気軽に挑戦できて効果は絶大? カーラッピングで軽トラに「貼る」カスタム!
2024/01/22
外観が変わることで軽トラックの印象はガラリと変わる! それを気軽に挑戦できるのが、カーラッピングやカッティングシートによる軽トラックの「貼る」カスタムだ。
奥が深いカーラッピングの世界
プロに頼むだけでなくDIYも可能!?
農業生産者の多くが所有する軽トラだが、その多くがホワイト単色だ。「それが農家だ!」と言われればそれまでだが、一方で「自分らしさを出してほしい」とも思う。そこで当サイトでは、自分らしさを演出する方法として、軽トラのカスタムを紹介する記事を掲載してきたが、「アゲトラはカッコいいけど車検は大丈夫?」「塗装すると価値が下がりそう……」という声が届いた。
ならば「貼る」カスタムはどうだろう? カーラッピングやカッティングシートを活用することで、手軽にイメージチェンジできる。車検だってそのまま通るし、剥がせば元通りだから車両の価値は下げらない。
早速、カーラッピングやカッティングシートについて教えてもらうため、素材最大手のスリーエム ジャパン株式会社(以下、3M)にお邪魔して、お話をうかがった。
カーラッピングとはなんだろう? 車体全面をカラフルに仕上げた商用ワンボックスカー、あれはカーラッピングに違いない。だが「貼る」カスタムに使えそうなものに、カッティングシートやステッカーも存在している。3Mの大築 涼さんが教えてくれた。
「上の車両のように、商用ワンボックスカーに施工されるような大掛かりなカーラッピングを、フルラッピングと呼びます。それに使われるのは、白地の『グラフィックフィルム』と呼ばれるものです。大きなプリンターで印刷して、ラミネートしたうえで施工します。『グラフィックフィルム』によるラッピングは、グラデーションや写真の印刷といった多彩な表現が可能なため、現在の主流となっています。
一方で、個人所有の乗用車のイメージを変えるなどの目的でも、フルラッピングする方がいらっしゃいます。そこで使われるのは、あらかじめ色が練り込まれたタイプの『カーラップフィルム』と呼ばれるものです」。
なるほど、ボンネットにアニメのキャラクターが貼られている乗用車を見掛けることがあるが、あれは『グラフィックフィルム』に印刷したものか。また、色を塗り替える代わりに『カーラップフィルム』で施工することもある、ということか。
では、例えばミラーのボディだけ色を変えるような小面積への施工は何と呼び、どのようなフィルムが使われているのだろう?
「小面積を施工することをパートラッピングと呼びます。単色の場合には、もともと色が練り込まれたタイプで看板などにも使われる『カラーフィルム』や、先程お話した車用の『カーラップフィルム』を使います。ただし、小面積であっても複数の色を使う場合は、フルラッピングと同じ『グラフィックフィルム』に印刷→ラミネートして施工することもあります」。
多色で表現したいなら白地の『グラフィックフィルム』を、乗用車を特定の色に代えるには『カーラップフィルム』を、ロゴや社名など小面積に単色で施工する場合は『カラーフィルム』を使用する。
では、よく耳にするカッティングシートとは、何なのだろう? 『カッティングフィルム』とは、どこが違うのだろう? すると意外な事実が判明した。なんと、カッティングシートは一般名詞ではなく私企業の登録商標なのだという。
「上記のようにざっくりとした使い分けはあるものの、『カラーフィルム』や『グラフィックフィルム』、『カーラップフィルム』は同じような性質を備えています。というのも、自動車に適用するような装飾用シートで大切なのは、耐候性、伸びやすさ、貼った状態の形状を維持する力(元の形に戻ろうとすると剥がれてしまう)、剥がしやすさ(はがす際に糊が残らない必要がある)、といったシートの性質です。これが施工のしやすさ、仕上がりの美しさ、その美しさが長持ちするか、といった品質に直結するからです」。
なお、「ステッカー」がどのようなものを指すのかについては「業界で統一した定義は認識していない」としたうえで、『グラフィックフィルム』や『カラーフィルム』で作成したロゴなどがステッカーと呼ばれているのでは、とのことだ。
『グラフィックフィルム』と『カーラップフィルム』による施工は、作業を業者に外注することになる。というのも『グラフィックフィルム』は巨大なフィルムに印刷した後ラミネートをする。この印刷とラミネート作業がDIYでは不可能だからだ。また『カーラップフィルム』は立体構造の自動車のボディに貼ることを考えれば、さすがにDIYは難しいことは想像できる。
一方、『カラーフィルム』で自社ロゴを平面に貼るのであれば、「本音を言えば、プロに施工していただきたいですが、DIYも不可能ではありません。その場合、しっかりした会社の製品を選ぶことが大切です」と大築さんは語る。
これらのフィルムには、高度な技術が投入されている。蛇足になるが、奥深い装飾用フィルムの世界を覗いてみよう。
高度な技術の一つが、粘着面に散りばめられた(肉眼では見えない)ガラスビーズ(画像左)。誰しも一度は、シール貼りに失敗した経験があるはず。「ここぞ!」という場所に行き着く前に、あらぬ場所に貼れてしまう……。そこで3Mは粘着剤の上にガラスビーズを散りばめた。このガラスビーズが位置決めをする際にコロの役割を果たして、貼る面に軽く接触させながらススーっと動かすことができる。位置を決めて密着させると、ガラスビーズは粘着剤のなかに潜り込む、という仕組みだ。
また、気泡が入り込んでしまう失敗を防ぐため、粘着面に(これも肉眼では見えないが)溝が縦横に切られているという(画像右)。こうして施工のしやすさを高めている。3M、恐るべし……だ。