生産者の取組み

仲間が集まる農場づくりを! 地域に愛される「農福連携」成功事例

農業者と障害者の双方にメリットがあるとされ、近年注目を集めている「農福連携」。茨城県つくば市の「ごきげんファーム」もそんな農福連携を実践する団体のひとつ。地域の人々に愛され、ともに畑を楽しむ関係性を築くまでの7年間を聞いた。

障害のある人もそうでない人も
“ごきげん”になれる社会へ

「農園を始めた頃は、地域の方に怒られてばかりでした」。そう話すのは、大学在学中に農業と福祉、2つのテーマに出会い、農福連携を実践する「ごきげんファーム」をスタートさせた代表の伊藤文弥さん。

<ごきげんファームとは?>
地域の耕地放棄地を使い、年間30品目70~80品種を有機栽培。農作の他に稲作、竹細工、養鶏、レストラン事業を展開。合計100人以上の障害のある人が登録制にて働いている。

●ごきげんファームの歩み

 

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農業初心者と障害のある8名のスタッフで始めた「ごきげんファーム」。野菜づくりも地域との関係づくりも始めはそう順調ではなかった。挨拶をしない、日曜日にトラクターをかけるなんて、とマナーのなさを叱られ、収穫時期を過ぎた野菜が実ったままだと農業経験を持つ近隣の方々をやきもきさせた。

見る目が変わってきたのは順調に野菜を収穫できるようになってから。「がんばっているね」と声をかけてもらえることが増えてきた。同時に「ごきげんファーム」側からも地域の方々へのアプローチを始める。人手が必要な時期に地域の農家に手伝いに行く農業ヘルパー事業や、地域の方向けの体験農園事業から始め、今は収穫祭や餅つき大会など季節のイベントを開催。地域の人と働き手である障害のある人たちがともに楽しめる場を定期的につくっている。

「僕らが目指すのは障害のある人と地域の人が垣根なく場を共有でき、お互いが〝ごきげん〞になれる社会。『障害のある人たちを応援して』とただ訴えても、理解は深まりません。だからこそまず僕ら側から地域に貢献することと、地域との関係性を築けるようなイベントを大切にしています」。

「ごきげんファーム」を運営するNPO法人つくばアグリチャレンジ代表理事の伊藤文弥さん。1988年生。2011年、五十嵐立青氏(現つくば市長)とともに同法人を立ち上げた。

8年目を迎え、応援してくれる人は順調に増えている。収穫した野菜セットを配送する「ごきげん野菜便」は、近隣3市向けのサービスだけで400世帯超が利用するまでに。また昨年、今年はクラウドファンディングで集まった支援の力も借り、稲作、レストラン、養鶏と新たに3つの事業をスタートさせた。

同地でカフェを開いていた鳥山さんの協力を得てスタートした「ごきげんキッチン」。建物はそのままに、クラウドファンディングで集めた資金でウッドデッキスペースを新設した。

「クラウドファンディングはお金を集めるというよりも、認知度を上げ、支援者や仲間を増やすことが目的でした。地域以外の新しい支援者の方たちと繋がれたのがすごく大きかったです」。

福祉の側にも立つ伊藤さんは農業の魅力をこう語る。

「農業は地域の人たちと一緒にできるという素晴らしさがあります。地域を盛り上げること、障害のある人たちが暮らしやすい社会をつくること、どちらも手応えを感じています。農業と福祉がつながったときの可能性はまだまだあるはず。これからもそれを追求していきたいですね」。

DATA

ごきげんキッチン


茨城県つくば市大角豆(ささぎ)2012-921
TEL:029-858-5400
休日:日曜日 ※定休以外の祝日は営業
営業時間:11:30~18:00
ランチタイム11:30~(ラストオーダー14:00)/ティータイム15:00~(ラストオーダー 17:00)


photo: Daisuke Tsuduki text: Makiko Fukuda

AGRI JOURNAL vol.9(2018年秋号)より転載

 

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