簗農相 9月18日就任会見「米のコスト指標を下回る概算金、食料システム法を早期に機能させたい」

簗和生農林水産大臣は9月18日の就任会見で、米のコスト指標を下回る概算金の決定が相次いでいることについて、「食料システム法が機能していることが実感として生産者に伝わるような状況をつくっていくことが早期に必要だ」と述べた。

メイン画像:記者会見する簗和生 農林水産大臣(出典 農林水産省)

簗農水大臣
就任会見概要

大臣 この度、農林水産大臣を拝命しました簗和生です。農林水産省の最も重要な使命は、国民に食料を安定的に供給することだと考えております。一方で、農林水産業を取り巻く環境は、国際情勢の不安定化や自然災害、気候変動等の影響、人口減少や高齢者の引退による農業者の急減など、大きく変化をしています。このような中でも、食料安全保障を強化していくため、国内外の需要拡大を進めるとともに、拡大した需要に対応できるよう、生産基盤を維持し、生産性や付加価値の向上を進めることにより、供給力を強化します。加えて、温暖化等の環境変化に対応できる植物工場や陸上養殖等への投資を促進をします。
 我が国の主食である米については、令和9年度からの水田政策の見直しの骨格を取りまとめたことから、現場の御意見を丁寧に、引き続き、把握をしつつ、今後、支援単価の水準など詳細な制度設計を具体化をしてまいります。また、政府備蓄米の買戻しについては、食料安全保障の観点から、適正備蓄水準への回復を進めていく必要があります。このため、令和7年産米21万トンの買戻しを着実に実行してまいります。さらに、令和11年度までの農業構造転換集中対策期間において、農地の大区画化や中山間地域におけるきめ細かな整備、共同利用施設の再編集約・合理化、スマート農業の導入加速化、輸出産地の育成を集中的かつ計画的に推進し、農業の生産性や付加価値を高めることで、収益力向上を後押しします。

―大臣の今後の抱負と、あと高市総理からどのような指示を受けたのかを教えていただければと思います。

大臣 私は、今回、大臣を拝命するに当たりまして、一つ大きなテーマを掲げていきたいと思っています。それは、食料安全保障の確保、これを進めるに当たっては、消費者の理解をしっかりと醸成していかなければいけないということであります。今、米をめぐって、様々な議論、様々な政策がなされたところでありますけれども、特に適正な米価をめぐって、これから価格をいかに確保していくかということも大きなテーマになっています。その中で、生産者が再生産ができる、再投資ができる、その適正な価格水準を確保すること、そしてまた、それとともに消費者にとってもそれが納得感のある、受入れられる価格であること、この両者をしっかりと作っていくことが、これからの農政の課題であるというふうに思っております。
 これは米だけではなくて、全ての農林水産物であります。これを成し遂げることで、しっかりと未来を見据えて、若い方々も、農林水産業に従事をしたい、そういう思いで参入をしていただけると思いますし、そして消費者にとっても、安定的に、食料やそうしたものが、安定的に自らが消費をできる、そういう環境をつくることにもつながります。これこそが、食と農を守る農林水産政策、この使命でありまして、私はその先頭に立って、消費者理解の醸成という、これまで農林水産省がどうしても手薄であったと、私はそのように思っておりますので、その部分の強化を進めてまいりたいと思います。その文脈の中で、私は、大臣に就任する前に、これは議員立法としてでありますけれども、食育基本法の改正を20年ぶりに行うに至りました。ここにおいて、しっかりと消費者の理解を醸成していくこと、特に学校現場において、現場体験も含めた農林水産業の理解の促進をしっかりと教育の中で行うとともに、学校教育課程を卒業した後の大人の食育というテーマを掲げましたけれども、これを生涯にわたって自らの消費行動によって、自国の農林水産業を守っていくんだと、そういう意識を醸成する、そういう国民性をしっかりと作るべく、食育というものにも、農林水産政策の中でしっかり強化をしていきたいと、そのように考えておるところでございます。
 そしてまた、高市総理からの御指示ということでありますけれども、8項目について御指示をいただきました。1つ目は、食料・農業・農村基本法に基づき、食料安全保障の確保等を推進するほか、完全閉鎖型植物工場や陸上養殖施設等を展開し、また、米などの安定供給を推進すること。そして2つ目が、資材等の価格高騰対策に取り組むとともに、農業構造転換集中対策期間に集中投資を実施をすること。3つ目が、2030年に5兆円の輸出目標を実現すること。4つ目が、関係大臣と協力して、人口急減地域への支援を強化すること。5つ目は、農林水産物や加工食品の輸入停止への対応に万全を期すること。6つ目は、「ノングルテン米粉」の生産設備を拡充し、海外市場を開拓すること。7つ目が、関係大臣と協力して、肥料の国産化促進など自律性向上に取り組むこと。そして、最後の8つ目が、日本の製品・サービス・インフラの同志国への輸出増加のための取組を行うことであります。総理指示を踏まえて、全力で職務を遂行してまいりたいというふうに考えております。

