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生産者の取組み

教えておすすめ製品! 先進的な視点で農業経営を行う生産者は何を買ったの?

先進的な視点で一歩先を行く生産者にインタビュー! それぞれのフィールドで挑戦を続ける5組の生産者の方々に、買ってよかった製品やいま欲しいオススメの製品を聞いた。

業務の大幅な効率化を実現!
会計・請求書などをクラウド連携

もりやま園

森山聡彦さん

弘前市出身。大学卒業後、先祖代々のりんご農園を家族で経営。りんご農家が直面している高齢化や継承者問題を農家目線で研究し、業界初のICTシステムを開発。2015年に「もりやま園」を設立し事業を展開。

オススメITEMを教えてください!

Agrion果樹
マネーフォワード クラウド

「Agrion果樹」は、果樹の全品種の全作業工程を見える化するアプリです。経営者を農作業から解放し、新規事業や経営改善に専念することを可能にしてくれます。

また、「マネーフォワード クラウド」を使って、会計、請求書、給与といった業務をクラウドで連携することで、事務作業を大幅に効率化できました。引継ぎも楽です。クラウド上で共有できるので、会計事務所との連携も完璧。生産部、加工部、営業部等、全売上、全経費を部門別に記帳することで、部門別損益計算や資金繰り表を作るのが簡単。銀行への融資相談や、社内での資料作りもスムーズにできます。

今年挑戦したいことは?

本を書きたいと思っています。会社を8年目で10倍に成長させてきた道のり(原体験から、ビジネスアイディアを磨き、プレゼンして資金を集め、会社を起こし、人を雇い、お金を借り、補助金を取ってきて、商品開発して、メディアに出て、営業をして、コミュニケーション術を学んで、会社の仕組みを作り、会社の理念を掲げ、社員と向き合い、社員の心を動かし、団結力を引き出し、利益を生んで、賃金を上げて……)と、これから何を目指すのかを書いて、目標を実現するために必要な資金を出してくれそうな人の心を動かしたいです。

いま欲しいものはある?

録音した音声をテキストに変換するボイスレコーダーや文字起こしエンジン。また、Agrion果樹の活用方法を動画で配信したいと思っているので、YouTubeでの動画配信のための、動画編集ソフトが欲しいです。

システムを統一! 業務改善へ
共有・タスクの進行もスムーズに

大野農園

大野栄峰さん

東京でファッション関連の仕事をしていたが東日本大震災をきっかけに家業である農業を後継。2012年5月、後継と同時に「大野農園株式会社」を法人設立した。 りんご、ももなどを栽培し、数々の賞を受賞している。

オススメITEMを教えてください!

kintone

いままで、会計、在庫、労務、販売管理等は各社のクラウドシステムを使用していましたが、バラバラの情報を一括管理したく、サイボウズのクラウドサービスである業務改善プラットフォーム「kintone」を導入しました。システム構築後は「1.ほぼ全ての管理システムが連動」「2.ログイン窓口、画面の統一」「3.使用料がkintoneのみ」という理由で、生産性向上に繋がりました。その他、オンラインショップの受注も連動できて、社内の部署間の共有、タスクの進め方もスムーズになっています。

今年挑戦したいことは?

現在、業務の「定量化」に力を入れています。「各部署で抱えているタスクを洗い出し」→「スケジュール化」→「業務工程内容における時間、数の記録」→「分析・改善」→「目標値設定」を繰り返すことで、今日より明日、今年より来年と生産性を上げていけるよう進めています。記憶ではなく記録することを習慣化し、定量化して改善につなげることに力を入れて取り組んでいきます。

いま欲しいものはある?

梨のV字ジョイント栽培に取り組む予定です。早期成園化と省力、軽労化、収量向上の3つを実現すべく平棚の慣行栽培から、最新農業技術を導入したいです。今あるもの、現在の環境の中で改善できることに関しては、日々知恵を出し合い改善を進めていますが、物理的に投資をしていかないと改善されないことは、前向きに投資を惜しまず進めていきたいと考えています。



移動時の電子書籍がおすすめ
手軽に持ち運べる「Kindle」

アグレス

山浦昌浩さん

32歳の時に長野で就農。中国、上海郊外の農場経験を経て、株式会社アグレスに入社。広い視野と柔軟な思考の若い農業人を育てるスタディツアー、「農スタ」を企画し、海外の農業視察の運営を行う。

オススメITEMを教えてください!

Kindle Paperwhite

私は農業法人に勤めていますが、今は現場を離れ事業企画や開発を仕事としており、出張に出かけることも多くあります。その移動時間も有効活用したいので、本を数冊携帯していくことが多かったのですが、書籍はやはり重い。そんな時に、Kindleは1冊の文庫くらいの重さでたくさんの書籍を持ち歩けるので楽です。変化し続ける社会の中で農業のイノベーションを生み出すためにも読書は基本となると思っているので、手軽に持ち運べるKindleをお勧めします。

今年挑戦したいことは?

