注目キーワード

生産者の取組み

データ共有で地域農業の生産性向上へ! ハウス内環境の測定・制御を低コストで実現した「e-minori」って?

ハウス内環境を見える化している生産者は少なくない。しかしここで紹介するのは、優れた生産者のハウス内環境データを仲間同士で共有することで地域の農業を盛り上げよう、という珍しい取り組みだ。

福岡市で“あまおう”を題材に
実証実験スタート

福岡市西区の複数のイチゴ農家がスマート農業の実証実験を行っている。取り組んでいるのはStrawberry Discussion Club(SDC)。JA福岡市いちご部会に所属する若手イチゴ農家の有志が、その構成メンバーだ。きっかけを作ったのは福岡市。同市は2019年度より、魅力ある都市型農業を推進する『福岡市スマート農業推進事業』に生産者・中村学園大学・九州大学・事業者と連携し取り組んでおり、『福岡市実証実験フルサポート事業アグリテック』を活用して実証実験が始まったのだ。SDC会長の藤野さんが教えてくれた。
 
「SDCのメンバーは今19人です。『あまおう』は全国的にも知られていると思いますが、それでも福岡市のイチゴ農家は高齢化していて、農家の数も減っている現状に危機感を感じています。そんな時、福岡市から声をかけていただいたのです」。 続けて、同じくSDCの中尾さんが説明してくれた。
 
「実際に何をしているかというと、藤野さんのほか、楢崎さんと私の3人のハウスに『e-minori』を設置しました。この3名が地域では収量が多いので、私達のハウス内環境をメンバーにも共有して、そのうえでハウスを見学したり議論することで、メンバー全員の収量を底上げするのが狙いです」。
 


この日取材したのは、世界一重いイチゴを生産したギネス記録保持者の中尾さんのハウス。取材日には朝採れの『あまおう』を振舞ってくれた。それは驚くほど大きく、甘く、そして瑞々しい。

『e-minori』は11月末に導入した。設置は工事不要で簡単だったという。ハウス内環境のほか土壌の情報、ハウス外の情報も測定できる。取得データはクラウドにアップされるが、それを設定により許可した複数のユーザー間で互いに閲覧できるのがポイントだ。またスマホ等で制御ノードを操作することで、加湿器やCO2発生器、電磁弁等の遠隔操作が可能。これは設置したメンバーのみが得られるメリットだ。
 
「『e-minori』を使いこなすことで、メンバー全員の収量増品質向上、それに作業の効率化実現に期待しています。一人でそれを達成するのは難しいですが、仲間と取り組めばできるはず。地域全体を底上げすることで『あまおう』の産地として盛り上げたいと思っています」(藤野さん)。
 
『e-minori』を利用することで、福岡市の都市型農業は活性化できるのか?
 

実証実験スケジュール

Start! 2019 NOVEMBER
それぞれの圃場に『e-minori』を設置


写真は室内の温度・湿度・CO2濃度、照度、気圧を測定するセンサー。他に、土壌センサーからは、土壌温度・体積含水率・電気伝導度を取得できる。さらにハウス外でも温度・湿度・雨量なども測定。

作業内容を日誌機能に記入


『e-minori』はハウス内環境を離れた場所から確認できるだけではない。スマートフォン・タブレット端末等を通じて制御ノードを操作することで、加湿機やCO2発生機、電磁弁(潅水機)を遠隔操作できる、複合環境制御システムだ。

メンバー内でデータを共有

収量の多いメンバーのハウス内環境情報を仲間に共有して地域全体の底上げを図る。メンバーの楢崎さんは「データを公開する代わりに他のメンバーのハウス内環境を参考にできます。持ちつ持たれつです」と笑顔で語ってくれた。

収量を確認

2020 SPRING
収量の多い圃場に環境を合わせる

参加農家を増やす

全体の収量をUPさせる

省力化などの事例も共有

GOAL!
利益率UPへ!

 

PROJECT MEMBER

福岡市農林水産局 政策企画課 吉村さん、坂本係長。スマート農業推進事業の主体。
 

左から、StrawberryDiscussion Club(SDC)石田さん、中尾さん、会長の藤野さん、楢崎さん。普段から公私ともに何でも相談しあえる仲だ。
 

ディーピーティー株式会社R&D事業部 事業開発室 営業グループ石原さん。複合環境システム『e-minori』を製造・販売。
 

福岡市実証実験フルサポート事業


福岡市は社会課題の解決や生活の質の向上などを目的とした「福岡市実証実験フルサポート事業」のなかで、AIやIoT等の先端技術を活用した「アグリテック」に関する実証実験プロジェクトを全国から公募。優秀なプロジェクトについては、福岡市での実証実験を全面的にサポートしている。
 

e-minori

ハウス内設置イメージ


ハウス内環境の測定と制御をリーズナブルに実現するのが『e-minori』。ハウス内外と土壌の情報をセンサーで測定してクラウドにアップ、スマホ等から確認できる。スマホ等の画面で制御ノードを操作して暖房機やCO2発生器、電磁弁等を遠隔操作できる複合環境制御サービスだ。工事不要の簡単設置も長所。
 

システムイメージ


 

問い合わせ

ディーピーティー株式会社
TEL:0120-004-018

問い合わせの際は、「アグリジャーナルを見た」とお伝え下さい。 


photo: Yuki Katsumura 
text: Reijiro Kawashima

AGRI JOURNAL vol.14(2020年冬号)より転載

Sponsored by ディーピーティー株式会社

関連記事

特集企画

アクセスランキング

  1. ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いは? メリットを専門家が解説
  2. 最初に混ぜるだけでOK!? タマネギ栽培に欠かせない便利な肥料
  3. 10年掛かる土壌改良が短期間で可能に! 天然腐植物質に含まれる「フルボ酸」の効果とは...
  4. 成功する農業! 有機肥料と化成肥料の基本とやり方を徹底解説
  5. 草刈のプロに聞いた! 農家のお悩み別「刈払機選び」のポイント
  6. アゲトラ・コンプリートからDIYペイントまで! 軽トラカスタムがアツい
  7. 課題にあわせた肥料を提供! データ分析であなた専用の処方箋が得られるウェブサービス...
  8. いま人気なのはコレ! 押さえておきたい「売れ筋トマト品種」15選
  9. 手押し一輪車を電動化へ! 作業負荷を軽減できる改造キット「E-cat kit」とは...
  10. “食料自給率”を上げるのは誰? 生産者の努力だけで自給率は上がらない...

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.21|¥0
2021/10/13発行

お詫びと訂正