注目キーワード

道工具・資材

有機栽培の強い味方! 温室効果ガス排出0のぶどう園向け除草ロボで環境に優しい栽培を

有機栽培されたぶどうから醸造したオーガニックワインが今、若い世代に人気だ。化学肥料や農薬、除草剤を使用せず、環境にやさしい農法で栽培するには? 今回は、世界初のぶどう園向け除草ロボットを紹介しよう。

2017年に誕生した
「ぶどう園向け除草ロボット」

フランス南西部トゥールーズを拠点とするスタートアップ企業のナイオテクノロジーズは、2017年秋、世界初のぶどう園向け除草ロボット「テッド」を実用化した。

©Naïo Technologies

3000ヘクタール以上のぶどう園を所有するレ・グラン・シェ・ド・フランス(GFC)や南西部ボルドーの著名な生産者ベルナール・マグレ、南部ルーシヨンでビオディナミ農法(生体力学農法)を実践するドメーヌ・カズら、フランス内外のぶどう農家から広く注目を集め、2020年1月までの2年あまりで250ヘクタール以上のぶどう園に計20台以上の「テッド」が導入されている。

また2020年秋には、耐久性を高め、エンジンパワーを向上させた新型の「テッド」がリリースされた。GPSを用いて最高時速6キロで圃場を自律走行しながら、1日最大5ヘクタールを自動で除草。さらに昼夜を問わず、バッテリーで最長10時間稼働する。長さ4メートルの大きさに対して重さは1.8トンと比較的軽量なので土壌が圧縮されづらく、また電動式のため、温室効果ガスを排出せず騒音が生じることもない。

ナイオテクノロジーの特徴は、有力なぶどう農家と提携し、定期的にフィードバックを得ながら、「テッド」の開発を進めていること。2020年6月には、正式なリリースに先立ち、南部プロヴァンスにあるレ・グラン・シェ・ド・フランス傘下のぶどう園で、新型の「テッド」が試験的に導入された。人手をかけず、より効率的に除草できたという。



化学肥料・農薬・除草剤ゼロ!
環境に配慮したオーガニックワイン

有機栽培されたぶどうから醸造したオーガニックワインは、近年、環境への意識が高く、サステナビリティ(持続可能性)に配慮した商品を求める若い世代を中心に、人気を集めている。市場調査会社のリサーチアンドマーケットによると、その市場規模は2024年までに52億3000万ドル(約5648億円:1ドル=108円で換算)に達すると予測されている。

このような消費者の嗜好の変化に伴って、化学肥料や農薬、除草剤を使用せず、環境にやさしい農法でぶどうを栽培する生産者が増えつつある。また、フランスのぶどう農家では、人手不足も慢性的な課題だ。「テッド」は、除草剤に代わり、人手をかけずに除草できる新たなソリューションとして、今後、さらにニーズが高まると見込まれる。


文:松岡由希子

AGRI JOURNAL vol.19(2021年春号)より転載

関連記事

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. バイオスティミュラントの最新動向と基礎知識を学べる!協議会がセミナー開催...
  2. 強力な多年生雑草もすっきり一掃! コメリのおすすめ除草剤「マルガリーダ」とは?...
  3. 業界初!60度の急斜面でも草刈り可能な草刈機「ベローン」で安心・安全&ラクな作業へ...
  4. 病害虫を特定!農薬検索・購入までできる診断アプリ「エクスペスツ」体験レポート...
  5. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  6. 手強い雑草を制しつつ、環境にも優しい? “二刀流”の除草剤を使いこなせ!...
  7. 薄緑の葉色は「鉄欠乏」のサイン? 予防と対策は?
  8. フリーマガジン「アグリジャーナル」最新夏号7/19(金)発行!
  9. ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いは? メリットを専門家が解説
  10. 【植物工場ビジネスの最新動向と課題】現状は赤字が約半数。エネルギー削減の取り組み進む...

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.32|¥0
2024/07/19発行

お詫びと訂正