「もち麦ごはん」ブーム コッソリ教える農家の秘密
2017/10/20
健康志向の女性を中心に近年人気急上昇中のもち麦。広島県の農業法人(株)トペコおばらでは、新品種「キラリモチ」の生産・直販が好評だ。成功の影には、2017年3月に導入した精麦機の存在があった。
希少品種キラリモチとは?
もちもちとした食感と味わいの良さ、そして、食物繊維β-グルカンをはじめとする優れた栄養価……。近年、人気急上昇中のもち麦の中でも、その機能性と希少性の高さから注目を集めている大麦がある。新品種の「キラリモチ」だ。
もち性の二条裸麦品種で、水溶性食物繊維β-グルカンを通常品種の1.5倍を含有。もちもち、プリプリとした食感が特徴で、うまみが強い。炊飯後も変色しにくく、白さをキープするという特徴がある。
広島県安芸高田市にある農業生産法人(株)トペコおばらが「キラリモチ」の生産を始めたのは、約3年前のこと。新たな農業の形を模索するべく6次産業化を検討するなか、将来性の高さからもち麦に注目。ある時、農研機構が発表したばかりの「キラリモチ」と出会い、その優れた機能性に惹かれて、一袋分の希少な種を特別に入手したのが始まりだったという。
初年度は、キャベツ畑の一角、約30aの敷地で試験的に生産をスタート。生育状況と顧客反応を踏まえ、2年目は350aに、今年度は1300aにまで作付面積を拡大した。それに伴い、6次産業化の視点からも設備を強化。精麦機を導入し、栽培から精麦まで一環の作業を自社で手掛けることにしたのだ。取締役の沖田さんはこう話す。
「リピーターが多く手応えを感じたので、本腰を入れて生産するためには自社で精麦をしたほうがいい、と考えました。大手が使うような大型機ではなく、コンパクトでパフォーマンスの高いものにしたかったので、宝田工業製の精麦機を選びました。昔から家庭用精米機メーカーとして有名な宝田工業製なら信頼性も高いという点も決め手でしたね」。
そして導入したのが、業務用精麦機「SB-2200」だ。この製品には大きく3つの特長がある。1つは、麦の形を維持しながら少しずつフスマを剥く「原型精麦システム」を採用していること。2つめは、精麦ムラをなくすために、1タンクごとに麦の入れ替えを行う「全量排出型システム」を新たに導入した機種であること。3つめは、タンク容量や配管をはじめ、ユーザーの要望に合わせた自由なカスタマイズに対応している点だ。トペコおばらでは、2017年3月の導入以来、その使い勝手に満足しているという。
「ムラがなく美しい仕上がりが気に入っています。使っていく中で調整が必要なこと、相談したいことが出てきても、迅速に対応してくれるところも助かっています」。
業務用精麦機「SB-2200」。上のタンクと下のタンクの間に開閉式ダンパーがあり、1タンクごとに入れ替えることでムラ搗きを防ぐ。
来年は作付面積をさらに拡大。最終的な目標は、安芸高田市の特産品として「キラリモチ」を地域に普及させていくことだという。未来ある挑戦に、今後も注目が集まりそうだ。
今年からもち麦を担当する大久保さん。「おいしいキラリモチをたくさんの人に知ってもらいたい」と意気込む。
麦の形を維持して削る、驚きの「原型精麦」
研削%が上がる度に、麦の表面色が白く変化
精麦前のキラリモチの原料。大きめの粒が特徴。
フスマを10%削った状態のキラリモチ。まだほんのりと茶色い。
精麦後のキラリモチ。フスマを30%削った状態。形はほぼ精麦後と変化なく、削られた表面はささくれておらず綺麗だ。
使っている精麦機はコレ!
業務用精麦機 SB-2200
カスタマイズ方式を採用した、小型の業務用精麦機。加工仕上がりを徹底的に追求した一台。オリジナル砥石を使用し、麦表面のフスマをやさしく剥ぎ取る「原型精麦システム」を採用し、美しい仕上がりを実現。機内流量、内圧調整により、精麦状態を自在に制御。安定した連続運転を実現する。
◆基本仕様
電源:三相200V
モーター:2.2kW 4P200V 60Hz 全閉外扇型
能率(kg/h):小麦:約20~30(研削率30%の場合)、大麦:約10~15(研削率30%の場合)
SB2200は、本体部分を専用ユニット(精麦または精米)へ変更することで、
運転モードを切り替えて使用できるコンバーティブルタイプとなっている。
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宝田工業株式会社 ☎075-313-6060 FAX:075-312-6525
photo&text:Yukiko Soda
AGRI JOURNAL vol.05(2017年秋号)より転載