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鶏舎の消毒作業にレボリューション! 国内初「乗用鶏舎スプレーヤ」がついに完成

国内の養鶏場の多くが手作業で行っている鶏舎の消毒作業。「手間と時間がかかる」「消毒液をかぶる」といった働く人の悩みを解決するのが、(株)やまびこから2024年春発売の「共立 乗用鶏舎スプレーヤ」。エアコン完備のキャビンに座り、快適に効率よく、作業が進む!

やまびこが2024年3月、
日本初の乗用鶏舎スプレーヤを発売!

1956年(昭和31年)、やまびこの前身・共立農機株式会社が国産第一号の果樹園の薬剤散布を行う農業機械「スピードスプレーヤ(以下SS)」を製造。その長年のノウハウを活かし、今年3月より日本初の乗用鶏舎スプレーヤを販売した。

なぜ「果物」が「鶏」に?それは今から5~6年前の話にさかのぼる。盛岡市の事業所で、通常よりも激しく消耗したSSの修理の依頼がたびたびあった。事業所の担当者が気になって話を聞くと、本来なら果樹用のSSを鶏舎の消毒用に使っていたことが判明。果樹よりも鶏舎の薬剤の方が強く、機械のダメージが大きい。それなら鶏舎用も作ろうじゃないかと、熱い使命を持った1人の担当者が、地元60ヶ所近くの養鶏場から意見を聞いて開発を進めていったのだ。その養鶏農家の1人が「福どりファーム」の土川育雄さん。もともと東北の銘柄鶏「あべどり」を生産する「あべはんグループ」で鶏舎施設を担当。現在は独立し、息子の将樹さんと2人で経営するブロイラーの養鶏場で、スプレーヤの試作運転を何度も行ってきた。


(株)福どりファームの土川育雄さんと、今年1月から入社した息子の将樹さん。現在は約8000羽を収容するウインドレス鶏舎が4棟、令和7年には16棟に増える。育てたブロイラーは「あべはんグループ」に全出荷している。

以前は手作業で消毒していたので鶏舎1棟につき30分かかりましたが、スプレーヤは約5分で完了。この仕事は体力勝負。『少しの時間でもいいから休みたい』と思っているので、最低限の労力で済むのは非常に助かります」と土川さん。鶏舎消毒剤に強いポリエチレン製タンクは大容量の500L。薬剤を飛ばすパワフルな送風機と、上・左・右に装着したオリジナルノズルで、天井や壁の隅々まで確実&スピーディーに消毒できる。

「夏場は消毒用のカッパが蒸し暑くて体力を消耗。これはキャビンにエアコンがついて快適に作業ができます」とは将樹さん。広い窓ガラスのキャビンは暗い鶏舎でも視界良好。薬剤による腐食を防ぐため、電機配線などをキャビン内に配置したのもこだわりだ。

なにより人に消毒液がかからないのがいい。息子をはじめ、働く人の健康管理はとても大切ですから。養鶏場も慢性的に人手不足で、若い人がなかなか集まらない。働きやすい環境を整えるためにも、乗用鶏舎スプレーヤは頼れる存在です」と土川さんは話す。

国産SSの誕生から60年余、満を持して登場した乗用鶏舎スプレーヤは、養鶏場の課題解決のためにも貢献してくれる。

 

7つの技で鶏舎消毒を
快適&手早く&着実にこなす

高い操作性

HST(油圧式無段変速機)方式で細かい速度設定により、散布量の微調整が可能。ハンドル操作が楽なパワステ、優れた旋回性能も魅力。


エアコン装備の広いキャビン

ファン、ポンプ、散布コック、ミラー操作はキャビン内から行えて作業効率アップ。広い窓ガラスで、薄暗い鶏舎内でも運転がしやすい。


500Lの大容量タンク

鶏舎消毒剤にも強いポリエチレン素材を採用。約150坪(10m×50m)の鶏舎では、1周走行することで約150Lの薬剤を約4分で散布。(標準ノズルを装着し1.9km/hで走行した場合)


360°スピーディーに散布

最大吸水量65L/minの薬液ポンプと、風量230㎥/minの送風機のパワフルな性能の他、腹下散布も行えて鶏舎の隅々まで消毒。

キャビン内に電装系を配置

電気基盤や配線コネクトはキャビンの座席裏に収納され、薬液による腐食を防ぐことができて安心。開発のこだわりポイントの1つ。

メンテンナンスが楽

注油やピストンパッキンの交換がしやすいポンプ配置をし、配管も交換しやすいよう工夫されている。薬液ポンプは、耐摩耗性に優れた「共立セラミック動噴」を搭載。余裕の吸水能力で安定した散布を実現。

19個のオリジナルノズル

やまびこオリジナルのノズルでミストの粒子を荒くすることで、鶏舎内の照明による反射を抑え、視界不良を軽減。

 

DATA

共立乗用鶏舎スプレーヤ
SSVH5020FC/P

重量:970㎏
寸法:(長さ×幅×高さ)346.9×128.7×138.8cm
動力:エンジン(ディーゼル)
薬液タンク:500L
希望小売価格:¥5,610,000(税込)

問い合わせ

やまびこジャパン株式会社
TEL:0428-32-6181


文:後藤あや子
写真:松尾夏樹

AGRI JOURNAL vol.31(2024年春号)より転載

Sponsored by やまびこジャパン株式会社

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