若手農家必見! 「事業承継」を成功させるポイント
2018/09/10
「人・もの・お金・情報・顧客」が揃った状態でスタートする農家の事業承継。今ある強みを活かしながら、新たなビジネスモデルを構築するためのポイントは何だろうか? 宮治勇輔の「こせがれで変わるニッポンの農業」
大切なのは、
ビジョンを掲げること
農家のこせがれには、すでに先代に「人・もの・お金・情報・顧客」という経営資源があり、それを見つめ直す事業承継の機会も与えられている。
先代の経営資源を理解し、強みと弱みを把握、その強みをベースにしながら自分ができることを組み合わせ、新たなビジネスモデルを構築する。それによって自分の代を、経営者として自信を持って舵取りできるようになる。
その時、大切なのはビジョンを持つこと。「儲かりそうだから」「流行っているから」という安易な理由で動くのではなく、「こんな農家になりたい!」というビジョンを掲げ、そうなるには何から着手すべきか、課題はどこにあるのか、どんなアイデアが活かせそうかなどを洗い出す。その上で、先代に対して事業承継を打診することをオススメしたい。
たとえ、先代にビジョンが理解されなくても諦めることはない。一般企業では社内の一事業として、あるいは子会社を設立して挑戦するように、先代の元で新事業として始めるのも方策だ。成功すれば、先代も無視できなくなる。
そうして少しずつ自分の存在感を高めていけば、先代もビジョンを理解し、事業承継にも応じてくれるはずだ。
事業承継とは
「超友好的な乗っ取り」である
自分らしく、実家の農業にイノベーションを起こす。僕も27歳で「宮治養豚」を承継する際、単に父親の仕事を受け継ぐのではなく、生産から顧客の口に届けるまでを一貫してプロデュースすることができれば養豚の仕事に魅力を感じられると思い、ビジョンを掲げて承継した。
事業承継とは、これまで(先代)の価値を、これから(自分)の価値に転換するための「超友好的な乗っ取り」なのだ。
事業承継の年齢が若いほど、承継後の業績が伸びる割合が高いという調査結果もある。
焦らせるわけではないが、早いに越したことはない。いや、今日からでも事業承継に取り組んで欲しい。
プロフィール
宮治勇輔(みやじゆうすけ)
神奈川県藤沢市在住。農家のこせがれネットワーク代表理事。実家の養豚業を継ぎ、2006年に株式会社みやじ豚を設立し代表取締役に就任。一次産業をかっこよくて・感動があって・稼げる3K産業にするべく活動中。
AGRI JOURNAL vol.08(2018年夏号)より転載