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【農業weekレポート】自動走行車から環境に配慮した資材まで、最新の農業製品が続々登場!

2022年10月12日(水)~14日(金)、第12回農業Weekが千葉県幕張メッセで開催された。ここでは、そんな農業Weekの展示物のなかから編集部の注目アイテムを紹介しよう。

農業Weekが開催
最新の農業製品が続々登場

農業Weekは、国際農業資材EXPO、国際スマート農業EXPO、国際6次産業化EXPO、国際畜産資材EXPOの4展で構成される展示会だ。同時に、国際ガーデンEXPOとツールジャパンも開催されており、農業関連としては日本最大級である。12回目の開催となる今回は、3日間で合計32,863名が来場した。農業Weekレポートの第3稿となる今回は、ソフトウェア・畜産以外の様々な製品・サービスをピックアップした。

<目次>
1. 果樹栽培に関わる作業を3割削減する可能性を秘めたヤマハ発電機の『果樹園作業支援自動走行車』
2. 生育指標を自動取得できるモニタリングシステムをキヤノンが開発!
3. 【ため池決壊問題】を解決する三菱電機の『みなモニター』! 
4. やまびこが「作業機の稼働データを記録・取り出しできるシステム」を展示!
5. 生分解性廃棄物由来のポリマーが土壌の保水力や肥料保持能力を高める

 

果樹栽培に関わる作業を3割削減する可能性を秘めた
ヤマハ発動機の『果樹園作業支援自動走行車』

最初にご紹介するのはヤマハ発動機が展示していたコンセプトモデル『果樹園作業支援自動走行車』。果樹園向け車両であることは分かるが、その用途は今一つ判然としない。ところが本車両が開発された背景にある研究を知れば、見方が変わる。順を追って説明して行こう。

このコンセプトモデルは、生研支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち人工知能未来農業創造プロジェクト)」の支援を受けて同社が実施した研究成果に基づいて開発された。展示会場では「人を支援する」様子が表現されているが、実際の研究では様々なことに挑戦した。その中心となるのが自動走行だ。

そもそも同社は電磁誘導式の自動運転ゴルフカーを市販している。電磁誘導式の自動運転とは、地中に埋設された磁力線に沿って自動運転できる、という意味だ。このゴルフカーにはバイワイヤの仕組み(スロットル・ブレーキ・操舵を電気的に動かす)が搭載されており、だから充分な信頼性と耐久性は既に証明されている。一方で、 ゴルフカーをベースにした車両でゴルフ用途以外のものがランドカーと呼ばれ、施設内の巡回車や送迎車として使われている。このランドカーが『果樹園作業支援自動走行車』のベースとされた。

説明してくれたのは、ヤマハ発動機 技術・研究本部 技術開発統括部 制御システム開発部センシンググループ主務の石山健二さん。
「バイワイヤはランドカーから流用できましたが、果樹園の作業には高精度かつ柔軟性のある移動が求められます。それを電磁誘導式で実現するのは不可能でした。また果樹園は樹木やネットの影響を受けるのでGPSのような全地球航法衛星システム(GNSS)は適しません。そこでLiDARによる走行制御を開発しました」

LiDARとはLight Detection and Rangingの略。日本語にすると、光検出と測距、であり、光(赤外レーザー光)を活用して離れた物体との距離を測る技術だ。自動車分野では、先進安全技術や自動運転に活用されている。同社は、このLiDARを用いることで自動運転を実現した。既に市場には似たコンセプトを持つ自動運転の作業車が市販されているが、それはRTK測位を採用しているものが多い。果樹園での高精度な自動走行という面で、同社が優位に立つ可能性がある。

果樹生産者が最も興味を持つのは「実際に果樹園でどんな作業ができるのか?」だろう。同社は研究において、農薬散布、下草刈り、収穫物運搬といった作業を本車両で行った。展示では整枝剪定摘果などの管理作業での使用を表現しており、「作業の手を止めて運転することなく、車に乗ったまま荷台とともにシートを上下させ楽な姿勢で作業に集中できる」ということをアピールしていた。

研究では、LiDARを搭載した自動走行車7台使用で全国17カ所、31の圃場で試験を実施した。その結果、年間作業時間を3割以上短縮できることが示されたという。

「3割以上の作業時間短縮は、機械だけでは成し得ません。(収量を落とさない範囲で)機械での作業に適した樹形=省力樹形を整備することが必須なのです。研究では、9種類の果樹(ナシ、セイヨウナシ、リンゴ、モモ、オウトウ、ブドウ、カキ、カンキツ、クリ)において、省力樹形による栽培体系確立を目指しました。」

ご存知のように、ランドカーは郊外や農村においては地域の足としても注目されている。仕様によってはランドカーは公道走行も可能だ。圃場と公道とをシームレスに行き来できる、というのも同社の強みとなる。今後の展開=市販化に期待したい。

DATA

ヤマハ発動機



生育指標を自動取得できる
モニタリングシステムをキヤノンが開発!

