Googleフォームで日報を作ろう!【導入編】農家が30秒で入力できる、続けられる日報とは #12
2026.08.28
ベンチャー企業出身農家のコラム『マシュー農LABO』。Googleフォームで日報を作ろう! 今回は、高機能アプリで挫折しがちな農家の方も続けられる日報の考え方と全体像を解説する。
はじめに
「毎日の日報を日誌に書いている」
「日報は書いているけど、確認することはほぼない」
「日報とかアプリとかサービスを活用したいけど、お金をかけれる余裕がない」
農家は記録が大切。僕も就農してまっさきに言われました。
「気づいたこと、なんでもメモっとけよ」
最初は日記に書いていましたが、家族やパートさんとの共有、日報データの分析など紙では難しい場面が増えてきました。
そこで、活用しているのがgoogleの無料サービス「Googleフォーム」です。
本来はアンケートをとるためのサービスですが、日報に活用できないかな?と試してみた結果、見事にはまりました。
うちは5haのさつまいも農家で、時期によっては複数人が別々の圃場に散ります。誰がどこで何をして、何に気づいたのか。それを共有する手段が、長いあいだ「その日の夜のLINEでのやりとり」しかありませんでした。
これまでに、生産管理システムを導入したこともありました。しかし、なかなか定着せず、何度か失敗に終わっています。
結論。高機能なアプリやサービスほど現場では回りません。
理由ははっきりしていて、入力する人の負担が大きいからです。
そこで、Googleフォームを日報の入り口にしました。全部無料です。スタッフはGoogleフォームへのリンクをタップして、30秒で送信して終わり。送られたデータは勝手に貯まって、勝手にグラフになって、チャットに通知が飛びます。
農家の本業はあくまで作物の栽培管理です。いかに栽培に集中できる時間をつくるか、いかに入力する人の負担なく、データを蓄積できるか。これが続くための日報のキモであると思います。
今回からのGoogleフォームシリーズは以下の3回に分けて紹介します。
①導入編(この記事)
なぜ日報は続かないのか。何を作るのか、その全体像と設計の考え方。
②実践編
実際に日報の作り方を紹介します。フォームの項目設計、スプレッドシートへの蓄積、Looker Studioでのダッシュボード化まで手順どおりに。
③応用編
自動で通知をさせる方法、溜まった日報をAIに読ませて要約させるところまで。
読み終わったころには、自分の農場用の日報システムが1つできあがっている状態を目指します。
1.なぜ日報は続かないのか
2.「日報」と「作業日誌」を分ける
3.なぜGoogleフォームなのか
4.日報として作るものの全体像
5.「GOOD PEOPLES」の日報をご紹介
6.おわりに
なぜ日報は
続かないのか
書かないといけないことはわかっているのに、書けない。
なにを書けばいいかわからない。
そんな暇がない。
できない理由は無限にでてきますが、僕の場合は書くのが面倒くさくなってしまい書くのを1日サボってしまう。
「昨日も書いてないし……ま、いっか」
その繰り返しが続かないパターンでした。
日報アプリが続かない理由を考えてみました。
1. 入力が重い
アプリを開き、ログインする、圃場を選ぶ、作業を選ぶ、面積を入れる、使った資材を選ぶ。夕方、泥だらけの手で軽トラの中でやる作業ではありません。3日で「まとめて明日書きます」になり、1週間で止まってしまう。
2. 書いても誰も見ない
これがいちばん効きました。書いた本人からすると、送信ボタンを押したあと何も起きないんです。反応がないものを毎日続けられる人は、そんなに多くありません。
3. 何のために書いているのか分からない
記録が意思決定につながっていないと、ただの作業になります。「あとで振り返るときのために」は、現場では続ける理由になりませんでした。
「日報」と
「作業日誌」を分ける
いろいろやってたどり着いたのは、日報と作業日誌は混ぜるなという結論でした。
作業日誌 = いつ・誰が・どこで・何を、何時間。あとから集計して原価や労務を出すための数字的な資産データ
日報 = 今日気づいたこと、困っていること、体調。人の側の感覚的な情報
この2つを1つのフォームに詰め込もうとすると、必ず入力が重くなります。
僕は作業日誌のほうは別でGoogleカレンダーで管理していて、Googleフォームで扱うのは後者の日報だけにしました。項目を絞った瞬間、入力時間が30秒になり、そこから続くようになりました。
日報に完璧さは要りません。空欄だらけでも、毎日継続して送信されるほうが100倍マシです。
なぜ
Googleフォームなのか
では、なぜ農業にGoogleフォームなのか?おすすめする理由をまとめました。
無料
人数が増えても料金が変わりません
アプリのインストールもログインも不要
URLをチームメンバーのLINEグループに固定しておけば、タップして即入力
回答が自動でスプレッドシートに貯まる
集計を人がやらなくていい
項目をあとから変えられる
ここが実は最大の利点です
オーダーメイドで簡単に項目を修正できて、改善を加えられるのが大きな強みです。改善を加えながら、日報をあなたの農園に合わせてカスタマイズできます。既製のアプリやシステムだと項目は決め打ちですが、フォームなら「この質問、誰も答えてないな」と思ったら翌日には消せます。
うちのフォームも、最初の形から何度も変わりました。農場の形に合わせてシステムが動くという、本来あるべき順番になります。
日報として
作るものの全体像
構造としては4つの層です。
1.入力する ── Googleフォーム(スマホ)
2.貯める ── Googleスプレッドシート(自動連携)
3.見る ── Looker Studio(旧Googleデータポータル)でダッシュボード化
4.届く ── 送信されたら自分のLINE宛に自動通知
多くの解説記事は1と2で終わります。でも冒頭の「書いても誰も見ない問題」をなくすのは、実は3と4です。ここまでやって、はじめて日報が回りはじめました。
「GOOD PEOPLES」の
日報をご紹介
Googleフォームを使うとどのような日報ができるのか?参考までに僕が作成しているGoogleフォームの日報をご紹介します。
項目は極限まで減らすことがポイントです。簡単に解説させていただきます。
記入者を選択

