耕起作業が桁違いに速い! 生牧草生産者に訊く『ラバータイプディスクハロー』の魅力
2021/08/06
三菱農業機械が輸入販売をする『ラバータイプディスクハロー』が、長時間を労する耕起作業を短縮してくれると話題だ。同製品を活用して大規模経営の効率化を追求する生牧草の生産者を訪ねた。
大切な動物の飼料だから
安心・安全にこだわる
体調が優れず食欲がなくなった競走馬や動物園の草食動物が、喜んで食べる牧草がある。その理由を動物達は話してはくれないが、美味しいに違いない。今でこそ一般的になってきた生の牧草=生牧草だが、その元祖は千葉県四街道市に本社をおく中央牧草センターだ。1975年に設立、飼料に関する有機JAS制度ができる前から無農薬・無化学肥料栽培により牧草を生産。JRA中央競馬会などの競馬関係団体のほか、上野動物園などの動物園に向けて牧草を供給してきた、牧草のプロフェッショナルだ。
「もう40年も前の話ですが、もともと私は酪農家を目指していました。当地域を一大酪農産地にしようと大規模酪農を実践していた方の所で修行したのです。酪農の技術を磨いて酪農家として独立して……と考えていたのですが、人生は面白いもので、牧草に進むことになりました。というのも当時、独立した私を含めた数人は良質な牧草を乳牛に与えていました。
その牧草の品質が良い、だから牛乳が美味い、と話題になりました。それが競馬関係者の耳に入ったのでしょう、熱心に牧草の取引を依頼されたのです。そこで私のほか数人の酪農家が協力して中山競馬場(JRA)に牧草の供給を始めたのが始まり。1972年のことです」。
生牧草の愛用者は、JRA日本中央競馬会、美浦トレーニングセンター、大井競馬場といった競走馬関係のほか、上野動物園や大島公園動物園など。個人客向けのネット通販も増えている。
そう話してくれたのは創業社長の増田浩二さんだ。現在の圃場面積は延べ20ha。パート、アルバイト社員を含めて21人で管理している。中山競馬場との取引が始まると、後は一直線だった。顧客は関東近郊の競馬場や厩舎へ、また動物園にも広がっていった。中央牧草センターの生牧草は、他所の牧草と何が違うのだろうか? 次男であり経営企画室長を務める増田伸介さんが教えてくれた。
「牧草って一般の方がパッと見ただけではきっと雑草との見分けがつかないですよね? しかし、実際に栽培すれば分かるのですが、事業として無農薬・無化学肥料、そしてなにより動物にとって安心安全な状態を維持して生産を継続するのは本当に難しいのです。毎年動物たちのためになる生牧草づくりを目指して改善の繰り返しです。動物たちは本当に正直で、良くないものには口もつけないんですよ。本当に良いモノは彼らが教えてくれるんです」。
栽培技術の一端を説明してくれたのは、栽培管理を担っている、長男であり専務取締役の増田城光さんだ。
有機JAS取得済の『生牧草』は、無農薬・無化学肥料で生産される、安心・安全な飼料だ。鮮度の高い生牧草を届けるため、千葉の他に北海道や九州にも圃場を保有している
「無農薬だからといって、農薬を撒かないだけでは、牧草は雑草に負けてしまいます。また当社は無化学肥料で栽培していますが、有機肥料は使用しています。詳しくは言えませんが、肥料の種類、与えるタイミング、それから牧草を育てる工程に門外不出のノウハウがあるんですよ。牧草は、イネ科・マメ科に大別され、そのなかにも色々な種類があるのですが、これを回しながら栽培するのが大切です。それにより食味向上・雑草抑制・地力維持を同時に行っているんですよ。雪印種苗さんと協力しながら、より良い品種の開発も行っています」。
耕起作業を大幅短縮する
作業スピードと耕耘性能
三菱農業機械が3月に実施したヒサルラーディスクハロー「最後にもらえる」無料モニターキャンペーンに応募して、見事に当選した中央牧草センターに今春、新しい作業機が導入された。
それが三菱農業機械が2020年に輸入販売を開始した、ヒサルラー社製作業機『ラバータイプディスクハロー』だ。耕起作業をスピーディかつ省燃費で行うことができる。これまでも海外製の高性能なディスクハローは日本市場に入って来てはいたが、それらは大き過ぎたり、日本の圃場にマッチしない作りだったり、また極端に高価だったり、といった製品が多かった。三菱農業機械は、そこに目を付けた。高機能な海外製でありながら適価、そのうえ日本の圃場にマッチさせたディスクハローの輸入販売を決めたのだ。
『ラバータイプディスクハロー』は、耕起作業を圧倒的な速度で行える。かつPTOを使用しないので燃料費を抑え低コストだ。
ラバータイプディスクハローはサイズに応じた3タイプをラインナップしており、80馬力以上のトラクターに適合する。機構そのものはシンプルであり、前方に2列の花形の大径ディスク、後方にはトゥースローラーと、3列の回転部品がラバーマウント(高強度ながら振動を吸収するゴムを介して搭載)されている。構造がシンプルだからメンテナンス性が極めて高いのもメリット。洗車後のグリスアップ等の作業が不要なのだ。
「無料モニターには1000件を越える応募のなかから当選したそうで、社長は飛び上がって喜んでいましたよ。今日は80haの圃場をラバータイプディスクハローで耕起します」と、本製品を実際に日々使用している城光さんは話す。牧草の場合、収穫時は毎日、軽トラックで圃場に入るため、土壌が固められている。そのためラバータイプディスクハローの使用前にプラウを掛けているそうだが、水田や一般的な畑作なら、その必要もないだろう。
「使用してみた感想ですが、とにかく作業速度が桁違いに速い。これまで行っていたロータリーでの作業は3㎞/h程でしたが、ラバータイプディスクハローは最高15㎞/hで作業できる。作業時間が半分になりました。燃費も良いですね。作業機の駆動にPTOを介さない構造だからでしょう。まだ使い始めて日が浅いので正確な数値は出ていませんが、相当のコストダウンを実現できると期待しています。
最近、『作業を請け負ってほしい』『農地を手放したくないけど作業が辛くて……』という方から、連絡をいただくことが増えています。当社では『これ以上、耕作放棄地を増やしたくない』という想いから、可能な限り引き受けているのですが、当然のことながら面積が増えれば作業量も増える。それに対応する手段の一つが、優れた機械の導入です。
作業を効率化して経費を削減できれば、持続可能な生産が可能になります。そして少しでも、当地に動物と地球に優しい農業を残していきたいんです」。
PROFILE
中央牧草センター 専務取締役
増田城光さん
クルマ好きが高じて自動車業界に進んだが、社会に出たことで、牧草生産の価値を実感して就農したという城光さん。「動物が喜ぶ牧草を生産することで、家族と社員、それと地域農業の幸せに貢献して行きたい」と語ってくれた。
問い合わせ
文:川島礼二郎
AGRI JOURNAL vol.20(2021年夏号)より転載
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