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生産者の取り組み

成功する農業後継「父から子へ、高い生産性を実現」

花の品質へのこだわりを
父と語り合う

どんな農業でもそうだが、花づくりは特に生産技術に個性が出る。植物ホルモン剤を噴霧するタイミングなど、栽培方法へのつくり手の感性が重要であり、その個性によって、仕上がりが違ってくる。

例えば、節間のつまり具合、花首の長さ、草姿の良し悪しなど。細かい面での見栄えや、花の持ちによって、価格が1本10~15円、販売価格で10~20%も変動する。外観・品質を安定して出せるか出せないかが、農家の信用に大きく影響し、出荷価格にも作用する。

菊も品種ごとに栽培マニュアルがあるが、幹大さんは、自分なりに様々な技術要素を組み合わせ、工夫して栽培してきた。和雄さんが自分にハウスを任せるか否かの検討を始めた頃、幹大さんは気がついた。「自分も1人の農業人として、花の品質などを父と話し合わなければならない」。

菊栽培で和雄さんと対峙したときに「技術では敵わない」と何度も感じたが、そこで諦めはしなかった。自分のつくった花の品質を、父に理解してもらえるよう、地道に努力を重ねた。4回目の設備投資のときも、最終的には、幹大さんの「花づくりへの情熱」が、和雄さんの気持ちを動かした。

幹大さんは、目標通り「農林水産大臣賞」を受賞(2006年青年農業者会議全国大会)、他にも「九州花卉振興協議会長賞」(2011年九州輪ギクサミット)、「大臣賞」(2012年県農業コンクール新人王部門と、2015年熊本県花卉品評会)を受賞。外部からの評価をえていたことも、和雄さんの信用を買う手助けになった。

父の決断から自分の決断に。
高い生産性を実現

3回目の設備投資までは、和雄さんが決断していたが、4回目のとき、ついに幹大さんが決断することになった。

この投資は、当初30aで予算7千万円の増強計画だったが、面積規模20aで5千万円強の投資に変更して実行。面積規模の変更は、父の経営経験の知恵を取り入れたうえで、自分で決断することができた。幹大さんは、「これは父から一人前と認めてもらった瞬間だった」と感じた。

計4回の大きな設備投資は、現在の完全通年栽培の、高い生産性の確保と事業規模の拡大につながっている。幹大さんにとってこの決断は、父と自分で歩んできた道そのものだ。

現在では、栽培技術の進歩を適切なタイミングで確実に享受し、年11.0~11.5ヶ月出荷できる体制を敷くことができている。生産量と販売額も順調に伸びてきている。今後も品質の高い菊を効率良く生産し、事業を拡大していきたいと考えている。

~つづく~

※次回配信をお待ち下さい。リンクからはまだ飛べません。

話を聞いた人

菊ばり農園3代目 熊本県天草市生まれ 37歳
藤島幹大(ふじしまみきひろ)さん

 

菊ばり農園2代目 熊本県天草市生まれ 64歳 
藤島和雄(ふじしまかずお)さん

取材

「親子農業」研究員 ㈱ビジネス・ブレークスルー所属

乾祐哉

監修

親子農業指導教官 ㈱みやじ豚代表取締役

宮治勇輔

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