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中規模から大規模へのステップアップをサポート! “日本型”大型ハウス利用で高収量&安定生産を実現

施設園芸の世界では、水面下で進行していた実証実験の成果が現れ始めている。進化を続けるスマート化はどこまできたのか。そして、どこまで行くのか。最前線よりお伝えしよう。

日本施設園芸協会の
モデルハウス仕様とは?

施設園芸において、中規模から大規模化へのステップアップはハードルが高い。投資が必要である反面、事前にリターンを想像し難い。更なる雇用を想定した作業体系を構築する必要もある。そんな中規模ハウス経営者のステップアップをサポートすべく、日本施設園芸協会(JGHA)が動き出した。

JGHAとは施設園芸関係の企業等約80社が会員として加盟する団体。農水省、農業団体、研究機関、大学等の支援と連携・協力しながら様々な活動を行っている。2年に一度開催の『施設園芸・植物工場展(GPEC)』の主催団体でもある。

これまで農水省は次世代施設園芸の実証拠点を展開して来た。2013〜2017年までに、北は北海道から南は宮崎まで、全国に10拠点を整備。JGHAは、そこでの技術の実証・改良、それに研修も支援してきた。これらの拠点では、高度な環境制御により生産性は向上し、地域エネルギーも活用されており、成果をあげている。施設面積が極めて大きい(平均3.58ha)ため、このような大規模生産は急速に普及するには至っていない。



そうした背景のもと今回JGHAが提案するのは、中規模から大規模への拡大に向けた指針となるべく策定された『日本型大型(1ha)モデルハウス仕様』である。副題に「トマトで40t/10a以上の高収量・安定生産を実現するために」とあるように、トマトの大型ハウス利用で合理化を目指す生産者が主対象だ。JGHAの常務理事の高市さんが解説してくれた。

「1ha規模ハウスの合理的な仕様を標準モデルとして提案することで、施設園芸業界全体で設置コストの削減に取組み、効率化・合理化された魅力的な生産体制を広く普及することが狙いです。生産者さんには、30a、50aといった中規模ハウスからのステップアップの際に、次世代につながる姿として使って頂きたいです」。

1haのハウスを建てることが目的ではない。1haのハウスでトマト40t/10aの高収量を実現する、そのための仕様書である。1ha規模のハウスともなると、十数人の雇用が必要となる。そこで設備の選定においては、属人的でなく横展開できるように組織化した作業体系をとることを前提として検討したのだという。現場の感覚が盛り込まれているのは心強い。

「JGHAでは『日本型大型(1ha)モデルハウス』の実証・支援事業として、実証に協力いただける生産者を募集しています。3年間の事業実施期間で、栽培コンサルタント経費の一部補助、栽培管理や運営の改善のための専門家の派遣などの支援等を行いますので、ご興味を持たれた方は是非お問い合わせください」。



日本型大型(1ha)
モデルハウス仕様

モデルハウス構造

ハウス本体については採光性の高い新構造を提案している。間口8mスパンに1屋根として天窓幅の拡大・開口面積の拡大を実現。従来のダッチライト型ハウスと比較して高い採光性とコストダウンの両立を狙う。軒高は5.0mである。
 
モデルハウス仕様の内部設備


ハンギングガターによるハイワイヤー誘引栽培を前提としている。温風暖房機の利用、高機能環境制御システムによる高度環境制御と効率的な情報管理、レール式自動昇降・自走式高所作業台車等による作業効率の向上と安全確保を念頭に置いて過剰投資とならない仕様としている。


写真:松尾夏樹(大川直人写真事務所)
文:川島礼二郎

AGRI JOURNAL vol.16(2020年夏号)より転載

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2020年7月30日発行

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