記入者は選択式がおすすめです。何度も言いますが、いかに入力を減らすかが続く日報のキモになります。毎回、名前の入力は地獄です。またメールアドレスでのログインも地獄です。なので、名前はニックネームなど、書いた人が誰かがわかれば何でもOKです。
作業場所

作業場所を選択、圃場や倉庫など作業した場所の報告箇所です。
簡単な作業内容

簡単に作業内容を入力してもらいます。詳しい作業記録は僕はGoogleカレンダーで記録していますがチームメンバーには簡単な報告だけで終えられるように設計しています。とにかく入力の負担を極限まで減らす。
今日学んだこと

ここからは任意の入力エリアになりますので、なければ空欄でも構いません。僕自身も毎日、学びがあり、毎日一歩でも前進したいと思っているので、なんでもいいから学んだことを共有し合おうということを伝えています。
改善アイデア

日々の作業の中で浮かんだ、改善アイデアを報告してもらう項目。できる、できないはありますが一旦気づいたこと、こうなったらもっと作業しやすい、効率が上がりそうというアイデアはいくらあっても困りませんからね。
例えば、こんな感じでいろんなアイデアが日々あがってきます↓

連絡・共有したいこと

日報のいいところは、直接言えないようなことも気軽に報告できること。こんなこと言ったらだめかなぁみたいなストレスが明らかに減りますし、チームとしても日々の報告共有で作業の効率が向上します。
今日の調子は?

最後に簡単ですが、今日の調子を入力してもらっています。やはり精神的にある程度安定した状態でないといい仕事はできないと思うので、ある程度メンバーがなにか悩んでいるのか困っているのかを確認できる指標にしています。

データがたまってくるとこのようにグラフで見た時に、一目瞭然です。
このように、7項目で日報を作成していますが、絶対入力しないといけない項目は名前、作業場所、作業内容の3項目です。これであれば、続けられる範囲でした。
また学んだことやアイデアも、時間があるときはたくさん記入してくれるメンバーもいたりして、こちらも勉強や改善のキッカケになることが多々ありました。
おわりに
農業は、記録が大事。本当にそう思います。ですが、朝から晩まで働いて、そのあとの記録作業は想像以上に大変です。
テクノロジーはそんな僕たち農家のためにあると思っています。記録をデータとして、次の成長に活かす。その一歩を始めるために、簡単なGoogleフォームでの日報共有にぜひ一緒に挑戦しましょう。
プロフィール
藤井マシュー武雄

宮崎県新富町にて、7年前に就農。現在はさつまいもを6ha,大根や人参などの露地野菜を1ha栽培しながら、さつまいも観光農園 GOOD TIME FARMを運営。収穫する喜びを多くの人に体験してもらおうと、日々活動しています。GOOD PEOPLES代表。
HP:https://gdps.jp
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