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生産者の取組み

遊休地で太陽光発電! 農業で使う電気を自社で創出、農業と太陽光発電の共生が始まる。

イセグループはフランスのトタルエナジーズと協力し、太陽光発電事業に進出した。その背景にあったのは、農業を応援するという思いだった。

エネルギーの地産地消で
循環型農業を推進

鶏卵業界のリーディングカンパニー、イセグループ。同社は“新鮮な卵へ最初に触れるのは消費者に”という観点から、養鶏の育成、採卵、パッキング、配送に至るまで全工程を自社で一貫して行う「イセインテグレーションシステム」を導入し、安心安全で高品質な卵の流通を確立。また、鶏フンを利用して、高品質な有機肥料「イセグリーン」を開発するなど、循環型農業の復活にも取り組んでいる

そんな同社は2014年、養鶏場用地として購入していた土地が未活用だったため、有効な活用方法を考えていた。ちょうど再生可能エネルギー発電の固定価格買取制度(FIT)が始まり、新しい電力源として再エネが注目され始めた時だった。太陽光発電所の建設を決め、パートナーに選んだのが総合エネルギー分野で世界トップクラスのフランス企業・トタルエナジーズである。トタルエナジーズも日本における太陽光発電の本格展開を開始したタイミングで、同社にとって初の国内事例となるメガソーラーというかたちで大型コラボレーションが実現。イセ・トタル七尾発電所が完成した。

石川県七尾市で運営開始したイセ・トタル七尾発電所。


榊田剛さん
 
トタルエナジーズ
日本支社 事業開発部


世界各地で再生可能エネルギーの開発・運営の実績があるトタルエナジーズの榊田さんは、こう話す。

太陽光発電所の運営において、地元との関係を維持し発展させることが非常に重要なポイントですが、イセ・トタル七尾発電所はそのお手本となるようなモデルです。地域の方々への丁寧な説明とご理解を基本として、地元への税収効果はもちろん、一定規模の雇用も生み出しています。例えば、太陽光発電所では草刈りによる除草や除雪など保守管理が重要な仕事の1つですが、それをイセグループさんを通して地元企業に依頼をしています」。

トタルエナジーズとしても、定期的に地元を訪れて進捗を報告するなどコミュニケーションを欠かさない。開発段階においては周辺環境に配慮し、法令の有無に関わらず自主的な現地動植物調査なども実施して事業計画に反映させている。

FITが終わる20年後には、設備を撤去して発電事業を止める予定のメガソーラー事業者も多くいる。しかし、トタルエナジーズはFIT期間にとらわれず、30年、40年使える設備にするという思想を設計に取り入れている。イセグループとしても、再エネを使った循環型農業というかたちで長期的に社会貢献したいという考えがある。こうしたことから、イセグループはトタルエナジーズに大きな信頼を置いているという訳だ。

世界でも共生が進む
農業とエネルギー事業

農業が主要産業でもあるフランスにおいても農業と太陽光発電の共生への取り組みは進んでいます」と、榊田さんは話す。トタルエナジーズは、フランスにおいて何らかのかたちで農地を活用した太陽光発電設備を2025年までに少なくとも500MW導入する計画がある。

太陽光発電所の運用を担当するイセグループのイセ食品取締役であり、リーテイルブランディング社の代表取締役の秋元之浩さんは、「今後は新しく太陽光発電を始めたいという農業従事者との接点を作りたい」と言う。


秋元之浩さん
 
イセ食品株式会社 取締役

例えば、後継者がいない農地を引き継いだ若手農家が、半分の土地では野菜を栽培できるが残り半分は人手などの面から別の土地活用をしたいという時、太陽光発電所の建設という選択肢もあるだろう。現時点において既に遊休化している農地についても法制度がゆるす範囲で再エネ発電事業に活用は可能と考える。

イセ食品の養鶏場。鶏舎では季節問わず快適な環境を保つため、24時間体制で空調を管理している。同社では、トタルエナジーズと協力し、日本の養鶏場の屋根を活用してすべてを再エネで賄う先進的な鶏舎“スマートファクトリー”を世界に先駆けて広めるべく、研究を進めている。

そのような農業現場において、「限りある土地の有効利用方法について再エネの観点から提案をさせて頂きたい」と榊田さん。

「トタルエナジーズも可動式の架台やパネルの下における最適な農産物の調査・研究を進めています。農業は各国固有の状況はありますが、弊社のグローバルの取り組みを通して日本における最適なアグリソーラーに取り組んでいきたいです」。イセグループとトタルエナジーズは協力して、太陽光発電で農地の付加価値を生み出す次世代型農業の支援を目指している。


農業施設の屋根や未利用の土地を活用したい方、または作物を育てている農地の上空に太陽光発電を設置する営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)に興味のある方は、トタルエナジーズが導入をサポートしてくれる。

 

問い合わせ

トタルエナジーズ
TEL:03-5562-5211
MAIL:japan@totalenergies.com


文:大根田康介

AGRI JOURNAL vol.20(2021年夏号)より転載

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