キヤノンが展示していたのは、生育指標を自動取得できるという『生育モニタリングシステム GM-1』。『GM-1』を設置しておくと、毎日、指定された範囲の画像を撮影してクラウドに送信してくれる。その画像は、キヤノンが独自の画像解析技術とディープラーニングにより構築したAIによる診断を受け、生育状況としてデータ化されるという。

生育指標のデータ化のイメージ

毎日画像を取り続け、生育状況を自動でデータ化することに、どんな意味があるのだろうか?教えてくれたのはキヤノンイメージコミュニケーション事業本部主席の田中祐行さんだ。

「確かに、一般の方にはサービスのイメージが伝わり難いですよね。現在のところ「GM-1」は、米の生育調査で活用していただく予定です。各都道府県やJAが生育指標を調査・公表していますよね?それらは人力で調査しています。葉色・茎数・草丈といった収量・品質に影響を与えるパラメータを、現地に人が行き、数えて記載して分析して……という作業です。その全てを自動化できるのが『GM-1』です」
本サービスの主な対象となるのは、全国の試験場や地方自治体である。2023年にはサービスの提供が開始されるだけでなく、他の作物への展開も視野に入れているという。農業生産の現場だけでなく生育調査においても、スマートな技術による効率化は進んでいるようだ。

DATA

キヤノン 

【ため池決壊問題】を解決する
三菱電機の『みなモニター』!

日本全国で近年、『ため池の決壊』が問題になりつつある。ため池とは、農業用水を確保するために人工的に造成された池のことで、全国に15万4,000カ所も存在している。ため池の管理は水利組合や集落などの受益者により行われているが、農家の減少や地域社会のあり方の変化などにより、管理・監視体制が弱体化している。その結果として2018年7月に発生した西日本豪雨でため池が決壊。濁流にのまれて子供が亡くなるという悲しい出来事も起きてしまった。これを受けて農水省では、ため池対策に乗り出している。現状確認や修繕の推進、ハザードマップの作成などを実施している。

では現場の管理者には、何ができるのだろう?ここに紹介するのは、三菱電機が出展していた製品・サービス。ため池の状態を遠隔で監視できる『水面状況監視サービス みなモニター』だ。ブイ型の水面センサーが、ため池の水位を自動計測する。そのデータをスマホやPCから確認できる。メール通知を搭載しているので異常時に見逃す心配もない。

太陽光パネルとバッテリーにより駆動するので、停電時でも計測を継続できる。また、ブイ型センサーを水面に浮かべるだけで利用できる=土木工事不要、とメリットは多い。農水省が指定している「防災重点ため池」への設置であれば、補助金制度も活用できるという。ため池の監視を軽労化するという、時代のニーズに沿った面白いサービスだ。

DATA

三菱電機

やまびこが「作業機の稼働データを記録・取り出しできるシステム」を展示!

建設機械などでは、機械の稼働データをクラウドに吸い上げて保守点検に活用する、というサービスが活用されている。手持ちの作業機でこれに挑戦しているのが日本の老舗作業機メーカーやまびこだ。展示していたのは『屋外作業機の稼働データメモリーシステム』。

チェンソーや刈払機が装備している点火コイルにモニタリングシステムを搭載することで、作業機の使用状況(稼働時間、エンジン回転数、機械温度)を、アプリを通じて把握できる。故障診断や時系列データによる労務管理に活用できる。

チェンソーは電波が届かない場所で稼働することが多いため、ネットワークと自動接続という仕様にはしていない。Bluetoothでデータを飛ばしてクラウドに上げる、という使い方だ。既に市販機に搭載できるレベルまで開発が進んでいる、とのこと。遠くないうちに、やまびこの作業機に新しい価値が加わることになる。

DATA

やまびこ 

生分解性廃棄物由来のポリマーが
土壌の保水力や肥料保持能力を高める

最後にご紹介するのは、2018年にインドで創業されたスタートアップ企業EFポリマーの日本法人が出展していた『EFポリマー』。膨大な水と肥料を必要とする世界中の農家を助けたい……という想いから創業された同社は、2019年、ノーベル賞を受賞したペーボ博士が客員教授を勤める沖縄科学技術大学院大学のスタートアップアクセラレータープログラムに採択された。2020年には日本法人を設立。その後、JAのアクセラレータープログラムにも採択されるなど、アカデミアのみならず農業の現場からも大いに期待されている。

EFポリマー日本法人の石井良明さんが説明してくれた。
「ジューススタンドから出る材料の絞りかすなどの生ゴミから作られた有機高吸水性ポリマーが『EFポリマー』です。土壌や作物に悪影響を与えることなく、水と肥料の施用量を減らし、より多くの収量を得ることができるようになります。ポリマーが持つ保水力と肥料保持力を活かした製品です。製品の体積に対して100倍もの水を吸水することができ、およそ40%の水を減らせ、20%ほど肥料の削減が期待できるんですよ」と教えてくれた。

節水・減肥といった直接的なメリットに留まらず、水問題や環境問題にも深く関与する注目の製品だ。既に市販されているので、気になった方は是非、同社にコンタクトして欲しい。

DATA

EFポリマー



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