後継者としての素質は? 事業承継の3つのポイント
2018/04/06
事業承継の際、後継者に最も必要とされる能力は何なのだろうか? 農家のこせがれネットワーク代表理事・宮治勇輔が重視するのは、「なぜ、その事業をやりたいのか」。自分の考えをしっかりと持ち、経営者としての情熱や心構えを持ち合わせているかどうかが、後継者としての素質を見極める大切なポイントなのだという。
後継者にふさわしいのは
「主体性」を持つ人
先日、8名の家業イノベーター(家業を承継し革新し続けている若手経営者)のプレゼンを聞く機会があった。一人5分の持ち時間にも関わらず溢れる想いが50人の聴衆を魅了した。
また、学生のビジネスプランコンテストに審査員として参加することもある。プランを聞くとき僕が重視するのは、プランの素晴らしさより、そのプランが自分事になっているかだ。なぜ、その事業をやりたいのか。ここに強い想いがないと、壁にぶち当たるとやめてしまう可能性が高い。この話は、事業承継にもあてはまる。
「親父が言うことを聞いてくれないから事業承継が進まない」というのは、継ぐ側に先代を説得する強い想いがないことの表れだ。当然、経営者としての最低限の心構えや素養が感じられないと、先代は事業承継に二の足を踏む。事業承継が前に進まないのは親父のせいではない。継ぐ側の問題だ。
事業継承における
3つのポイント
前回、「いつでも先代の代わりが務まる者が真の後継者」と述べた。ここにたどり着くには一朝一夕ではいかない。また、事業承継というプロセスを経ずして真の後継者に成長することもない。事業承継のプロセスは、会社の規模や事業内容、先代と後継者の関係性により100社あれば100通りの形がある。とはいえ、事業承継には押さえるべきポイントがある。
大前提として自分自身に強い想いがあるか。そして、経営者としての最低限の素養を備えているか。最後に事業承継のプロセスを理解しているか。
この3つを押さえておくと、具体的にどこから動けばいいのかがわかってくる。
DATA
宮治 勇輔 [みやじ ゆうすけ]
神奈川県藤沢市在住。農家のこせがれネットワーク代表理事。実家の養豚業を継ぎ、2006年に株式会社みやじ豚を設立し代表取締役に就任。一次産業をかっこよくて・感動があって・稼げる3K産業にするべく活動中。
AGRI JOURNAL vol.07(2018年春号)より転載