【九州農業WEEKリポート④】温室栽培の燃油代を削減する蓄熱放熱材

2026年5月27日(水)~29日(金)、西日本で最大規模の農業・畜産の総合展「第4回九州農業WEEK(通称 J-AGRI KYUSHU)」が、熊本市のグランメッセ熊本で開かれた。出展したソリューションのなかから、温室栽培の燃油代を削減する蓄熱放熱材を紹介する。

<目次>
1.日本とアジアの農業市場の 持続可能な発展に貢献
2.温室栽培の燃油代を 削減する蓄熱放熱材

 

日本とアジアの農業市場の
持続可能な発展に貢献

 


展示会場のグランメッセ熊本(熊本市)

 
農業WEEKは、毎年5月に熊本市のグランメッセ熊本、10月に千葉市の幕張メッセで開催される農業・畜産の展示会。農業資材、スマート農業製品、畜産資材、6次産業化製品、脱炭素・SDGs製品が日本国内だけでなく世界の国々から出展され、農業法人、畜産農家、農協、参入検討企業などが九州及び近隣のアジア諸国から来場する。

九州農業WEEKは、「日本とアジアの農業市場の持続可能な発展に貢献する」ことをビジョンに掲げ、農業に関わるすべての人にベネフィットを提供することを目指している。会場のグランメッセ熊本は、九州各地からアクセスが良いため、西日本で最大規模の展示会として定着している。今回は、「スマート農業EXPO」、「農業資材EXPO、「次世代 農業経営EXPO」、「畜産資材EXPO」、「農業 脱炭素・SDGs EXPO」の5つの展示会に約300社が出展し、期間中、約11000人の来場者がつめかけた。
 

温室栽培の燃油代を
削減する蓄熱放熱材

株式会社精和工業所の展示ブース

株式会社精和工業所は、兵庫県伊丹市に本社を置き、温室向け資材などの開発・製造を手がける企業である。同社が開発した不燃性潜熱蓄熱放熱材「エネバンク」は、温室栽培の脱炭素と収益向上を両立するソリューションだ。

昼間の余剰熱を蓄え、夜間に放熱することで温室内の温度を安定させる仕組みを持つ。ハウス内の両サイドや上部、栽培ベッド下など、栽培スタイルに合わせて柔軟に設置できるのが特徴だ。指定温度で相変化する際に放熱する特性があり、15℃~27℃での指定が可能、展示会では18℃の製品が披露されていた。

最大の特徴は、設置後のランニングコストが一切かからない点にある。兵庫県立農林水産技術総合センターの実証試験では、エネバンクの利用により夜間の施設内気温の低下が緩やかになり、暖房機の稼働開始時刻が遅くなることが確認された。これにより暖房機の稼働時間を25.6%削減し、結果として農家が直面する燃油代を20〜30%削減する成果を上げている。

さらに温度の安定化は、作物の収穫量15%アップや品質向上にも寄与する。製品は不燃性のため火災の心配がなく、10年以上の長期使用に耐える設計で安全・安心に運用できる。既設のハウスにも導入しやすく、既存の省エネ暖房機との組み合わせや補助金を活用した提案も可能だ。現在、同社は農家や施工店への普及に向けて、販売や共同実証を行う代理店パートナーの募集に力を入れている。

DATA

株式会社精和工業所


取材・文/アグリジャーナル編集部

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