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税務申告だけの簿記から卒業! 会計データを経営改善に活かすためのノウハウを専門家が解説

農業経営支援のコンサルティングを行う専門家と、30年以上農業者向けの会計ソフトを提供しているソリマチの対談。農業簿記のデータを経営改善に活かすためのノウハウを教えてくれた。

申告だけの簿記から経営改善へ

対談メンバー

・尾中 隆之さん(ソリマチ株式会社)
・木下 徹さん(農業経営支援研究所 代表)
茨城県JA中央会にて、県域事務集中記帳代行の体制構築やWebによる農業簿記システムの導入などを手掛けた後、より農業現場に近い立場を求めて独立。豊富な経験を生かして、全国のJAと農業生産者に農業経営に関する支援を行っている。
 


尾中さん(以下、尾中):弊社は「農業簿記11」を通じて農業生産者の皆様が簡単に青色申告ができるように努めていますが、今回のテーマは「経営改善」です。木下さんは全国各地でセミナーの講師をしたり、コンサルティングもしていますから、農業生産者さまと直接触れ合う機会が多いと思いますが、農業生産者さまに「経営改善」という考え方は浸透しているのでしょうか?

木下さん(以下、木下):様々ですね。傾向としては、経営規模が大きければ意識が高い方が少なくありませんが、小規模だと「青色申告だけで手一杯……」という方もいらっしゃいます。これは本当にもったいないことです。『農業簿記』は青色申告するためだけでなく、経営改善に活用できるのですから。

尾中:弊社としても『農業簿記11』を経営改善に活用して欲しいとは考えていますが、一般の農業生産者さまにとってはやはりハードルが高いものなのですか?

木下:そんなことはありませんよ。青色申告をしているなら、お金に関わる多くの部分を数値化できています。ですから、すでに経営改善の第一歩を踏み出している、ともいえます。後は「青色申告決算書の振り返り」をしっかり行えば良いのです。

尾中:なるほど!では、青色申告決算書のどの部分を見れば良いのか、アドバイスしていただけますか?

青色決算書の何処を見れば
経営を改善できるのか?

48番の所得金額に目が行きがちだが、この数字は 税務計算の意味合いが強い。重要なのは36番の差し引き金額だ。所得金額は青色申告特別控除額や専従者給与などを差し引いた後の金額であり、経営実態を表さないからだ。ただし、各種引当金・準備金等は経営実態を表したものであるため、厳密には「36番±各種引当金・準備金」となる。各種引当金・準備金を計上している人は覚えておこう。

木下:大切なのは「利益」を見ること。利益を大きくすることが農業経営の一つの目的ですからね。実際に見るべきなのは「所得金額(48番)」ではなく、「差引金額(36番)」という右上の項目です。

所得金額(48番)は青色申告特別控除額や専従者給与等を差し引いた後の金額であり専従者給与などは実質世帯収入にもなるため、経営実態を表さないからです。実際の所得としては控除前の差引金額(36番)の方が理にかなっています。この数字を昨年、一昨年と比較したり、参考にして来年の目標を設定することが経営改善の基本となります。

尾中:誰もがよく見る所得金額ではなく、差引金額を確認するというのは目から鱗でした。確かに経営には数値化=記録が必須ですよね。正しい数字を確認しなければ、経営実態の把握はできないということですね。正しく数字を確認して、過去の分と比較して振り返るという作業が経営改善なのですね。

木下:その通りです。経営の実態を客観的に把握して初めて、次に何をするか、という経営改善の話になるのです。六次化なのか、規模拡大なのか、高価格帯への進出なのか……進む道はそれぞれに違っていても、現状把握が必須であることに変わりはありません。

尾中:青色申告を行っている農業生産者さまは経営改善の入口まで来ていて、青色申告決算書の見方を覚えることから始めよう、ということですね。実は弊社では、会計のビッグデータの傾向を分析していまして、農業経営に関係した新サービスを準備しています。より一層、農業生産者さまのお役に立てるように、弊社も新しいステージに行こうとしています。ご期待ください!

対談まとめ

● 経営改善の第一歩は、青色申告決算書をしっかり振り返ることから始める。
● 「いくら残ったか」= 利益 =青色申告決算書の差引金額(36番)に注目して、安定した農業経営をおこなおう。

 
今回対談していただいた木下さんの農業簿記オンラインセミナー動画はこちら!

 

「農業簿記11」とは?


農業経営者の税務申告のための会計ソフト。農業向けに特化した勘定科目が備わっているから、初心者や会計が不得意な人でも導入しやすいのが特徴である。申告書類はもちろん、農業経営基盤強化準備金の明細書や収入保険で利用する収入金額計算書なども作成できるのが人気の理由だ。もちろん、記帳及び申告のデータは毎年蓄積されていくので、経営分析や経営改善にも役立つ。

取引データを自動仕訳!
インターネットバンキングを利用していれば、国内の99%の金融機関から利用明細を直接取り込むことができる。一般的な取引であれば、摘要から勘定科目を予測して自動で仕訳を起こすことが可能。これで、同じような明細を複数入力する作業から解放される。

クラウド保存で万が一でも安心
インターネット上にあるクラウドに農業簿記のバックアップデータを保存することができるサービス「安心データバンク」。災害やパソコンの故障によるデータの紛失を防ぐのに役立つ。初年度無料のソリマチクラブ会員であれば、インターネット環境下で利用可能だ。
 

 

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問い合わせ

ソリマチ株式会社東京本社 
TEL:03-5420-2205(農業代表)


文:川島礼二郎
絵:岡本倫幸

AGRI JOURNAL vol.18(2021年冬号)より転載

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