バスに乗って旬を食する! 農村の魅力が伝わるレストランバスって?
2017/08/01
田舎のヒロインズ大津愛梨の「農家で良かった」。レストランバスは「農村の魅力発信ツール」としては1つの完成形だという。農村の魅力を発信する「魔法の仕掛け」とは?
農村の魅力を発信する
「魔法の仕掛け」
「レストランバス」なるものをご存知でしょうか。日本に2台しかないというこのレストランバスは、1階がキッチン、2階が客席になっており、「旬を食する旅をしよう」がキャッチフレーズの、旅するレストラン。地震後の「創造的復興」につなげようと、4月から2ヶ月半、熊本で運行させました。
実際は苦労の連続ではありましたが、「農村の魅力発信ツール」としては1つの完成形だと思います。電車と違ってレールのない場所にも行けるので、片田舎の田畑を訪ねては生産者の想いや解説を聞き、そこで採れた食材を使ったお料理を、作物が育った風景を見ながら食することができるのです。雨が降っていなければ、オープントップ(つまり青空レストラン!)にもでき、春~初夏の風を楽しむことができました。
2階建てなので視点が高く、地元の人も「こんなに素晴らしい風景の中に住んでいるとは……」と感動の声をあげていました。そう、このバスのもう一つの醍醐味は、地元の人が地元の魅力を再発見できること。そして私はそのためにこそ、このバスの招致を決めたのです。
このバスは、無限の可能性を開いてくれる魔法の仕掛けだと思っています。生産地や生産者がキラキラ光って見えますし、都会の方に「”何もない”農村」の良さを満喫して頂けるからです。逆に課題としては、発着が農村エリアだと、都会からのアクセスも必要なことや、食材を活かしたお料理をして下さるシェフの確保などが挙げられます。
世界農業遺産に認定された阿蘇ですが、昨年の熊本地震で甚大な被害を受け、農業にも観光にも大きな影響が出ました。そんな阿蘇から、明るいニュースを振りまくことができた功績は大きいと自負しています。大きな反響がありましたので、今後は九州全域の「農業×観光in農村エリア」に繋げていくべく、努力をしたいと思っています。
おおつえり
熊本県南阿蘇村在住。O2ファームを営む4児の母。農業(無農薬米の栽培、あか牛の放牧)を営む傍らバイオマスの普及、実践に取り組む。都市と農村交流や地域活性化、文化伝承など様々な事業にも精力的に活動。
AGRI JOURNAL vol.04(2017年夏号)より転載