―昨日、鈴木前農相が退任会見で、農政、特に米農政について、政権によって発するメッセージが異なっていると受け止められたという言及がありました。特に米の増産ということに対して、基本計画で明記されているかと思いますが、慎重姿勢だったり、積極姿勢だったり、生産者の方が受け止めるメッセージが変わっていたかと思います。新大臣として、米政策、特に米の増産について、どのような考え方で取り組まれるか、どのような方針で取り組まれるか教えてください。 

大臣 鈴木大臣がお話しされたということで、直接には、私はやはり、前大臣個人の御見解ということもあろうと思いますので、直接的な言及は控えたいと思いますが、前大臣、大変、苦労されたというふうに思います。米の需給の安定化に向けて、これは引き続きのテーマでありますけれども、大変、政策を大きく転換するということもありましたし、非常に苦労された、そういう思いから発せられた言葉なのかなというふうに推察をしているところでございます。政策の一貫性というもの、これ、大変重要です。生産者が長期を見越して、安定的に様々な設備を整備をしたり、投資をしたり、こういうことにも関わってくるものでありますので、一貫性を持ってやっていくということ、これが大事であります。
 その上で、増産というお話が、今、ありましたけれども、これは、米全体、主食用米だけではない、こういうものも含めた増産、輸出も含めてですね、こういうことで増産という言葉があったものと承知をしておりますので、主食用米については、しっかりと、それぞれのニーズのあるお米全てでありますけれども、しっかりと需要に応じて生産をしていくということであります。ですから、それは、今、消費が減っているということであれば、それに合わせて、生産側も生産をしっかりとそこに合わせていくということ、これが需要に応じた生産であるというふうに思いますので、需要に応じた生産をやるということについては、一貫して皆さんに伝えていることだというふうに私は考えております。 

―水田政策の見直しについて伺いたいと思います。交付金の単価についてなのですけれども、これはどうあるべきとお考えなのかということと、そして次の、今、見直しが進んでいると思うのですけれども、具体的な単価の決め方、どういうふうにお考えなのかというところを教えてください。

大臣 これは予算に大きく関わるものでありまして、御承知のように、今回の概算要求では、事項要求ということで出しているところであります。特に、新たな見直しに伴って、生産現場、これはキャラバン等を自民党の中でもやりましたけれども、非常に、この単価、これをやはり生産者が意欲を持って営農継続したいと思える水準に確保して欲しいという声、これを一番切実な声としていただいたところでありまして、こういう御意見をまず踏まえるということ、そしてこれから、しっかり予算の確保、これも増額確保ということでやっていかなければいけないと思っておりますので、その中で、この単価をしっかりと付けていくと、現行水準以上を確保するということ、これはもう方々で、様々な方がお話をしておりますけれども、農水省としても、しっかりとそれを確保するべく、対応してまいりたいというふうに考えております。
特に、もう1つ言いますと、令和9年産米、この需給を、しっかりと安定したものにしていく上でも、この単価というもの、大変、重要になるというふうに思っています。ですから、こういうこともしっかりと勘案しながら、単価を定めていくと、これに向けて全力でこれから取り組んでいくと、そのように考えております。 

