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生産者の取組み

地域の土地を活かした農業を! 福岡県4Hクラブ会長が語る目標とは

福岡県の中部に位置する飯塚市。市内で露地野菜を中心に育てながら、「福岡県4Hクラブ」の会長を務める大塚勝太郎さんは、生産物のブランド化を目指す気鋭の農家だ。4Hクラブに対する思いも強く、クラブ内でのさらなる活躍も期待できる。大塚さんに、4Hクラブの魅力や今後の方針などをお話いただいた。

メイン画像:「福岡県4Hクラブ」の会長・大塚勝太郎さん

消費者にいい印象を与えるため
本当においしい時期のみ出荷

市内の地形が盆地となっており、夏と冬、朝と晩の気温差が大きいことが、飯塚市の特徴だ。「福岡県4Hクラブ」の会長・大塚勝太郎さんは、こうした環境を生かしつつ、長ネギやキャベツ、キュウリなどを手がけている。

大塚さんは、農業大学と農業大学校で学んだのちの、2014年に就農。就農先は、おもに水稲や麦、キュウリを生産していた実家だ。

就農後、キュウリの栽培を手伝いつつ、レタスなど新たな品目の栽培を始めた大塚さんだが、やがて長ネギをメインに栽培するように。その理由をこう語る。

「市内の風土や土の状態も考慮すると、長野の生産地に勝てるレタスは作れないと思いました。4Hクラブのメンバーからアドバイスをもらうなどし、色々と調べたところ、長ネギであれば、この土地で良質なものが作れるとわかったので、思い切って長ネギの栽培にシフトしました」。

目指すのは、地域内で「おいしい長ネギの農家といえば、大塚さん」といわれるようになること。この目標を叶えるため、心がけていることがあるようだ。

「冬場のみ、長ネギを出荷するようにしています。年間を通して出荷することもできますが、長ネギの味わいがもっとも良くなるのは冬です。本当においしい時期だけ出荷し、消費者にいい印象を与えたいですね。また、季節限定にすることで、商品に“季節感”をもたせられると思います」。

現状、福岡の一般家庭では、長ネギよりも万能ネギのほうが多く食べられているそう。長ネギをブランド化し、地域に浸透させること、福岡の食文化に影響を与えることが、大塚さんの密かな夢だ。



大きな支えとなった
4Hクラブメンバーからの助言

就農前の2013年に、地元のクラブである「福岡県嘉穂地区4Hクラブ」に入ったという大塚さん。クラブに所属するメンバーの存在が、長ネギの栽培にシフトする際、大きな助けになったと話す。

「当初、長ネギがうまく育たず、悩んだことがありました。そこで、地元にいるベテランの農家にアドバイスを求めたんです。そうしたら、『気合が足りん』、『うまくいかない時もあるよ』と言われてしまって(笑)。参考になる話はほとんど聞けませんでしたね。

その後、4Hクラブのメンバーにも相談したら、親身になって色々と教えてくれました。4Hクラブのメンバーは、お互いに環境と境遇が似ている部分があります。また、多かれ少なかれ、就農後に苦労しているので、なぜ悩んでいるのか、どうしたら解決するのか、といったことを把握しやすいのでしょう」。

福岡県では、養蜂やお茶の栽培も盛んに行われている

現在、「福岡県4Hクラブ」では、「全国青年農業者会議」の予選となる大会や、民間のイベント会社とコラボレーションしての婚活パーティー、各種講演会といったイベントを行っている。

普段の業務と並行して、こうしたイベントを企画・開催するのは、たやすいことではない。時間と労力の両方が求められるのは確かだが、“4Hクラブで活動することのメリットは多い”と、大塚さんは話す。



「メンバーが一丸となって地域を盛り上げたり、一つの目標を達成したり、という経験から、得るものは大きいはずです。地域の人々との結びつきが強くなるのはもちろん、責任感が養われると思います。また、『全国青年農業者会議』のような全国規模のイベントへの参加をつうじ、視野が広くなります」。

4Hクラブで活動する人がさらに増えることが、大塚さんの願いだ。

「“地域の農家と交流し、息抜きしたい”など、ちょっとした動機で構わないので、ぜひ参加してほしいですね。色々な考えや経歴をもつ人が所属することで、4Hクラブはより面白くなると思うので。もちろん、やる気のある方は、バックアップします!」

PROFILE

大塚勝太郎さん
1991年福岡県生まれ。東海大学農学部と農業大学校で学んだのち、2014年に就農。2014年より「福岡県嘉穂地区4Hクラブ」に所属し、2019年4月に「福岡県4Hクラブ」の会長に就任。

DATA

4Hクラブ(農業青年クラブ)


Text:Yoshiko Ogata

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