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農村での「のびのび子育て」のウソ・ホント

農村での子育てには「のびのび」としてる、というイメージがあるけれどそれって本当? 農村で4児を育てる大津さんに聞いたところ、「一概には言えない」との答えが。いったいどういうこと?

農村でののびのび子育て、
勝負時です

南阿蘇村という熊本の農村で、4人の子供たち(小6の双子、小3、2歳)を育てています。「農村でのびのび子育て」というのは、幼少期についてはイメージ通りでしたが、「選択肢がない」という点で、学齢期からは一概に言えないぞ、というのがここ数年の実感です。

学校や先生が悪いわけでは決してないのですが(むしろのどかな農村では優しい先生が多い)、「この校区に住んでいるからこの学校しか選択肢がない」という状況には、問題がありそうです。

「自分の人生なんだから、自分で考えて行動するように」と育ててきた我が家にとって、この場所に住んでいるからあの学校に行きなさい、と頭ごなしに言うわけにもいかず、これまで海外を含む様々な選択肢を見せた上で、冬休みに入ってすぐ、家族会議を開催しました。

結論から言うと、我が家らしい選択肢に決まりました。つまり、家からは遠いけど、子供たちが「行きたい」と言う学校への進学を決めたのです。親にとっては「いばらの道」に等しいですが、子供たちの意欲を尊重することにしました。

保育園を2度中退し、学校も昨年、今年と続けて「2学期からは行かない」と言い出した3年生の三男にいたっては、「どの学校に行く」という選択肢の前に、「学校に行くか行かないか」という選択肢で揺れ続けています。

ごく簡単に言うと、彼は「規格外」なんです。体の大きさも、精神年齢も。だから保育園も、「他にやることがある」というのが中退の理由でした。社会性がないわけでは決してありません。友達もいます。でも3年生と言う規格からは大きく外れているのです。

そんな彼を「学校に戻そう」とするのは、そろそろ諦めようかと思っている今日この頃です。豊かな自然の中でのびのびと育った子供たちが、今後どのような思春期を経て力強い大人になっていけるのか。「農村での子育て」は、これからが勝負時と言えそうです。

プロフィール

大津愛梨

熊本県南阿蘇村在住。O2ファームを営む4児の母。農業(無農薬米の栽培、あか牛の放牧)を営む傍らバイオマスの普及、実践に取り組む。都市と農村交流や地域活性化、文化伝承など様々な事業にも精力的に活動。


AGRI JOURNAL vol.06(2018年冬号)より転載

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