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【農業weekレポート】畜産業界の最先端技術が集結!効率化や省力化に役立つ製品を紹介

2022年10月12日(水)~14日(金)、第12回農業Weekが千葉県幕張メッセで開催された。ここでは、そんな農業Weekの展示物のなかから畜産関連の注目アイテムを紹介しよう。

農業Weekが開催
スマート畜産製品を紹介

農業Weekは、国際農業資材EXPO、国際スマート農業EXPO、国際6次産業化EXPO、国際畜産資材EXPOの4展で構成される展示会だ。同時に、国際ガーデンEXPOとツールジャパンも開催されており、農業関連としては日本最大級である。12回目となる今回は、3日間で合計32,863名が来場した。後編となる本稿では、畜産関連サービスをピックアップした。

<目次>
1. NEC通信システム『NEC アニマルウェルフェアソリューション』
2. 日本ハム×NTTデータ『PIGLABO®(ピッグラボ) Breeding Master(ブリーディング・マスター)』
3. スパテクノ×宇都宮大学(池口研究室)『畜舎内エアロゾルセンサー感知式IoT除菌システム』 
4. 株式会社垣内『粒造くん ジュニア』

 

アニマルウェルフェアが向上
飼育状況や行動履歴を遠隔で


最初にご紹介するのは、NEC通信システム(以下NEC)が発表した、アニマルウェルフェア向上と労働の高効率化を同時に実現する新サービス『NEC アニマルウェルフェアソリューション』だ。2022年9月にプレスリリースが出された同サービスを大々的にPRしていた。

NECと畜産と聞いてもピンと来ない方が大多数だろう。お話してくれたインキュベーション本部エキスパートの伊藤睦さんによると、NECの畜産分野への進出は昨年のことで、若い女性社員が提案したのだとか。

「NECの技術を使って生き物の健康を当たり前にしましょう。それが人の健康と幸せにも繋がります、というご提案なんですよ。養豚家の方に、豚を飼育するのによりストレスの少ない『フリーアクセスストール』を使っていただきます。『フリーアクセスストール』というのは会社の事務所でいうフリーアドレスみたいなもので、豚は一定の範囲を自由に行動できて、好きな時にご飯を食べたり、横になることができ、アニマルウェルフェアが向上します。一方で『フリーアクセスストール』にすることで、豚は自由に動き回りますから、管理は難しくなります。ここで労働が増えては元も子もない。そこで私達の技術を活用していただきたい。畜舎にカメラやセンサーを設置して個体情報を取得。得られた情報を参照したり、さらには遠隔管理を可能にしよう、という試みです」と新サービスについて説明してくれた。

さらにNECでは、得られたデータを活用してアニマルウェルフェア評価基準への適合を自動的に評価したり、消費者に届くまでの流通経路すべてで信頼性が担保された畜産物を見える化する仕組みまで構築しようとしている。アニマルウェルフェアというと動物のため、と思い勝ちだが、NECの考えるそれは、動物だけでなく、働く人と消費者の幸せにも繋がる。

本サービスの第1弾として2023年秋から、飼育畜舎内を自由に動き回る豚の個体識別やアニマルウェルフェア視点での飼育状況や行動履歴をデータ化し遠隔で管理可能とするソリューションを提供する。

当社のマーカー位置測位技術(対象となる物に貼付された目印:マーカーをカメラでとらえ、対象物の移動に併せて位置情報を把握する技術)あるいは、無線測位技術(前記を無線技術で実現)、3次元物体検知技術(3Dセンサでとらえた映像に映った物の大きさを測定する技術)を活用し、個体の位置測位・識別、状態把握を行う。

他のソリューション用のソフトウェアも並行して開発し、2024年度にはすべて商用化する予定だそう。

DATA

NEC アニマルウェルフェアソリューション



複数のカメラで母豚の発情を検知
効率的かつ高精度に判定可能


PIG LABO Breeding Master 提供イメージ

日本ハムとNTTデータが展示していたのは、両社が共同開発を進めている養豚支援システムだ。その第1弾が10月12日からテスト販売された、発情検知サービス『PIG LABO®(ピッグラボ) Breeding Master(ブリーディング・マスター)』である。

