まるでスーパー秘書!? 農業でも役立つ無料AIツール「NotebookLM」活用の始め方をわかりやすく解説
2025/05/19

ベンチャー企業出身農家によるコラム『マシュー農LABO』。今回は、話題のAIドキュメントツール「NotebookLM」を農業に取り入れるアイデアを紹介! 自分の代わりに大量の資料を読み込み、肥料設計や農薬の使い方を整理させるなど、無料で使える機能を試してみよう。
1.NotebookLMの紹介と使い方
2.これまでの検索とはどう違う?
3.価格について
4.どうやって使うのか?
5.さっそく質問してみよう!
NotebookLMの紹介と使い方
先日の記事をお読みいただきありがとうございました。さっそく第二回目をはじめさせていただきます。
※第一回目コラムはコチラ
今回ご紹介するのはGoogleのNotebookLMというサービスです。
ちなみにノートブックエルエムと読みます。基本的には無料で使うことができます。
NotebookLMはたくさんの農作業の情報を整理するのが得意な、まるでスーパー秘書みたいなサービスです。
例えば、肥料の設計や作物の育て方、農薬の使い方、機械の操作や修理など、農作業にはたくさんの情報が必要ですよね?
NotebookLMは、そんな時にとても役立つサービスです。
たくさんの資料やインターネットで調べた情報をNotebookLMに入れると、まるですべての資料を読み込んでなんでも答えてくれるスーパー秘書のように整理して質問に回答してくれます。たくさんの情報を上手に整理して、毎日の作業や計画を助けてくれる便利な道具、それがNotebookLMです。
と、ここまでの説明でなんとなくでもつかめましたでしょうか?
私も最初このサービスが発表されたときは、ChatGPTやGeminiなどのサービスとどこが違うのかな?と疑問に思っていました。
しかし、使い方がわかるとNotebookLMの便利さに感動して、AIがこんなにも農作業に役立つ時代が到来したんだと感動することとなりました。
これまでの検索とはどう違う?
これまでの検索とはどう違うのかという疑問が浮かぶと思います。調べるだけであれば検索でいいんじゃない?という疑問です。
NotebookLMは、従来の検索エンジンとは大きく異なる特徴を持っています。
単にキーワードに合致するウェブページを探すのではなく、あなたが提供した文書や資料の内容を深く理解し、それに基づいて質問に答えることができる点が大きな違いです。
簡単にいうと、あなたが必要とする、正しいと確認できた情報のみを情報源として、そこから答えを導き出してくれるという点が検索との大きな違いです。
具体的には、以下の点で違いがあります。
1、特定の文書や資料に基づいた回答
NotebookLMは、あなたがアップロードした資料や文書の内容を分析し、その中から質問に対する答えを探し出します。
ウェブ全体の情報を検索するのではなく、あなたが指定した情報源に特化している点が大きな違いです。
2、文脈の理解
NotebookLMは、単語の羅列ではなく、文脈を理解しようと努めます。
そのため、質問の意図をより正確に把握し、関連性の高い回答を生成することができます。
文脈とは聞き慣れない表現だと思いますので少し補足します。「文脈」とは、言葉や文章が使われている状況や背景のことを指します。
例えば、「種まき」という言葉一つとっても、文脈によって意味が変わることがあります。
例1: 「明日は種まきをする予定です。」
この場合の「種まき」は、実際に畑に種をまく作業を指します。
例2: 「来年の作付け計画の種まきをしよう。」
この場合の「種まき」は、計画を立て始める、準備を始めるという意味になります。
このように、同じ言葉でも、前後の文章や状況によって意味が変わることがあります。これが「文脈」です。
NotebookLMはこの文脈を理解して回答を返してくれるように作られています。
3、情報の整理と要約
NotebookLMは、大量の情報を整理し、要約するのに役立ちます。複数の資料から必要な情報を抽出し、わかりやすくまとめて提示することができます。
忙しい中で、いろんな情報をキャッチして、情報を分析するのって大変ですよね。その大変な作業である分析をAIがあなたのかわりにやってくれるんです。
4、事業アイデアの整理にも
例えば、あなたが 今季の施肥設計アイデアのテキストを提供した場合、NotebookLMはその内容を理解し、アイデアに関する質問に答えることができます。
従来の検索エンジンでは、このような特定のデータに基づいた質問に答えることは困難でした。
何度もいいますが、NotebookLMは、あなたが提供した情報に基づいて、より深く、よりパーソナルな形でサポートを提供するサービスと言えます。これは、単にウェブ上の情報を検索するのとは大きく異なる点です。
価格について
NotebookLMには無料のプランとPlusプランという2パターンがあります。個人の農家さんで利用するのであれば無料で充分です。
どうやって使うのか?
