【GPECリポート④】大気中の窒素を取り込む新発想の農業資材
2026.07.29
2026年7月15日~17日、国内最大規模の施設園芸・植物工場展2026(GPEC)が、東京ビッグサイトで開かれた。出展したブースのなかから、微生物の働きを利用して大気中の窒素を取り込む新発想の農業資材を紹介する。
最新のスマート農業技術や
省エネ技術が注目を集める
東京ビッグサイトで開催された施設園芸・植物工場展2026(GPEC)
日本の施設園芸は、世界情勢の緊迫化に伴う原油高や原材料費の引き上げなど、外部環境の急激な変化に直面している。ハウスの新規建設費用や維持管理費は、かつての生産環境と比較して1.5倍から2倍近くにまで上昇しており、生産者の経営を大きく圧迫している。さらに、夏場の猛暑や地球規模の気候変動は作物の安定生産を脅かす深刻な要素となっており、迅速な対応が緊急の課題となっている。
こうしたコスト面や環境面での厳しさが増す一方、現場を支える労働力の不足もより深刻化している。加えて、国が進める「みどりの食料システム戦略」に見られるように、生産性の向上と環境負荷低減を両立させた持続可能な農業への転換という新たな指針への対応も求められている。
「施設園芸・植物工場展(GPEC)」は2年に一度開催される。今回は国内外から265のブースが出展し、最新のハウス資材や環境制御システム、自動化・省力化機器、植物工場向け栽培設備などが披露された。生産性向上や燃油・資材高騰への対策、異常気象対応といった現代の農業経営者が直面する課題を解決する、最先端のスマート農業技術や省エネ・エネルギー活用技術が注目を集めていた。
大気中の窒素を取り込む
新発想の農業資材
株式会社ファイトクロームの展示ブース
株式会社ファイトクロームは、植物の生長を促進する各種農業用資材やバイオスティミュラントの研究開発を手がける。同社が展開する「エヌキャッチ」は、葉の細胞の中に生息する微生物の働きを利用して大気中の窒素を植物に取り込ませる画期的な窒素固定菌資材である。
従来の化学肥料に依存した栽培方法では、施肥作業の手間やコストの増加、過剰投与による環境負荷などが懸念されている。
これに対し「エヌキャッチ」を作物の葉面に散布すると、菌が葉の組織内に定着し、大気中の無機窒素を作物が利用可能な形態へと変換して供給する。これにより、根からの施肥だけに頼らない効率的な養分補給が実現し、酷暑における窒素肥料切れに対し、化学肥料だけに頼らない作物の栽培管理を支援する。
さらにエヌキャッチは持続可能な農業の推進や資材価格の高騰が続く現状において、生産コストの抑止と環境配慮を両立させる手段として期待を集めている。作物の生育初期から生育盛期にかけて散布することで、作物の活力維持や安定生産に大きく貢献する。同社が誇る高度なバイオ技術と実践的な製品群は、環境負荷の軽減を目指す新時代の農業経営をサポートする。
DATA
取材・文/アグリジャーナル編集部
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