若手農業経営者が語る、農業クラウドの選び方
2018/05/24
4月25日(水)、「できる.agriセミナー」が千葉県で開催された。AI潅水施肥システムを提供する「ゼロアグリ」と圃場の見える化ツールを提供する「アグリノート」の担当者と、千葉県の若手農業経営者4名が登壇し、農業におけるIT活用法や補助金の活用などについて語られた。
農業経営セミナー
千葉で開催
4月25日(水)、「できる.agriセミナー」が千葉県で開催された。AI搭載の土壌環境制御システム「ゼロアグリ」を提供する(株)ルートレック・ネットワークスの前方さん、圃場管理やJGAP認証の取得に向けた取り組みも可能な「アグリノート」を提供するウォーターセル(株)の藤原さん、そして、現在千葉県で農業経営に成功している、小島農園の小島さん、GREEN GIFTの鈴木さん、農業生産法人ベジフルファームの田中さんと長山さんが登壇。セミナーでは、主に農業におけるIT活用法や補助金の活用などについて語られた。
成功した農業経営者が使っている
ITサービスとは?
キュウリ、トマトなど施設野菜中心の農業経営をし、JGAP指定農場にも登録されている小島農園では、環境測定のデータサービスを重宝しているという。「以前は、勘に頼って栽培をしていたが、環境測定器を取り入れ、データを視覚的にみられるようになり、栽培環境の改善に役立ちました」(小島さん)。小島さんが実際に利用しているのは、株式会社誠和の「プロファインダー」。誠和の開催する勉強会に参加することにより、栽培環境のデータをとる重要性などをより理解できたという。
白砂ねぎを栽培し、JGAP認証も取得しているGREEN GIFTの鈴木さんは、アグリノートを利用している。理由は、「安価なのに必要な機能は十分にあったので」と鈴木さん。自分に合ったツールを活用したくて、「さまざまな展示会を回り、試しにいくつかのサービスを同時に利用してみました」(鈴木さん)。しかし、「他のサービスは費用が高すぎて、利用し続けるには現実的とは言えなかった」という。
アグリノートは1ID月額500円から利用できる。安価なため、サービスを利用する農家さんは多いが、「アグリノートは記録をし続けないといけないので、大規模な圃場の管理、生育の記録、コスト計算、JGAPの取得など、明確な目的がないと続かない農家さんも多い」(藤原さん)という。将来的には、「アグリノート」の自動記録のサービスを取り入れると話していた。
頻繁な土壌分析を行いながら、主に小松菜を栽培している、農業生産法人ベジフルファームは、農業用のクラウドサービスは利用せずに、自己流でGoogleドライブを活用して、スプレッドシートに記録をつけているという。「紙ベースでやっていることに限界を感じ、(グーグルは無料なので)お金をかけないかたちで、記録を始めた」(長山さん)。見ずらいときもあるが、現状はこれで満足だという。
実際に利用している
補助金制度は?
登壇した3社のうち、小島農園とベジフルファームの2社は補助金制度である新「輝け!ちばの園芸」を利用していた。新「輝け!ちばの園芸」は千葉県で行われている産地整備支援事業であり、認定農業者・認定就農者であれば、パイプハウス等の施設整備、機械の導入、老朽化した温室等の改修に要する経費の4分の1が補助される。農家の方からは、「輝け!ちば」と呼ばれており、この補助金制度を実際に利用している農家は多い。
鈴木さんは、農林水産省の耕作放棄地の補助金を利用し、国から農業機械の2分の1の補助金が出たという。
農業におけるさまざまなサービスがある中、今回登壇した成功している若手農家の3社は、それぞれ自分たちに合った活用をしていた。むやみに使うのではなく目的にあったサービスの選択と活用が、成功への近道になっているようだ。