水田除草もスマート化! これから活躍が期待できる除草ロボット3選
2023/06/06
水田栽培における重要作業のひとつ、田植え後の除草作業。時間も労力も取られるこの作業にも自動化・省力化の波が届きつつある。今回は、水田の除草作業を効率化できる、除草ロボットを紹介する。
ロボット型除草機の
商品化&実証が始まっている!
稲作においても減農薬・無農薬・有機栽培への切り替えが促進されるなか、除草剤に頼らない除草方法が各所で模索されている。そのなかでも最先端といえるもののひとつが、今回紹介する「除草ロボット」だ。
除草に割いていた時間を他の作業に充てられるようになるのはもちろん、棚田などの重機を入れにくい小規模な水田でも使用できる小回りが効く設計なことも魅力。環境負荷が限りなく低いのも特徴だ。
まだ実証実験中のものもあるが、人手不足に悩む小規模農家、慣行農業からの切り替えを検討中の農家は、除草ロボットの進化にアンテナを張っておくことをおすすめする。
水に浮かべておく“だけ”の
「アイガモロボ」
GPS機能により設定した航路を自動で走行し続けてくれる「アイガモロボ」。スクリューの水流で土を巻き上げ、田んぼを濁らせることで雑草が光合成しにくい環境をつくる仕組みだ。スクリューの水流で土を巻き上げ初期の小さい雑草を引き抜くとともに、巻き上げられた土が新たにやわらかい土の層となり、雑草の種子を発芽できない深さへと埋め戻す。一度田んぼに浮かべたら太陽エネルギーによる自家発電で動き続けるため、その後の手間がまったくかからない。
POINT!
・独自開発のスクリュー機構で活着前でも稲を傷めない。
・株間の抑草にも効果を発揮。
・自動走行・自家発電で手間いらず。
DATA
希望小売価格/551,100円(税込)
重さ/16.7kg
サイズ(全長/全幅/全高)/1300/900/400(mm)
動力/太陽光発電
推奨圃場面積/30~70a/1台
稼働期間/田植え後から約3週間入れっぱなし
お問い合わせ/井関農機
群れで働く小型除草ロボ
「雷鳥1号」(実証中)
人と共存しながら実用的な業務を遂行する“WORKROID(ワークロイド)”の開発をおこなう、テムザックが開発中のもののひとつが、水田の雑草抑制&遠隔監視するロボット「雷鳥1号」。雑草抑制を担うα版(自律航行型)と、水田を遠隔監視するβ版(遠隔操作型)の2タイプを実証中だ。α版は水を攪拌して泥を巻き上げることで光合成を防ぎ、雑草の育成を抑える仕組み。単純な動きをプログラミングでき、複数台を同時に稼働させられるため、水田の隅々まで効率的に攪拌できる。
POINT!
・複数台を同時に稼働させることで効率的に作業が進む。
・台数の増減によって水田の規模に柔軟に対応。
・小型・軽量のため、搬入手作業もしやすい。
DATA
【α版プロトタイプ】
価格/未定
重さ/約2kg
サイズ/全長600mm×全幅380mm×全高250mm(フロート材含む)
動力/太陽エネルギー
適用面積/一反について約5台
お問い合わせ/テムザック
小規模農家のために生まれた
「ミズニゴール」(実証中)
全国でもっとも小規模農家が多い長野県で生まれた「ミズニゴール」は、水田を走り回ることで田んぼの水を濁らせ、雑草の光合成を遮る除草ロボット。2023年内に除草作業の自動化実現に向けてGPS搭載自動運転型の「ミズニゴール2.0」を開発中。人力で水を濁らせるのと比較し、約20倍の生産向上が期待できるという。現在、世界情勢を背景としたチップ不足によりGPS搭載型の開発が遅れているものの、ラジコン型で先行開始している実証実験プロジェクトでは「地域サポーター制度」を創設。地域サポーターを軸に農家間でのシェアレンタルを可能とすることで、小規模農家のコスト負担を最小限に抑える試みもおこなっている。
開発中のミズニゴール2.0
POINT!
・複数の田んぼの走行ルートを自動設定、範囲設定が可能。(開発中のGPS型)
・モジュール型ロボットだからパーツ毎のメンテナンス・交換・組み立ても簡単。
・シェアレンタル形式でコスト負担を削減。
DATA
価格/未定
重さ/約8kg
サイズ/幅77cm×高さ40cm×奥行き130cm
動力/バッテリー
お問い合わせ/ハタケホットケ
文/福田真木子