利用などにも注目する。人口減少が進んでいくなか、従来型の大量生産・大量廃棄の社会からの脱却を目指し、環境負担の少ないライフスタイルの可能性を示すためだ。

それを伝えるひとつの手段として、農業をビジネスとして選択した。そのためにも、自身で経済が回る仕組みを体現する必要がある。繁昌さんは、5年以内には研修生を2、3人受け入れながら、1500万を稼ぐことを目標とする。そこに、林業などを組み合わせ「新しい暮らし方のロールモデル」を構築する取り組みを始めて行く予定だ。もしロールモデルが出来れば、多くの社会問題に対応できるかもしれないと夢は膨らむ。
「例えば、日本だけでなく人口が急増するアジア都市部と連携して、持続可能性のある社会への問題解決に取り組めたら嬉しいです」と、にっこりと笑った。

 


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photo: Kentaro Kumon, Misaki Yanagihara text:Tomoko Kotaka

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