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水田由来のJ-クレジット登録を支援! 「稲作コンソーシアム」に3社が新規参画

水田由来のカーボンクレジットの創出およびカーボンニュートラルの推進を目的とする「稲作コンソーシアム」。2023年6月20日(火)、新たにNTTコミュニケーションズ株式会社、ウォーターセル株式会社、ジャスミー株式会社の3社の加盟が発表された。

J-クレジット創出を推進する
「稲作コンソーシアム」とは

温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認定するJ-クレジット制度。2023年3月1日、このJ-クレジット運営委員会にて、稲作における中干し期間延長によるメタンガス削減とカーボンクレジット創出の新たな方法論が新たに承認された。

J-クレジットに登録することで、農家はクレジット売買による恒常的な副収入を得ることができる。しかし、J-クレジットに登録する際は「100t以上のCO2削減・吸収見込み」を満たす必要があるほか、登録・クレジット発行費用に数百万円が必要となり、さらには登録・申請まで手続きにかかる手間が課題となる。

そこで2023年4月、日本国内で水田由来のJ-クレジット創出を目的にGreen Carbon社が参加者を募りまとめて申請・登録する「稲作コンソーシアム」を発足。開始から2カ月で合計約2,000ha以上の農家と23社の企業が参画し、自然資本によるCO2吸収量のクレジット化を目指す「ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC)」と連携しながら展開している。


稲作コンソーシアムについてプレゼンテーションするGreen Carbon株式会社の代表取締役・大北潤氏

稲作コンソーシアムへの参加メリット
●コンソーシアムが参加者の水田をまとめてJ-クレジットに登録・申請するため、条件である「100t以上のCO2削減・吸収見込み」を満たすことが可能。
●コンソーシアムがまとめて申請・登録することで登録初期費用はコンソーシアムの負担となり、参加者は登録・クレジット発行費用が無料に。
●プロジェクト登録・申請手続きをコンソーシアム、Green Carbonが支援するため、参加者の手間を大幅に簡略化。



新たに参画が発表された3社と
代表者からのメッセージ

新たに3社を加えた稲作コンソーシアムにおける参画各社との連携スキーム

 
今回、稲作コンソーシアムに新しく3社が加盟したことにより、申請に必要な日々の生産データを農家自身が管理しやすくするとともに、収量および収益の拡大にも貢献していきたいと語るGreen Carbon株式会社の代表取締役・大北潤氏。また、同発表会にはNCCC理事長の馬奈木俊介氏もオンラインにて参加し、カーボンクレジットの動向などについて述べた。稲作コンソーシアムに新規参画した3社各代表からのメッセージは以下の通り。
 

NTTコミュニケーションズ株式会社

IoT技術によるクレジット創出を支援

「弊社が培ってきたIoT技術により、クレジット申請に必要となるエビデンスデータを取得し、申請工数削減とグリーンウォッシュ対策に寄与します。また、カーボンクレジットの販売や高付加価値米の販売など流通の側面からも支援し、地方活性化やネイチャーポジティブ領域に貢献するとともに、新たなカーボンファーミングの形を目指してまいります」。


ソリューションサービス部イノベーションオフィサー 熊谷彰斉氏

 

ウォーターセル株式会社

クレジット申請を効率化する営農支援ツールを提供

農家の中干し期間をデータ管理し過去データや生産管理記録を蓄積することができる営農支援ツール『アグリノート』を活用することで、申請に必要なデータを手間なく準備できます。今後は営農支援ツール『アグリノート』とGreen Carbon社のJ-クレジット創出量計測シミュレーションツールを組み合わせた申請支援プログラムを全国の稲作生産の現場へ展開します」。


代表取締役社長 渡辺拓也氏

 

ジャスミー株式会社

ブロックチェーンによるクレジット管理を実現

「ジャスミープラットフォーム上に構築された、ブロックチェーンによるカーボンクレジット取引所によって、信頼性と利便性に優れたクレジットの流通・利用環境を提供します。さらに、カーボンクレジットの創出段階からその過程をブロックチェーン上に記録することで、より一層信頼性の高いクレジットの流通に貢献してまいります」。


取締役兼ソフトウェア統括 萩原崇氏


取材・文/川上和義



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