まだコロナ禍が明けたとは言い切れませんが、行政や海外の動きを見てもかなり規制が緩和され始めました。そういった中で今年はインバウンドも注目されていますが、同時に海外に目を向けることを意識しています。特に東南アジア経済はまだまだ人口増加もあり、経済発展も続くと思われる中で日本の農家としてもチャンスは無数にあると思っています。なので私自身が現地とつながりを作っていき、情報を集めると同時に日本の若手農家に海外に興味を持ってもらいたいと思っています。

注目の技術・サービスは?

「農業界でこんなものを活用したい」と思うものを作るのが私の仕事。現状では、海外に技術を学びに行くような視察旅行や研修は多々ありますが、若手が気軽に行ける金額のツアーなどは少ないように思えます。そんな若手農家のみなさんが参加しやすく、知識でなく知恵を育むようなツアーを企画しています。

公道も走れる電動キックボード
農作業のちょっとした「足」に!

青いTシャツ

竹本彰吾さん

「米作日本一技術者賞」の祖父をもつ、石川県加賀地方の米農家の10代目。たけもと農場にて、米・大麦・大豆の他に、国産イタリア米を生産。4Hクラブの歴代会長のほか、アグリファンド石川代表を務める。
今日からはじめる農家の事業承継』(家の光協会)出版! 

オススメITEMを教えてください!

電動キックボード「eXs1(エクスワン)」
ヤクルト1000
おてつたび

電動キックボードは、公道も走れる「eXs1(エクスワン)」を購入。田んぼの水回りや、軽トラックの回収など、ちょっとした時の「足」として大活躍。従業員との何気ない会話の際に出てきたリクエストだったんですが、こんなに良いものとは!

また、「睡眠の質が向上する」というお触れに「いやいやいや……」と思っていたのが「ヤクルト1000」。試しに購入してみると、寝起きのカンジが変わったのを実感してその後もリピートしています。ストレス社会なのでね。

「おてつたび」は、「お手伝いをしながら、知らない地域を旅する」お手伝い×旅というコンセプトのサービス。農作業をアルバイトしてもらい、宿泊や飲食を面倒みる。単なる労働力ではなく、交流を通じて、自分たちの再発見が出来ます。安い単価じゃないですが来る人来る人、いい人ばかり! 満足度が高いです。

今年挑戦したいことは?

コミュニティづくり。農家だけに限らないオンラインコミュニティを形成したく、Slackに招待してます! グループチャットで盛り上がったり、オンラインミーティングをしたり。気になる方は、SNSでボクにお声がけください(^-^)

いま欲しいものはある?

こんなのがあれば……レンタル先輩農家。レンタルおじさんのようなサービスで、相談やお手伝いをしてくれる農業者。ちょっと年上くらいがいいなーと勝手に妄想しています。

フルフラットの出荷場に
「ロールコンビテナー」を購入

のらくら農場

萩原紀行さん

大東文化大学経済学部卒業後、東洋エクステリア株式会社(現LIXIL)に営業職として勤務。退職後、埼玉県小川町の霧里農場に11か月の住み込み研修を経て、1998年に長野県八千穂村(現佐久穂町)に就農。現在は約7.5haで約50品目の作物を有機栽培している。『野菜も人も畑で育つ――信州北八ヶ岳・のらくら農場の「共創する」チーム経営』(同文館出版)発売中。

オススメITEMを教えてください!

ロールコンビテナー

まだ完成していないのですが、フルフラットの出荷場を建設中なので、値上がり前に「ロールコンビテナー」(ヤマト・インダストリー)を買いました。多品目栽培なので、手運び以上、パレット+フォークリフト未満の移動に便利です。ちょうど10個入るので、在庫計算も便利。折りたたんで重ね収納もできます。ダンボールなんかも可動式になるので、場所を固定化したくないときに役立ちますし、気軽に移動できるメリットがあります。冷蔵庫もしくは、出荷場内で事故を防ぐために、フォークリフトがこまめに入らない形を目指しています。

今年挑戦したいことは?

小分けとパッキング作業の時間を短縮したいです。畑に出る時間をどれだけ作れるかが勝負です。太陽さんの野菜袋詰め機(VF800)は持っているのですが、長めの葉野菜が厳しいのと、成功率が低いという難点があって、シーラータイプにする必要があるかなと思っています。

いま欲しいものはある?

来年以降の導入になるかもしれませんが、野菜の自動パック機を購入したいです。メーカーはまだ特定できていません。多品目の場合、袋を変えるのが非常に難しいので、悩むところです。




AGRI JOURNAL vol.26(2023年冬号)より転載

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