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【特別対談】誠和×ノーリツの異業種コラボ! 『真呼吸』が農業の今後を変える?

低温CO2施用機『真呼吸』は、農業を知り尽くし環境制御技術を持つ「誠和」と、燃焼技術を活かした湯まわり設備メーカー「ノーリツ」との、異業種間コラボレーションで生まれた製品だ。この両社は、どのように出会い、如何にして『真呼吸』を生み出したのだろうか?

» 低温CO2施用機『真呼吸』ってどんなシステム?

奇跡的な出会いから生まれた
低温CO2施用機『真呼吸』

株式会社誠和 統括本部 部長 大出浩睦氏(以下敬称略):開発担当者が、熊本の生産者様の声を聞いて「熱の出ないCO2発生器を開発したい」と申し出たことが、誠和における『真呼吸』開発の始まりでした。

低温のCO2施用機としては既に生ガスのCO2施用機は自社製品として保有していましたが、ランニングコストが高い。その熊本の生産者様のリクエストは「灯油のランニングコストで低温のCO2を施用したい」というもの。このご要望に応えようと、社として低温CO2施用機の開発を決定しました。

株式会社ノーリツ 温水事業部 温水事業企画室 事業開発グループ 中本達也 氏(以下敬称略):我々ノーリツは湯まわり設備メーカーとしては地位を確立していますが、新規事業を検討していました。それに際して、自社資産を活用することで社会課題の解決に貢献できる分野を探索したのですが、それが施設園芸分野の環境制御でした。

弊社は住宅における「人のための環境制御」を主業として来ましたが、今度は施設園芸において「植物のための環境制御」をやってみようと。なかでも自社の強みである燃焼技術を活用できるCO2施用機に注目して、機器構想に着手しました。

大出:誠和からノーリツさんに電話を掛けたのが、丁度その頃です。誠和が目指したのは灯油燃焼式かつ低温のCO2施用機でしたから、自社でボイラー開発に取り組みました。

しかし様々な事情があり、なかなか開発は容易ではありませんでした。そこで、とある展示会で名刺交換をしていたノーリツさんの存在を思い出して、突撃するように電話を掛けてみたのです。これが2017年のことでした。

中本:誠和さんからお電話をいただいたのは、本当に奇跡的なタイミングでした。

実はノーリツでは、製品版『真呼吸』の原型に近いプレプロトタイプの開発までは、その時に辿り着いていました。ところがノーリツにとって農業は全く畑違いの分野ですから、事業化という点で不安がありました。ノーリツには農業機器の販売チャンネルもありませんし、実際の栽培においてどのように使えば良いのか、といったノウハウもありません。

そのタイミングで、農業を知り尽くし、環境制御技術を持つ誠和さんからお電話をいただいたので、すぐさまミーティングの機会を設けました。そこで意気投合し、共同開発させていただくことになったのです。

大出:あの電話は本当に奇跡的なタイミングでしたね! 一方で、偶然だけではなくて……ミーティングを重ねるなかで両社に「生産者の役に立つ製品を生み出したい」という共通の想いがあることが分かった。その想いも、この共同開発を円滑に進めるうえで、両社を支えてくれたと確信しています。

中本:その通りですね。開発の出発地点が同じでしたから、手を携えながら製品化というゴールを目指すことができたのだと思います。

プレプロトタイプまでは開発していましたが、ノーリツとしては、安全性については絶対に譲りたくない部分がありました。『真呼吸』は灯油を燃焼させるわけですから、理屈としては不完全燃焼は起こり得ます。ですからCO警報器をシステムに標準で組み込み、使用者様に安心してお使いいただきたかった

当然コストアップに繋がるのですが、ノーリツが農業分野に参入するのですから、一歩進んだ価値観を伝えたい、という想いがありました。そうしたノーリツ側の想いを誠和さんが汲んでくださったのは嬉しかったですね。

大出:ノーリツさんがおっしゃる理屈は、もちろん理解できました。安全性を高めることが結果的に農家の方々のためになるわけですから「そこは標準装備で行きましょう」と快諾させていただきました。

一方で、誠和側からノーリツさんに農業における環境制御のノウハウをお伝えすることで、プレプロトタイプから製品化するうえで、より生産者様が喜ぶ仕様にブラッシュアップできました。

そして2018年9月から段階的に10の農家さんにご協力いただいてモニター試験を行い、効果が確認できたので製品化しました。

中本:この共同開発では、両社の強みをシッカリ出せましたね。

環境制御に関しては、単なる機器の提供で終わらず、栽培・使用方法に至るトータルサービスを提供して生産者様に寄り添うことが重要だと考えています。日本一の栽培技術をもつ誠和さんと組むことができたのは幸運でした。

ノーリツでは、経営という観点でも必要となる安全や省エネ・環境配慮といった概念を、今後の農業分野における機器・サービス開発に反映して行きたいと考えています。それには誠和さんとの協力は欠かせません。

大出:誠和でも、この共同開発は非常に有意義だったと感じています。モニター導入された生産者様の声が、それを物語っていますよ。

「収量が増えただけでなく、品質が向上した」、それに「導入コストは早ければ2~3年で回収できる!」なんていう力強い言葉もいただきました。『真呼吸』が生産者様の役に立つ製品であることを代弁してくれているのです。

ノーリツさんのような異業種との共同開発は、実は誠和にとって初めての試みでした。他業種にも、優れた製品を生み出すことで社会を良くして行きたい、今の日本の農業をもっと「儲かる」ものにしたい、と考えている企業さんがいらっしゃいます。

誠和としては今後もノーリツさんと手を取り合って、農業界にパラダイムシフトを起こして行きたいと願っています。『真呼吸』は、そういう意味でもすごく重要な製品であり、今後この『真呼吸』をスタート地点として、ノーリツさんとの連携を深めて行きたいですね。

<製品概要>
製品名:真呼吸(低温CO2局所施用システム)
センサー:株式会社誠和の環境測定器「プロファインダー」(別売品)を使用
※他社製環境制御機器からの外部信号入力も可(一部対応できないケースもあります)
CO2供給量:外気温20℃以下で6.7kg/h(外気温により供給量は変化します)
電源:送風機のみ三相AC200V(50Hz/60Hz)、その他単相AC100V(50Hz/60Hz)
価格:発売記念キャンペーン 先着100台 1 反あたり110万円(税抜)~

問い合わせ

株式会社誠和
TEL:0285-44-1751

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