津田大介が語る! 働き方でローカルの未来を変える”まちおこし”
2019/01/07
日本のGDPが低迷している中、ワークスタイルに変革をもたらす企業が増えてきた。仕事と休暇を合わせた「ワーケーション」やリモートワーク、副業OKなど、新たな働き方が"まちおこし"を誘発させている。
働き方の変革に合わせた
まちおこし
1人あたりのGDPが先進国のうち最低となり、日本は先進国からは落ちようとしていていると感じています。そうしたなかで、日本人はライフスタイルを変えていく必要がありますが、移住や多拠点生活も一つのかたちです。
ここ数年で、副業OKあるいはテレワーク推進の会社が増えてきています。さらにはJALなどの企業では、「ワーケーション」といわれている、1週間ほど地方や海外など別の土地に行きながら、たとえば9〜15時までは現地のホテルなどでリモートワークをして、その後は自由な時間を過ごすという、「ワーク」と「バケーション」を合わせた働き方も導入をしています。たとえばワーケーションを1週間して、その後1週間有給休暇を組み合わせると、合計2週間バケーションができるので、すごく良い仕組みだと思っています。優秀な人材を逃がさないようにするために、そういった制度を整えることが重要であると、企業側が気づき始めているんですね。つまり、働き方がネックになり敷居が高かった移住や2拠点・3拠点生活が、日本でも身近になっているのです。
リモートワーカーの増加
そういった流れの中で、「リモートワークやサテライトオフィスなどを誘致するのが本当のまちおこしだ」という考え方もあり、魅力的な地方の取り組みが数多く出てきています。全国で問題になっている過疎化や高齢化の問題を、山間部のまさにその典型ともいえる場所で見事にクリアしているのが、サテライトオフィスの誘致で有名な徳島県の神山町です。ITベンチャーや映像制作会社などが、サテライトオフィスの設置や本社移転を神山町に行い、2011年には転入者が転出者を上回って話題となりました。
移住者がまちに増えることで、レストランなどが新しくオープンし、起業が増え、地域でつくられた農作物を使いたいというニーズも拡大しているといいます。こうした動きが、日本に訪れてきているのは、すごく良いことだと思いますね。
プロフィール
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト
津田大介
1973年生まれ。ポリタス編集長。早稲田大学文学学術院教授。大阪経済大学情報社会学部客員教授。テレ朝チャンネル2「津田大介 日本にプラス+」キャスター。J-WAVE「JAM THE WORLD」ナビゲーター。
インタビューまとめ:大根田康介
AGRI JOURNAL vol.9(2018年秋号)より転載