〈基礎知識〉コスト抑制ポイントはここ! いちご栽培に使うビニールハウスの入手方法
2020/12/17
イチゴ栽培に欠かすことのできないビニールハウス。理想と予算のバランスを考えながら、目的に合ったビニールハウスを設置するための取捨選択を行おう。いちご栽培の専門家による連載第3弾の前編。
連載第2回 前編『農業ビジネスは立地が重要! いちご栽培に向いている地域とは?』はコチラ!
連載第1回 前編『〈基礎知識〉いちごの養液栽培とは? 特徴や他栽培方法との違いを解説』はコチラ!
理想のビニールハウスとは
まず、いちごを栽培する理想のビニールハウスとは、以下の5点が当てはまるものです。
① コストが安い
② 耐久性が高い
③ 保温性が高い
④ 通気性が高い
⑤ 透光性が高い
しかし、すべてが理想通りのビニールハウスはなかなかありません。機能を追求するとコストが高くなります。
そのため、予算や目的に応じて優先順位を決めましょう。ビニールハウスはいちごの収穫量や味に直接は影響を与えません。しかし、光の量や暖房効率、作業性などによって間接的に影響します。
ビニールハウスの入手方法
次に、ビニールハウスを入手する方法を考えてみましょう。
まずは、すでに建設済みのビニールハウスを借りる方法です。鉄骨のビニールハウスは移動させることが難しいので、建っている場所でそのまま使うことが多いです。メリットは初期コストを非常に低く抑えられることです。デメリットは、場所が移動できないこと、理想通りのビニールハウスは滅多に見つからないことです。
中古のビニールハウスを買うこともできます。パイプのビニールハウスですと、分解すれば違う場所に建て直せます。メリットは初期コストが抑えられ、場所の移動も可能なこと。デメリットは支柱が劣化している可能性があること、フィルムは張り替える必要が高いことです。
最も一般的な手段は、新品のビニールハウスを購入することでしょう。日本にはいろんなビニールハウス業者があり、さまざまなタイプのビニールハウスを購入できます。部材だけ購入して自分で建設することもできますし、建設までお願いすることもできます。メリットは自分の好きな機能を追求できること、好きな場所に建てられること。デメリットはコストが高いことです。
ビニールハウスの基本
次に、ビニールハウスの基本情報を説明します。
ビニールハウスの基本構造は、骨組みとフィルムです。ビニールハウスの大きさは、間口と高さと長さで決まります。間口の長さは5〜10mくらいの幅があります。高さは高い方がハウスの体積が増えて、温度変化が小さくなります。いちご栽培では内張りを使ってビニールハウスを二重構造にして、暖房効率を高めることが一般的です。長さは40〜50mくらいが多いです。これ以上長くすると、いちご栽培の点滴チューブに十分な水圧がかからなかったり、作業性が悪くなります。
また、単棟と連棟も大きな要素です。単棟とは間口一つ分だけのビニールハウスで、連棟は間口が複数連なったものです。連棟の場合には、屋根の山が何個もできます。
骨組み
いちご栽培用のビニールハウスの骨組みは、ハウス用パイプ、足場用パイプ、アーチ、鉄骨などさまざまな種類があります。最近では、木材を使ったビニールハウスもあります。
この骨組みによってコストが大きく変わります。ハウス用パイプを使えばコストが安くなりますし、鉄骨を使うとコストが高くなります。さらにパイプや鉄骨にもいろんな太さや種類があり、それによってもコストが変わります。
PROFILE
株式会社イチゴテック
代表取締役
宮崎大輔
いちご農園の新規立ち上げや栽培改善、経営改善をサポートしている。