注目キーワード

最新技術

花き産業がアツい! 農水省も注目の「青いキク」

農水省によって選出され、年間の農業トレンドを指す「2017年農業技術10大ニュース」。そのひとつとして、農研機構とサントリーによって共同開発された「青いキク」がランクインした。これまで生産が難しいとされていた青色のキクだが、どのような方法で開花を成功させたのだろうか?

品種改良でも
開発困難!?

キクは日本の切り花出荷量の40%を占め、世界でもバラやカーネーションと並ぶ主要な花きとして知られている。赤、黄色、オレンジなど様々な花色のあるキクだが、青はなく、長年青いキクの開発が望まれてきた。しかし、そもそもキクには青い花もつ近縁野生種が存在しないため、交配をはじめとする従来の品種改良法では、青色のキクを開発するのは困難だった。

研究を重ね、ついに開花した
美しい青色のキク

そこで、農研機構野菜花き研究部門は、サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社と共同で開発をスタート。遺伝子組換え技術を用いて、青紫色の「カンパニュラ」と青色の「チョウマメ」の色素修飾遺伝子を導入することで青いキクの開発に成功した。

また、導入した2つの色素修飾遺伝子の働きで、構造を改変した色素とキクが元々もつ無色の物質(フラボン)が共存することで青色になることも解明。既に、デコラ咲きやポンポン咲きなど様々な花形のキクを青色にすることに成功している。

写真提供:農研機構

青いキクの誕生により、キクの高付加価値化や新たな用途の提案が可能となることに加え、バラ、カーネーション、ユリ、ダリアなどの他品種にも応用展開できる可能性があり、花き産業の発展に期待がかかる。

現在、青いキクの国内栽培・販売に向けて、野生種との交雑による生物多様性影響リスクを低減するための研究開発を、10年後の完成を目指し進めている。

問い合わせ

農研機構
野菜花き研究部門 広報プランナー 望月寛子
TEL 029-838-6575

関連記事

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. 土壌の保水力・保肥力を向上させる「EFポリマー」が畑作地帯・十勝に上陸!...
  2. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  3. 知らないと損する?!農家が販促に使える持続化補助金
  4. 凍霜被害は低コスト・高効率に対策できる! 防霜バイオスティミュラント資材に迫る...
  5. アゲトラ・コンプリートからDIYペイントまで! 軽トラカスタムがアツい
  6. JAが「農業協同組合」であり続けるために 経営危機を乗り越えるためにすべきことは?...
  7. 薄緑の葉色は「鉄欠乏」のサイン? 予防と対策は?
  8. 低コストで高耐久! 屋根の上で発電もできる「鉄骨ポリカハウス」
  9. 強力な多年生雑草もすっきり一掃! コメリのおすすめ除草剤「マルガリーダ」とは?...
  10. 10年掛かる土壌改良が短期間で可能に! 天然腐植物質に含まれる「フルボ酸」の効果とは...

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.30|¥0
2024/01/19発行

お詫びと訂正