― 食料システム法を根付かせたいというお話がありましたが、現状、米ではコスト指標を下回る概算金の地域もたくさんありますが、政府として食料システム法の考え方を根付かせるためにどう対処していかれたいか、現時点で何かお考えがあればお願いします。

大臣 食料システム法については、あえて申し上げると、適正な価格形成にあたっては、何といっても、どの作物も同じですけれども、需給がしっかりと安定をするということが前提になります。ですから、当然、食料システム法という枠内で、先ほど申したように、様々な主体が、それぞれに納得できる状況を作る上での、例えば交渉協議を申し入れる、これについて、しっかり国として、それが適切になされるかどうか、国としてしっかり関与していくということ、こういうことと加えて、需給環境をつくる中で、様々な従前の農林水産省としての政策、こういうものを打っていくと、こういうことを併せて行っていく必要があるというふうに思っております。いずれにしましても、食料システム法、これがスタートしました。そして、しっかりと生産者の皆さんにとってこれが機能しているということが、実感として伝わるような、そういうような状況を作っていくということが、早期に私は必要だというふうに思っておりますので、今の施行状況を踏まえて、国としての適切な対応を行ってまいりたいと思っております。 

―大臣は、昨日、需給が緩和する主食用米について、来年度に向けて需要に応じた生産が徹底されるような対策を打つことが重要という考え方を示されましたが、具体的にどういった対策をお考えでしょうか。

大臣 これは現場において、やはり、しっかりと需要に応じた生産を徹底していただく、本当にもう今おっしゃったことをそのまま言ってるんですけれども、これしかないんです。その上で、より精緻な需給見通しを、生産現場に示していくということ、こういうことは改善として省内で出してきたところであります。そして先ほど申したように、主食用米以外の生産、こういったものを振興するという必要も、自給率を向上しなければいけない作物との関係もありますので、こういったところに、しっかりと新たな水田政策の見直しの中で支援単価をしっかりとつけていくこと、こういうことを通じて、生産現場、そして関係者一丸となって、需要に応じた生産の必要性というものを、より危機感を持ってこれを認識をして、政策としても強力に推進をしていきたいというふうに思っております。 

DATA

簗農水大臣 記者会見概要
簗農水大臣記者会見 動画


取材・文:アグリジャーナル編集部

PICK UP
注目記事

RANKING

  1. 1
    鈴木農相  9月11日記者会見「中国便乗客の手荷物のヤギ肉から口蹄疫ウイルス、水際防疫の徹底を進めていきたい」
    鈴木農相 9月11日記者会見「中国便乗客の手荷物のヤギ肉から口蹄疫ウイルス、水際防疫の徹底を進めていきたい」
  2. 2
    鈴木農相  9月15日記者会見「米農家の廃業が過去最多ペース、農地の円滑な引き継ぎと営農環境の整備が大事だ」
    鈴木農相 9月15日記者会見「米農家の廃業が過去最多ペース、農地の円滑な引き継ぎと営農環境の整備が大事だ」
  3. 3
    【モニターレビュー】水で洗っても、道路に落としても壊れない!万能スマホ「arrows Alpha」を体験
    【モニターレビュー】水で洗っても、道路に落としても壊れない!万能スマホ「arrows Alpha」を体験
  4. 4
    【農水省】来年度概算要求を読み解く、消費税引き下げへの対応と営農継続が課題
    【農水省】来年度概算要求を読み解く、消費税引き下げへの対応と営農継続が課題
  5. 5
    【資料請求キャンペーン】AGRI JOURNAL夏号掲載の製品カタログお申し込みで、Amazonギフトカードが当たる!
    【資料請求キャンペーン】AGRI JOURNAL夏号掲載の製品カタログお申し込みで、Amazonギフトカードが当たる!

MAGAZINE

vol.40|¥0
2026/07/01発行

PRESS