「国内養液栽培システム市場」は拡大で推移! そのメリットとは
2018/08/27
担い手不足や後継者不足、安定収入の厳しさが叫ばれる国内農業。最近では、消費者の食に対する安心・安全の意識の高まりに応えようとした結果、減農薬作物のコスト高に悩むなど、多くの課題を抱えている。こうしたなか、解決策の一つとして、養液栽培が注目されている。
農業従事者の負担軽減や
栽培不適格地域の栽培を可能に
施設園芸の大規模化や異業種からの新規参入、減反政策の廃止による稲作から園芸作物へ転換する産地、大規模植物工場建設、身障者・高齢者向け施設に付帯する農業施設の増加などから、養液栽培システム市場は拡大で推移している。「株式会社矢野経済研究所」が2018年の「国内養液栽培システム市場」に関する調査を実施したところ、市場は前年比100.5%の91億4100万円の見込みであることがわかった。
養液栽培についておさらいすると、土を使わずに、肥料を水に溶かした液(培養液)によって作物を栽培する栽培法だ。病原が根や茎に寄生し、根腐れや地上部の黄化、萎凋(いちょう)、立ち枯れなどをおこす「土壌病害」や同じ野菜を同じ場所で続けて作ることにより発生する「連作障害」を回避できる。それにより、周年栽培が可能になるため、単位面積あたりの生産効率が上がり、栽培される農作物の鮮度の高さを維持した出荷ができるようになる。
また、装置化・機械化により耕起や畝立、土寄せ、施肥、除草などの土耕に必要な作業が省略することができるため、農業従事者の負担が軽減され、地理的環境等による栽培不適地域における栽培も可能に。
今後、養液栽培システムは、農業分野への新規参入企業や新規就農者、施設園芸の普及が進んでいない地域などに、さらに普及してく見通しだという。
出所:養液栽培システム市場に関する調査(2018年)2018年7月19日発表
注:果菜類、葉菜類、果樹類、花弁類を栽培品目とする養液栽培を行うために必要な機器類等を対象に、メーカー出荷金額ベースで算出した。
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株式会社矢野経済研究所
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