注目キーワード

加工・販売

絶品の柑橘、高評価の要は「光センサー」。ふるさと納税サイトで売上アップへ

安定した品質の維持と効率の面から、光センサー選果機による果実の選別がブランド果実に適用されている。これを小さな規模でも実現できる小型の機械が登場し、八幡浜市の柑橘をさらに魅力的にしているという。その現場を取材した。

「王国」から絶品の柑橘を!
高評価の要は「光センサー」

愛媛県は全国で最も多い40種類以上の柑橘品種を栽培する「柑橘王国」であり、秋から冬にかけて出荷される温州みかんをはじめ、年間を通して柑橘の収穫・出荷が行われている。特に西部に位置する八幡浜市は温州みかんの収穫量が県内随一であり、おいしいみかんや柑橘の産地として全国的に有名だ。その地域ブランドをさらに高めるための取り組みとして、光センサー選果機を導入した事例がある。

光センサー選果機とは、これまで目視やサンプル検査などによって選別されていた果実の状態を、ライン上で光を照射して全数検査することで、より品質の安定した果実を選別できるもの。非破壊で内部の状態がわかるだけではなく、糖度や酸度が数値化され、味にバラつきのない個体を選べるのが大きなメリットだ。


日本有数のみかん産地である八幡浜は、11月~12月にみかんの収穫・出荷がピークを迎える。SEIKAでは光センサー選果機で選別した柑橘を「雅(みやび)」のブランドでふるさと納税サイトに掲載し差別化を図っている

また、近年の人気品種であるJA全農えひめのブランド「紅まどんな」や、甘平品種の中でも選りすぐった品質が名乗れる「愛媛Queenスプラッシュ」は、品質基準の項目に光センサーでの数値測定を設けており、この工程が品質保証やブランディングの有効な手立てにもなることがうかがえる。

八幡浜市で青果卸売業を営む株式会社SEIKAは、3年ほど前から三井金属計測機工製の小型の光センサー選果機を導入し、柑橘の出荷の際の選別に活用している。それにはこんな背景があった。
「会社としてメインの事業はスーパーなどへの卸売なのですが、ここ4~5年で急激に増えているのが、ふるさと納税サイトを通じた個人のお客様からの受注です。自分たちの経験をもとに選別していた状態でしたが、より品質を安定させ、喜んでいただくために、個人配送のお客様に向けて光センサー選果機を導入しました」。
そう語るのは同社営業部長の楠愛輝さん。ふるさと納税では温州みかんはもちろん、まどんな種(愛媛果試第28号)、甘平、せとか等の高級な中晩柑も人気で、それだけにユーザーからシビアな意見が寄せられることもある。

「『ハズレが入っていました』などとサイトのレビューに書かれてしまう影響は見過ごせません。サイトによってはレビューの評価で表示される位置や順番が変化する傾向もあり、より満足度の高い柑橘を提供し続けなくてはなりません。そのために、光センサー選果機は非常に有効だと考えています」。

 


中晩柑で人気の高い「せとか」。極薄の皮でジューシーな甘みが味わえる。

冬にこたつで大量のみかんを消費する家庭が少なくなってきた一方で、やや高価でも味わいに優れた柑橘を志向する人が増えてきている。SEIKAのような小規模な事業者でも安定した品質の中晩柑が届けられるのは、地域ブランドを守る意味でも大切なこと。そんな現場で、光センサー選果機が活躍している。

◯導入メリット① 高評価レビュー&売上アップ
「箱の中のどの個体を食べても安定したおいしさを提供できるようになり、ふるさと納税サイトのレビューも高評価に。売上も前年対比で30%ほどアップしています」(楠さん)。

◯導入メリット② 品質が一目瞭然になった
「八幡浜産の柑橘の特徴は、糖度と酸度のバランス。品質が数値に表れるので、ほぼ均一に揃えて出荷ができるようになりました」(楠さん)。

光センサー選果機が
できること

➀ 柑橘の品質を高精度・高速でチェック

糖度、酸度、熟度、内部状態を測定し、見た目ではわからない柑橘の状態を把握・選別。三井金属計測機工の光センサーのスペックは、農協が使うような大型の機器と同レベルの精度を誇る。


➁ 作業効率がアップし出荷がスムーズ

設定した等級に自動で選別するので、箱詰めまでが非常にスムーズ。柑橘を載せる→受け取るが1人でも可能になる。


➂ 数値を把握して生産に活かす

糖度や酸度を個体ごとにリアルタイムで検出。パネルに数値が表示され、おいしさを可視化する。商品価値を生産者に伝え、次回の生産にフィードバックすることも可能に。
 

 

DATA

SMART-SELECTOR(BK)
バケット搬送タイプ小型選果機


光センサーのパイオニア、三井金属計測機工による小規模生産者(個人生産者、農業法人、農業学校、6次産業)向けの小型選果機・選別機。非破壊かつ高い精度で果実の内部の状態を測定する。桃・りんご・梨・マンゴー・柿・柑橘類・トマトなどに使用可。

補助金を活用しよう!
光センサー選果機は高額な機械であり、導入したくても資金面で断念することも。そんなときに頼りになるのが各種の補助金。愛媛県では経営規模拡大に必要となる施設や設備の購入等に向けた数タイプの助成金や、県中小企業団体中央会による「ものづくり補助金」があり、農家や企業をサポートしている。各自治体でも同様の制度を設けているのでぜひ活用したい。

問い合わせ

三井金属計測機工株式会社
TEL:0568-74-7670

取材協力

株式会社SEIKA
愛媛県八幡浜市の柑橘販売を目的に2010年に設立。全国のスーパーマーケットやネットショップなどへ八幡浜の柑橘、冷凍みかん、柑橘加工品を提供している。


文:本多祐介
写真:熊 博之

AGRI JOURNAL vol.31(2024年春号)より転載

Sponsored by 三井金属計測機工株式会社

関連記事

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. トマトの試験で収穫数、収益がアップ! 海藻由来のバイオスティミュラントの効果は?...
  2. 【製品モニター募集】手軽さと手ごろさを極めたマッスルスーツを体感しよう!...
  3. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  4. ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いは? メリットを専門家が解説
  5. 消費者へのアピールに“万田酵素”を活用!? 野菜や果物、米の販売時に専用ラベルで差別化...
  6. ハイスペックで格好良い!「次世代軽トラ」の実力
  7. 東京オートサロン2024でみつけた、最新の軽トラカスタム一挙公開!
  8. AIソリューションが実現する高精度な収穫量予測 正確な予測で効率&利益アップ!...
  9. JAが「農業協同組合」であり続けるために 経営危機を乗り越えるためにすべきことは?...
  10. 低コストで高耐久! 屋根の上で発電もできる「鉄骨ポリカハウス」

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.33|¥0
2024/10/09発行

お詫びと訂正