トマトの試験で収穫数、収益がアップ! 海藻由来のバイオスティミュラントの効果は?
2024/10/29
露地・施設栽培を問わず、異常気象や天候不順への対応が課題となっている昨今。有効な対策として、環境ストレスへの植物の耐性を向上させる海藻由来のバイオスティミュラント資材が活用されている。
トマトの品質に貢献!
「海藻のエキス」
気候変動を主な原因とする異常気象には、多くの農家が悩まされている。とりわけ、梅雨や夏を挟む時期に栽培される夏トマトや秋トマトは、高温障害、日照不足、降水過多などの影響をもろに受け、生育不良によって収量や良品率が低下し、病害をも引き起こしかねない。こうしたトマト栽培をめぐる喫緊の課題に対して、土壌改善の面から対策を講じ、効果を発揮しているバイオスティミュラント資材がある。北大西洋海流域の海藻、アスコフィルム・ノドサムを原料とする水溶性粉末「海藻のエキス」である。
海藻パワーが元気の源!
特に効果を実感できるのは、土壌に作用して根張りが良くなる点。海藻の主成分となるアルギン酸類は、水分を吸収すると膨潤し、非常に粘度の高い水溶液をつくる性質がある。これで土壌の水分保持力が安定し、有用微生物の繁殖を促して、根圏の土壌環境が改善されるという仕組みだ。
また、葉に直接散布するのも有効だ。「夏場に根が弱り、栄養吸収がしにくくなったため、収量・品質が落ちていました。ところが、海藻のエキスを葉面散布することでかなりの改善がみられました」とは広島県の水耕栽培トマト農家の声。別の葉面散布試験では、慣行栽培の対照区と比較して、収穫数やトマトの大きさ、収益が軒並みアップするという結果を得た(下図)。普段は基礎的な土壌管理として灌水時に混ぜ、天気の悪い日が続けば葉面散布をして生長を補助するという使い方もできる。葉面散布の場合は5000倍~10000倍に希釈して使うことが推奨されており、灌水に使う場合もわずかの量で済むから、コストパフォーマンスにも優れている。
アスコフィルム・ノドサムの
栄養で食味もアップ!
トマトの品質にも注目したい。糖度と酸度のバランスが大切とされる中、「海藻のエキス」を使って栽培したトマトは「味が濃厚」「旨味とコクがある」との高い評価を得ている。アスコフィルム・ノドサムには特有の多糖類、ミネラル、ビタミン、アミノ酸といった60種類以上の栄養素が豊富に含まれ、これがトマトの味に好作用。特に食味に関わるアミノ酸は、植物に吸収されやすい形で存在しており、通常の肥料に比べて効率良く作物の発育を促進させるという。
「海藻のエキス」は農作物全般に使用可。トマト以外には、イチゴ、ナス、キュウリ、リンゴ、ブドウ、桃等の収量増加実績がある。
幅広い栄養素を押さえ、オーキシン、サイトカイニン、ジベレリンといった生長に欠かせない植物ホルモンも含んだ「海藻のエキス」は、天候によるトラブルへの対策や連作障害を軽減させる手立てとして大規模農家や有機農家から熱い視線を浴びている。トマト以外の作物にも使えるので、ぜひ多くの農家にその威力を実感していただきたい。
【生産者の声】
●1L溶液にかかるコストは約1円!
●根張りが非常に良くなった。成り疲れも出ない
●土壌が強くなり、病気や害虫への抵抗力が上がる
●他の肥料、農薬と混合できて便利
●ミネラルや微量要素を多く含むので、植物の生理状態が良くなり、味に旨味やコクがつき食味が改善される
●夏場に根が弱ったが、葉面散布で改善した
●連作障害が軽減
なぜ海藻が植物に効くのか?
海藻は古くから農業に利用されてきた有機質肥料。特にアスコフィルム・ノドサムは、アルギン酸などの多糖類、ミネラル、アミノ酸、ビタミン、植物ホルモン等の植物の生育に必要な栄養が豊富に蓄えられている注目の資材だ。
Point 1
土壌を改善して作物を元気に!
海藻に含まれるアルギン酸類やミネラル等の微量要素により、微生物が活性化され、土壌環境を改善し病害を防ぐ。また海藻由来の様々な栄養素が植物に直接作用して生育を促進することで、健康な作物となり、収量や収益が上がる。
Point 2
実は30年以上の適用実績あり
近年ようやく話題に上がるようになったが、実は海藻資材は30年以上前から使われている。アンデス貿易としては、元々は畜産の飼料として輸入を開始し、それから農作物にも作用することが実証された。バイオスティミュラント資材のパイオニアだ。
DATA
海藻のエキス
アスコフィルム・ノドサムから栄養分を濃縮抽出した水溶性粉末(エキス)。主成分はアルギン酸、ヨウ素、グルタミン酸など60種類以上の豊富なミネラル・微量要素・アミノ酸。育苗期から栄養成長期、生殖成長期まで、あらゆる作物に効果を発揮する。
問い合わせ
アンデス貿易株式会社
TEL:03-3256-6871
文:本多祐介
AGRI JOURNAL vol.33(2024年秋号)より転載
Sponsored by アンデス貿易株式会社