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畦畔の草刈りはロボットにお任せ!長野県信濃町で実装実験

経営規模を拡大するほど増えるのが畦畔の草刈り。農家の負担になっていたその草刈りをロボットに任せられる日が近づいてきた。長野県信濃町で動き始めたプロジェクトを見る。

規模拡大のネックは草刈り

人口減や高齢化が進む中山間地域では、離農者が増える一方で、経営が放棄された農地の耕作を頑張っている農家が引き受けるケースが多い。特に水田はそうした傾向が強く、近年は稲作経営の規模拡大が進んでいる。そこで課題となるのが畦畔の管理、すなわち草刈りだ。

風通しを良くし、雑草や害虫の発生を抑えるために草刈りは欠かせない。だが、時間も労力も取られ、誰かに作業を頼むと費用も掛かる。ならば、その草刈りを自動運転のロボットに任せることで農家の負担を減らそうと、内閣府の地方創生推進交付金を活用して令和元年度から実装実験に取り組んでいるのが信濃町の信濃ロボティクスイノベーションズ合同会社(SRI、代表社員=赤堀哲也氏)だ。

事業期間は3年度までの3ヶ年間。すでに設定通りに草刈りが行える試作機は開発済みで、現在は実証実験の段階に入っている。今後は実用化に向け実験で明らかになった課題の解決に取り組む。

SRI)学習型自動運転草刈機 実証実験 2021 from MPO Labs. on Vimeo.

衛星データ活用し高精度で自動走行

マシンは同じ長野県内の株式会社牛越製作所(岡谷市、牛越弘彰社長)のラジコン草刈機「かるずらーKZ-05」を採用した。同機に専用コンピューターを搭載し、約30個の衛星データを活用した位置情報を町内に設けた基準局を通じて伝え、完全自動走行で畦畔の草刈りを行わせる。500円玉の中にポジショニングが可能なほど位置取りの精度は高く、誤って作物を刈る心配はない

草刈り能力としては、30分でテニスコート約2面に相当する495㎡の草を刈ることができる。自動運転なので夜間作業も可能で、野生動物の食害を防ぐ効果も期待できる。実用化後の運用については、面積と使用頻度に応じて月額料金を支払ってもらうサブスクリプション方式を想定している。

課題は、マシンが1台130万円と高額で、さらに自動運転システムを搭載するコストもかかること、マシン自体は電動モーターで走行するが、草刈機はエンジン方式のためスパークノイズなどによって通信精度が低下する恐れがあることなど。コスト面では大量生産によるコストダウンを可能にするためのマーケット拡大に取り組む。マシンについては草刈機の機構も電動に改良することにしている。



ロボットを活用して
わくわくする農業をやりたい

長野県北部で新潟県との県境に位置する信濃町は、標高600~700mに住民の多くが暮らす典型的な中山間地域だ。町内には多くの水田があるほか、トウモロコシや蕎麦の産地としても知られる。畦畔率は平均8.2%と全国平均の4%に比べて倍以上も高く、傾斜が厳しいところでは12%にもなるケースもある。役場産業観光課によると、畦畔の管理が農業を営む上でのネックになっているとの声が多く寄せられているという。

今回の取り組みのための試験地を提供した町内の専業農家・株式会社落影農場の斉藤寛紀社長は「当社の場合、140~150枚の圃場があり、合計面積は34haになる。そのすべてで年3回の草刈りを行わなければなず、お金にならないどころか、人を雇ったり燃料代がかかったりとむしろお金が出ていってしまっている」と実情を紹介し、「ロボットに草刈りを任せられれば、その分の時間やお金を収入につながる仕事に回すことができる。夢のある話だし、すごくわくわくしている。一日も早く実現してほしい」と期待を語る。

中山間地こそ
ロボットで暮らしの維持を

SRIの赤堀代表は「信濃町に今までなかった産業をつくろうと思ってSRIを立ち上げた。第4次産業革命はロボットやAI、IoTが担うと言われており、10年後には田んぼや畑でロボットが働くのが当たり前になっているはずだ」とし、「ロボットを活用すれば、住み慣れた場所に暮らし続けることも可能になる」と信濃町のような中山間地域こそ、ロボティクスを取り入れる必要があると強調する。

同代表はキャンプ場とワーケーション施設も町内で経営しており、それらのフィールドや設備もロボティクス関連事業に活用していく方針。重さ90㎏の荷物を運べるドローンの開発にも取り組んでおり、「世界中のロボットを町の課題に合わせて改造し、人と一緒に作業するサービスロボットをどんどん開発していきたい」と意欲を語っている。
 

 

DATA

畦畔用草刈りロボット「かるずらー」
全長1060mm、全幅650mm、刈り幅630mm。
キャタピラ走行で斜度45度まで対応
 


取材・文:赤堀楠雄

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