【基礎編】農業用アシストスーツにはどんな種類がある? 自分に合うアイテムの見つけ方
2021/03/12
アシストスーツ市場が活況を呈している。種類が増えたうえ価格も下降傾向にある。だが選択肢が増えたことで、どれを選べば良いのか難しくなっているともいえるだろう。そこで、アシストスーツ導入前に知っておくべき事柄をご紹介。
アシストスーツの基礎知識
2種類に大別できる
肉体労働を避けて通ることができない農業生産者にとって、長らく「高嶺の花」的な存在であり続けたアシストスーツ。どれほど便利であろうとも、100万円近い価格では、普通の農業生産者では手を出しがたかったはずだ。
そんなアシストスーツが近年、いよいよ手の届く存在となってきた。新規参入メーカーが増えたことで製品の種類が豊富になったうえ、機能が充実し、製品として成熟を始めた。さらに10万円代の製品が登場するなど、価格は下降傾向にある。
そんなアシストスーツは、アシスト力を得るのにモーターを使用する「モーター系」と、人工筋肉やゴム、バネ、伸縮性繊維などから得る「サポーター系」とに大別できる。まず、この2種類があることを覚えておこう。
モーター系
バッテリーを搭載しており、そこに貯えた電気の力でモーターを回転させて、高いアシスト力を得ることができるのが特徴だ。論知的には、人間の力より遥かに大きなアシスト力を得ることも可能。歩行アシスト機能や腕アシスト機能を併せもつモデルが存在するのも「モーター系」の魅力だ。
一方で、重くなりがちであり、着脱に手間が掛かること、またスイッチ操作が必要であるため、「必要なときにササっと装着する」という使い方にはやや不向きだ。
サポーター系
人工筋肉などからアシスト力を得るタイプ。構造がシンプルだから軽量であり、着脱も容易。スイッチ操作なども不要だから、誰でも手軽に使うことができる。アシスト力は充分なレベルに到達しているが、重量物を大量に運搬するような重作業よりも「姿勢を楽にする」目的に適している。
また、電気を使用しないから充電の必要がないこと、また屋外での利用に不安がないことも、「サポーター系」のメリットである。
最適なアシストスーツ選びに!
事前に確認しておくべき4項目
細かな機能の違いで案外使い勝手は変わるもの。以下のような点に注目すると、最適なアシストスーツを選べるだろう。
防塵性と防水性
農業での使用では、屋外や、場合によっては雨天でも利用することがあるはずだ。購入前に必ず、防塵性と防水性を確認しておきたい。
装着しやすさ
着脱に手間が掛かるモデルでは、着脱する頻度が高い人には不向きだ。業務効率を考慮すると、装着のしやすさは案外重要なチェック項目だ。
清潔に保てるか
防塵性・防水性と共に確認しておきたいのが、清潔に保ちやすい構造かどうか、である。カバー類が簡単に着脱できるモデルなら洗濯できる。
作業人数と予算
複数人での作業に一斉に導入したいのか、1台のみの導入で事足りるのか、想定しておこう。導入予算にも繋がってくる重要な点だ。
後編は、実際にアシストスーツを導入するなら、どんな作業を行うのかを洗い出し、自分に合った一品をチェックしていこう。
記事後編『【診断編】農作業・動き別で見つける! あなたにぴったりなアシストスーツはコレ!』はコチラ!
文:川島礼二郎
絵:岡本倫幸
AGRI JOURNAL vol.18(2021年冬号)より転載