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「なぜ、就農5年後がキモと言われるのか?」

農業の担い手を増やすためには、非農家出身者が安心して就農できるよう環境を整えることが必要だ。農水省経営局就農・女性課の石田氏が語る。

▶︎前回の記事はコチラから:「就農後5年間の支援が人材育成のカギをにぎる

 

農業でも、他産業と同様に、会社に従業員として雇用される就農スタイルを充実させていくことが重要です。

農業従事者の高齢化などにより農業経営体の減少が続くなかで、法人化や経営規模の拡大が進んでいます。平成27年2月現在、5年前と比べて家族経営の農家数は2割近く減少する一方、法人経営体数(販売目的のもの)は 約5割増加して1万9000経営体に上りました[1]。

こうした中、農水省では、雇用就農をいっそう促進するため、平成20年から「農の雇用事業」に取り組んでいます。就農に関する施策は様々ありますが、本事業は雇用側に対するOJT(オン・ザ・ ジョブ・トレーニング)スタイルの研修経費を支援する点が特徴です。

平成26年度の実績としては、研修を実施した就農者数は約5300名。半数近くを20代という若い層が占めています。雇用主として本事業を活用した事業者は約3300経営体で、うち7割近くが法人です。

このほか、雇用就農を促進するためには、雇用側における就労条件の整備も不可欠です。健康保険や厚生年金といった社会保険への加入はもちろんのこと、就業規則を明示するなど、一般企業同様の取組が必要です。また、従業員のやりがいやモチベーションに対する工夫なども求められます。

例えば、北海道江別市で稲作や野菜栽培を行う農業生産法人株式会社輝楽里(きらり)では、月1回の定例会議で会社の経営方針を共有するとともに、若い従業員だけのミーティングを頻繁に開催することにより風通しの良い環境を創り、モチベーションを維持・向上できるよう工夫しています。岐阜県高山市でトマト・椎茸栽培などを行う有限会社橋場農園では、就農1年目から担当ハウスを割り当て、一人ひとりが責任とやりがいをもって取り組める環境整備に努めています。

農水省では、各事業者の取組を後押しするため、こうした事例をウェブサイトで紹介しています。今後も、雇用就農がさらに進み、様々な方が農業界で活躍することを期待しています。

※[1]農林業センサスより
●2015年農林業センサス結果の概要(確定値)[PDF]

 

●国が行う農の雇用事業(農林水産省補助事業)
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※詳細は、全国新規就農相談センターホームページに掲載されています。


文/小島和子

※『EARTH JOURNAL』vol.2 より転載

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