早期かつ適切な治療の促進と死亡率低減を支援! 国内初の「牛の診療費補償サービス」
2020/05/14
デザミス株式会社と三井住友海上火災保険株式会社より「牛の診療費補償サービス」の提供が開始された。牛の疾病・事故を早期発見できるシステム「U-motion」に、牛の診療費を軽減する保険を付けたサービスで、早期かつ適切な治療を可能にする。
モニタリングにより異常アラート
保険によって診療費を軽減
デザミス株式会社と三井住友海上火災保険株式会社は、「牛の診療費補償サービス」の提供を開始した。デザミスが開発した牛の行動モニタリングシステム「U-motion」に、保険を付帯したサービスだ。
狙うのは、U-motionの行動モニタリング機能・アラート機能により、牛の健康状態をリアルタイムで把握し、疾病・事故の早期発見が可能とすること、そして畜産農家の診療費の自己負担分を補償することだ。牛の早期かつ適切な治療を支援する。
U-motionは、牛の首に取り付けたセンサーが牛の行動をモニタリングし、反芻・動態・横臥・起立などの牛の主要な行動を24時間365日記録することで、牛の健康状態をリアルタイムに把握できるサービスだ。集積された行動データを用いて、人工知能が牛の異変を自動で検知し、疾病・発情・起立困難などの場合はアラートで知らせる。2020年1月時点で、約10万頭の牛の行動データが集積されている。
U-motion利用契約により
デザミスから保険が提供される
本サービスでは、U-motionを装着している牛が、家畜共済※2の疾病傷害共済の補償対象となった場合※3に、組合員などの1割自己負担部分が支払われる。そのため診療費の全額が、病傷共済金と損害保険金によって補償されることとなる。なお、U-motionには保険が自動付帯されるため、畜産農家の保険料の負担はないとのこと。
※2:「農業保険法」に基づいて実施される家畜共済は、農業者があらかじめ農業共済組合(NOSAI)に共済掛金を出し合って共同準備財産を造成しておき、「家畜の死亡または廃用による損失」や「家畜の疾病または傷害の診療費の支払い」が発生した場合に、農業共済組合が被災した農業者に共済金を支払う制度。2020 年1 月以降に開始する疾病傷害共済では、初診料を含めた診療費全体の1割が自己負担となる。
※3:U-motionを導入していない牛は本サービスの対象外。プレゼントされる損害保険は、疾病傷害共済の共済金が支払われる場合のみ補償される。国が示す病傷事故給付基準外の診療費や、給付限度額を超える診療費については、病傷共済金と同様に保険金も支払われない。
診療費補償サービスのイメージ図
近年の畜産経営は、生産の集積化・大規模化が進んでいるが、集約化・大規模化を進めるには、規模に応じた体制整備の必要となる。デザミスによると、設備投資の負担や労働力不足によって、適切な個体管理が難しく、疾病や事故の見逃しも少なくないという。
牛の不調を見逃すことは、疾病の重症化や死亡による生産量の減少につながり、経営そのものを圧迫しかねない大きな問題となる。デザミスは、テクノロジーとデータにもとづく、次世代型畜産経営の推進が目標だ。
DATA
文:竹中唯