※これから案内する使用方法は2025年5月時点のものです。逐次アップデートされる可能性がありますので、その点ご留意ください。
使い方についてご説明します。こちらから「NotebookLMを試す」ボタンを押し、ログインをお願いします。Gmailのアカウントがない方は新規で作成いただきログインしてください。
ログインすると以下のようなホーム画面に入れます。
新規作成から新しいNotebookを作成しましょう。「+新規作成」を押すと以下のような画面に移ります。
ソースというのは情報源のことです。この情報源をご自身でアップロードする必要があります。アップロードできるソースには以下のようなものがあります。
1.文書ファイル
ワードやPDFファイルなど、文字がたくさん書かれた書類です。
例えば、農作業日誌、栽培記録、肥料の配合表、取扱説明書など、あなたが持っている様々な資料をアップロードできます。
私のおすすめの活用法は、栽培している作物についての論文など専門的な内容のPDFをネット上からダウンロードしてそれを要約して解説してもらったり、新しい栽培技術について質問して最新の研究成果を栽培に活用できないか検討するなどの方法です。
論文を読み込む必要がないので非常に助かります。
2.ウェブサイトのURLやYoutubeの動画
インターネットで見つけたウェブページのURLをNotebookLMに教えることで、そのページの内容を読み込ませることができます。
例えば、農業に関する情報サイト、気象情報サイト、資材販売サイトなど、参考になるウェブサイトを登録できます。
また栽培や資材に関して解説されたYoutubeの動画もAIが解読して情報ソースとして活用してくれます。すごい時代だ…
さっそく質問してみよう!
ソースをアップロードしたら、なんでも質問をしてみてください。どういった質問をすればいいか、提案もしてくれますよ。
私もさつまいも情報サイトや栽培技術を紹介してくださっているWebサイト、栽培に関する論文のPDFなどをソースとしてアップロードして「さつまいも博士」というノートを作成してみました。
アップロードしたソースが左側に表示され、真ん中のチャットブロックで質問や要約をお願いすることができます。
このような質問をしてみました。「宮崎県におけるさつまいもの最適な定植時期はいつ?」
すると、アップロードしたソースから分析して回答を以下のように提示してくれました。
これは、実際宮崎県でさつまいも栽培をしている現場の私からしても最適な答えであると思います。
NotebookLMすごい!
文章のあとについている1、2などの数字は引用元の情報を表示してくれます。
回答がどういったソース(情報源)に基づいて導き出されたのかを確認できるので、情報の正確性が増しますよね。
ChatGPTやGemini、ClaudeなどのAIサービスの正確性は格段にあがっているものの、絶対に間違えないとは言えないのが難点でしたが、NotebookLMは自身がアップロードした情報から質問の答えを導き出してくれますので正確性が限りなく担保できると言えます。
また私がした質問には宮崎県というアップロードしたソースには載っていない情報をあえて質問として入れましたが、それをNoteookLMは”サツマイモ栽培における地域区分では、宮崎県は四国・九州の暖地に分類されます”という風にしっかりと理解して、最適な答えを導き出してくれました。
AIの分析能力と自身が選択してアップロードしたソースを組み合わせて、日々の農作業に活用できるのがNotebookLMの最大の強みです。
しかも基本無料でこのスーパー秘書が雇える。使わない手はありません。
次回は私がどのようにNotebookLMを活用しているのかをいくつかの活用例を踏まえて紹介させていただきます。
プロフィール
藤井マシュー武雄

宮崎県新富町にて、7年前に就農。現在はさつまいもを6ha、大根や人参などの露地野菜を1ha栽培しながら、さつまいも観光農園「GOOD TIME FARM」を運営。収穫する喜びを多くの人に体験してもらおうと、日々活動しています。GOOD PEOPLES代表。
HP:https://gdps.jp/