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雑草の種類を瞬時に判別! 毎日の農作業がラクになると話題のAIアプリを試してみた

写真を撮るだけで害虫・病害・雑草の診断ができる、画期的なスマートフォンアプリ『レイミーのAI病害虫雑草診断』。今回は「お米アドバイザー」の認定を持つ米問屋であり、食味豊かな「ホタル米」を栽培する米農家・安藤純一さんに、その実力を早速試してもらった。

各地に点在する圃場を管理
効率的な農作業を目指したい

茨城県北部、清流・那賀川流域に位置する城里町。そこで、優れた品質と食味で人気の「ホタル米」の生産・販売しているのが、有限会社桂農産の安藤純一さんだ。「ホタル米」とは、その名の通り、ホタルがすみつくほどきれいな水田で育てられたコシヒカリのこと。同地域内の城里産コシヒカリが「お米日本一コンテスト」において最優秀賞の受賞歴があるなど、近年、全国的にも注目を集めているお米だ。
 
本業は米問屋という安藤さんは、取引先農家の高齢化や離農という問題に直面し、約5年前から農業へ新規参入。毎年少しずつ規模を拡大し、現在は12町歩ほどの水稲栽培を自社で手がけている。
 
「農業部門は父と私の2人で担当していますが、圃場が約30箇所ほどに点在しているので管理するのも大変。遠いところでは10kmほど離れていて、朝の見回りだけで3時間かかることもザラです。今後も圃場の拡大を進めていく予定なので、効率化を進めていきたいと考えています」(安藤さん)
 
水稲農家にとって最も頭を悩ませられる問題といえば、雑草・病害虫の防除が挙げられるだろう。圃場の環境条件によっても生じる問題が異なるため、各地に圃場を持つ安藤さんのような農家の場合、それぞれに対策を講じねばならない。
 


お米のプロフェッショナルの証「お米アドバイザー」の第1回合格者のひとりでもある安藤さん。常にプロの厳しい目で品質管理を行う。

早速体験スタート!

高度なAIを搭載したアプリで
病害虫・雑草を診断

作業の効率化を図るべく、今回安藤さんに試してもらったのが、スマートフォン用アプリ「レイミーのAI病害虫雑草診断」(開発:日本農薬株式会社)だ。スマホで撮った写真から、農作物に被害を及ぼす病害虫・雑草をAI診断。診断結果によって、有効な薬剤情報の紹介までしてくれるという画期的なアプリである。
 


芽生えを撮影して、アプリで診断。診断精度を高めるため、画面中央部に、対象物が位置するよう調整する。

 

芽生えから判断でき、
適した農薬が分かる!

安藤さんがアプリを試してみたのは、数年前まで耕作放棄地だったという圃場。年々、改良が進んではいるものの、雑草が発生しやすいのが悩みの種だという。防除策として、田植えと同時に初期剤を、約一週間後に一発剤を散布。その後は、雑草の発生状況によって適宜、判断し、中期剤を撒き、対応しているそうだ。
 
小さな芽生えを発見した安藤さんは、早速、スマホで撮影。「AI診断」をタップすると、ホタルイ、クログワイ、ウリカワ、オモダカなどAIの自信度が高い順に雑草名が表示された。さらに、該当する成育ステージ画像を選択すると、対象物の防除に適した薬剤がずらり。
 
いつもは自分の目で確認して雑草の種類を判別し、薬剤を決めているという安藤さんだが、「芽生えが小さい時は、判別がしづらく、自分自身も絶対にこれだという確信がない。こうやってアプリによって、いくつかの可能性を示してもらえるのはとても心強い」との感想。
 
ちなみにアプリには「AI診断」だけでなく、自分で撮影物を診断できる「カルテ式診断機能」も搭載。撮影した写真と病害虫・雑草ミニ図鑑の写真を比較しながら自分で診断できるため、“自信がないとき”にも背中を押してくれる有効な判断材料になるだろう。
 


対象物を見事に診断。AIの自信の高い順に、上部のバーでパーセンテージ表示される。

 

履歴をマッピングして
表示するから検証も楽々

続いて、別の場所でアメリカセンダングサを発見し、撮影・診断。同じ圃場内でも場所によって雑草の種類が異なるケースも多いが、同アプリでは、写真の撮影場所と診断場所をマップ上に表示することが可能。履歴として一定期間保存されるため、あとでゆっくり検証し、防除策を練る際にも役立つ。
 
「圃場が点在しているので、この機能は便利ですね。その場で診断するのではなく、とりあえず撮影だけして、あとから位置情報とまとめて診断、確認したいです」(安藤さん)
 


アプリ内の天気予報とともに表示される「いもち病の発生予測」。ピンポイントの天気予報機能も開発中だ。

 

いもち病予測機能で、
防除予定も立てやすい

雑草・害虫同様、水稲にとって脅威である病害。とりわけ、多雨・多湿のときに発生しやすく、多大な被害をもたらすいもち病は、農家の大敵だ。同アプリでは病害の診断はもちろん、「いもち病の発生予測機能」を搭載。スマートフォンの位置情報から、現在地の気象状況をもとにしたいもち病の発生予測情報の結果を表示してくれるのだ。
 
現在地の天気予報もチェックでき、今後の開発では、より「局地的な予報」を実現していく予定だという。「現在見ている天気予報は、茨城県の南部、北部にわかれているもの。でも、この辺では雨が降っても、ほんのすこし離れた場所では降らないことも多い。地域ごとの天気がわかるようになれば、農薬を撒くタイミングも迷うことがなくなり、ありがたい」(安藤さん)
 


アプリを見ながら、スタッフと状況共有。経験の有無を問わず、診断でき、簡単にシェアできる点もアプリの魅力。

 

安藤さんの感想

雑草の防除は、毎年の課題。初期剤、中期剤で防除に取り組んでいますが、それでも去年は草が多いところは稲が負けてしまい、減収になった圃場もあります。芽生えが小さいうちに対策を講じることが大切ですが、その判断はすべて私ひとりで行っているので、確信が持てないときも……。

自分でこれだ! と思った薬剤をかける、でも、効きかない。その原因が、時期の遅さなのか、薬剤の選択そのものが誤っていたのか、答えがあやふやなまま次の年を迎えてしまうこともありました。

でも、このアプリを使えば、自分以外の意見を聞くことができる。アドバイザーがひとり増えるようなものです。いくつかの可能性を示してくれるので、その結果をもとに専門家に相談することもできますよね。今さら誰にも聞けなかったことも、このアプリを使い、知識を深めていくこともできると思います。

外部の人に水の管理を委託している圃場もあるのですが、写真を撮って送ってもらうだけで診断ができるのも利点。農業の効率化を目指して、ぜひ活用していきたいと思います。
 


安藤さん(写真中央)、日本農薬株式会社の農学博士・岡田敦さん(左)、同社の横田直也さん(右)

 

 

問い合わせ

『レイミーのAI病害虫雑草診断』
日本農薬 技術普及部カスタマーサービス
TEL:03-6361-1414

問い合わせの際は、「アグリジャーナルを見た」とお伝え下さい。


文・写真:曽田夕紀子(株式会社ミゲル)

Sponsored by 日本農薬株式会社

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