【農水省】来年度概算要求を読み解く、消費税引き下げへの対応と営農継続が課題
2026.09.16
農林水産省は8月31日、2027年度予算の概算要求を提出した。要求総額は3兆1377億円となり、補正予算依存からの脱却に向け当初予算への一体化を図る。金額を示さない事項要求も盛り込まれており、現場の営農継続と経営安定に資する実効性の高い予算が確保されるかが今後の焦点だ。
水田政策などの重点施策が
金額を明記しない事項要求に
一般会計の要求総額は4年連続で過去最大を更新
農林水産省が取りまとめた2027年度農林水産関係予算の概算要求は、総額3兆1377億円となった。政府は補正予算を前提とした従来の編成方針を見直し、恒常的な施策は当初予算で確保する一体的編成へ移行している。2026年度当初予算と2025年度補正予算の合計額3兆2558億円と比較すると、現時点の要求額は4%下回る水準となっている。
一方で、上限を設けない成長投資枠に4272億円を計上したほか、金額を明記しない「事項要求」が多数盛り込まれた点が大きな特長である。2027年度から導入する新たな水田政策や「農業構造転換集中対策」などは事項要求とされ、2026年度当初と2025年度補正の合計額以上を目指して年末の予算編成で査定が進められる。
果樹・茶生産
飛躍的拡大事業を新設
2027年度からの導入を目指す新たな水田政策は、米穀の安定生産と需要拡大を軸に設計されている。主食用米の適正な生産・供給体制の確立に向け、需要に応じた生産への転換を促す枠組みの強化を図る。これらは金額を示さない事項要求として提出されており、年末の予算査定において過去の合算額以上を見据えた財源確保を目指す。
一方、需要に応えきれていない国産産品の生産拡大に向けては新規事業を要求している。具体的には、果樹や茶の生産向上に向け「果樹・茶生産飛躍的拡大事業」を新設し、31億円を盛り込んだ。同事業では企業などが参入する大規模経営体を対象とし、省力・多収品種への大規模な改植や新植を支援して需要の取り込みを図る。あわせてフードテック推進に502億円を計上している。
農地集約の加速へ
自治体支援を強化
農地集約を加速させるため、市町村が策定する「地域計画」の見直しを進める「地域連携型農地集約化サポート事業」を新設し、41億円を要求した。人手不足が課題となる調整実務に対し、専門家や司法書士の派遣、デジタル地図の導入経費を助成するほか、経営局に「地域計画・農地集約化推進室(仮称)」を設置して自治体支援を強化する。
また、みどり認定と連動させた環境直接支払交付金の再編や、農業個人事業主を対象とした「労働安全衛生対策」の義務化に向けた環境整備も進める。さらに、食料品の消費税引き下げに伴い手取りが減少する農家への支援対策についても、金額を示さない事項要求として位置づけ、必要な措置の検討を進めている。
消費税引き下げへの対応と
営農継続が課題
事項要求とされた重点施策において十分な予算枠を獲得できるのか
2027年度予算編成における最大の焦点は、事項要求とされた重点施策において十分な予算枠を獲得できるかにある。補正予算との一体化方針に伴い、当初予算の中で実効性のある財源をいかに確保するかが問われている。
特に「地域計画」の推進においては、現場の担い手不足や合意形成の難航を解消するための迅速な支援体制構築が欠かせない。また、農業構造転換や成長投資枠を活用した先端技術の導入など、生産性の向上と環境対応を両立させる取り組みが求められる。消費税引き下げへの対応を含め、現場の営農継続と経営安定に資する実効性の高い予算編成が今後の大きな課題となる。
DATA
取材・文/アグリジャーナル編集部
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