成功する農業! 現実的な「採算計画」の立て方3ヶ条
2017/06/11
事業の見通しを立てる上で「採算計画」は非常に重要である。栽培計画を立て、そこから逆算して採算計画を立てるが、そもそも「採算計画」とは一体何なのか。これをよく理解しておかなければ、具体的な栽培計画を立てるのは難しい。今回は、周年栽培における採算計画の立て方のエッセンスを紹介する。
第1条 売上予測は超難問!?
リスクと価格変動
採算計画を立てる上で最も重要なことは「どれだけ正確に売上を予測するか」だ。しかしながら農産物は、病害虫リスク、災害リスク(台風、大雨など)、気候リスクにより出荷量が変動する。また、市場に出荷する場合には、価格変動も考慮する必要がある。こうした変動をしっかりと認識していなければ、正確な売上予測は不可能だ。
売上の予測には、 1)出荷量を決定、2)病害虫・災害による歩留まりの低下や、高温・低温による生長の鈍化を予想し、出荷量を下方修正、3)市場価格の変動を加味し売上を算出、といった手順が必要だ。
第2条 次年度のことも考えた費用算出を!
変動費と固定費
次に「変動費」と「固定費」について考えてみよう。
ここでの「変動費」とは、出荷量に比例して増減する費用のことだ。種苗代や肥料代、送料、アルバイト人件費などがこれに含まれる。
ここで注意しなければならないのが、農産物は播種から収穫までに一定の期間を要し、投資が先になるということだ。栽培品目によって収穫までにかかる期間は違うので、年度をまたぐこともあり得る。例えば、同じネギでも、青ネギ(葉ネギ)は播種から収穫まで4~5ヶ月程度なのに比べ、長ネギでは播種から収穫まで1年に及ぶことがある。
次年度の栽培計画も頭に入れながら、品目ごとの変動費を考えなければならないということがわかるだろう。特に事業拡大を考えている場合には、先行して経費を盛り込んでおかなければならないため、次年度に栽培を予定している作型(※1)の育苗資材費がかさむことを注意しておく必要がある。
(※1)それぞれの品種において、地域における気候環境等を考慮してパターン化したもの
「固定費」とは、出荷量の増減に関わらず、必ずかかってくる一定の費用のことである。社員の人件費、減価償却費などがこれに含まれる。
そして「売上から変動費と固定費を差し引いたもの」が利益となる。固定費は一定なので、時期ごとに売上と変動費を調整し、利益の確保を目指すことになる。