ご存知の通り、日本国内の養豚家数は減少傾向にあり、それとともに大規模化が進み、一戸あたりの飼養頭数が増加している。また現場においては、熟練した養豚従事者の高齢化が進行しており、技術の継承が問題となっている。アニマルウェルフェア向上も求められるなかで、効率的な生産を行うことが求められている。


そこで日本ハムとNTTデータが共同開発しているのが『ブリーディング・マスター』だ。『ブリーディング・マスター』は豚舎に設置した複数のカメラから、母豚の種付け適正時期を意味する発情を人工知能(AI)により検知するサービスである。これまで熟練した作業者による長時間の観察が必要だった発情判定を、効率的かつ高精度に判定することが可能となる。

試験農場での試験結果はご覧の通り! 両社は控えめに「熟練作業員の受胎成績を再現」と表現しているが、実際には数%上回っている。複数カメラ+AIのお陰で、確認作業は79%も削減できる。上述のように『ブリーディング・マスター』のテスト販売が始まっており、2023年度には本格的に販売される予定であるという。将来的には、機能拡張も予定されている。


注目すべきは、この両社は、繁殖から出荷までの全ステージにおいて飼育作業をサポートするシステムを2029年までに実現することを目指しているという。大規模養豚家には是非、注目していただきたいサービスだ。

DATA

PIG LABO® Breeding Master

畜舎内のエアロゾルを感知し
自動で除菌するシステムを開発


温泉の町として知られる神奈川県足柄下郡湯河原町を本拠地とし温泉設備を主業とするスパテクノと、宇都宮大学(池口研究室)が共同開発したのが、世界初となる『畜舎内エアロゾルセンサー感知式IoT除菌システム』。

スパテクノはコロナ対策として人体用除菌システムを開発していたが、畜産業界ではインフルエンザやコレラなどの対策として除菌のニーズが高まっている。そこで宇都宮大学・池口教授の全面協力を得て、畜産向けとして開発されたのが本製品である。


宇都宮大学池口教授が開発したエアロゾルセンサーが感知すると、IoT技術を活用して超音波ミスト除菌水を噴霧。畜舎内エアロゾルセンサーは世界初である。温泉設備で長年の経験があるスパテクノにとって、配管工事はお手の物だ。

システムには、サイロ残量レベルセンサー、RFIDカードによる入退出管理、WEB監視カメラ、入退場時全身除菌、が含まれている。新たに、総合的に、家畜を疫病から守るシステムを導入されている方にとって、興味深いシステムと言えそうだ。

DATA

スパテクノ株式会社
 

有機肥料の造粒に最適!
環境保全型資源リサイクル装置


1952年創業の産業用機械メーカー、株式会社垣内が展示していたのは環境保全型資源リサイクル装置『粒造くん』シリーズの中型モデルである『粒造くん ジュニア』。発酵処理後の鶏糞のほか、牛糞や豚糞といった家畜堆肥をペレットにしてくれる優れものだ。

初期型を開発したのは1986年というから、発売開始から36年を越えるロングセラー商品だが、マイナーチェンジを加えつつ、これまでに数百台の販売実績を誇るという。お話してくれたのは開発部の依光(よりみつ)日向子さん。


「化成肥料の価格が上がっていること、それに『みどりの食料システム戦略』の影響もあってか、最近、また注目されているんですよ。『粒造くん』シリーズは、当社独特のツインダイス方式で処理するのですが、造粒圧力が低い為ペレットの分解が早く、日々のメンテナンスが楽なことが特徴です。特に有機肥料の造粒には最適です。構造がシンプルなので故障も少なく、自動的にペレット生産がおこなわれるため、費用対効果が高いと評価されているんですよ」

『粒造くん』のような国内未利用資源を循環させる装置を、畜産家と栽培農家とでグループを作って導入する仕組み作りが望まれている。

DATA

粒造くん ジュニア



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