成功する農業承継「子供の頃から農業が嫌だった」

「好きなようにやれ」
父の言葉と自分の田んぼ

正章さんは、退院した父に「農業を手伝ってみたい」と伝えた。事前に母に相談していたので、もしかしたら母から聞いていたのかもしれないが、寡黙な父は『好きなようにやれ』と言ってくれた。

1年目、トラクターも運転できない。父母についていくだけでいっぱいいっぱいだった。2年目、いろいろな作業を段取りできるようになった。3年目、8町(8ha)の水田のうち、5反(50a)を任された。ほんの一部であっても、米作りを『好きなようにやれ』と任せてもらえたことが嬉しかった。

父の指導を聞き、田植えから水管理・穂肥も自分なりにしっかりやった。いざ収穫。この3年で最高の出来になったと思った。実際、自分の田んぼで初めて作った米は、一等米として品質面でも高い評価を得ることができた。

農業は自分の努力が
価格に反映されない

しかし、実際に販売した米の価格は、3年間で最も安かった。”農業は自分の努力が価格に反映されない”と感じた。無力感が正章さんを襲った。農業を辞めることも考えた。

だがこの頃、実家に、機械や田んぼの購入による、一千万円を超える借金があることを知ってしまった。”このままじゃいけない”。実家の経営に関わりたい、経営を考えなければと思うようになった。

正章さんはまず、実家の米作りの経営実態を数字面で具体的に調べてみた。当時の新潟県の最低賃金の金額を調べ、労働時間を当てはめ、生産コストと販売額を比べてみた。生産コストと販売額が合っていないことに愕然とし、父に、この現状をどう考えるのかと訊いた。答えは『おまえは今、そんなこと考えんでええ』だった。

話を聞いた人

新潟市大越農園

大越正章さん

取材

「親子農業」研究員 ㈱ビジネス・ブレークスルー所属

乾祐哉

監修

親子農業指導教官 ㈱みやじ豚代表取締役

宮治勇輔

農業後継者のための事業承継講座 開講中!

新シリーズ!「成功する農業後継」
深刻な農家の後継者問題。いったい息子・娘たちは何を考えているのか? また、父母は何を考えているのか? 双方の想いがわかる、農業後継の成功実話と継承のポイントを紹介。農家の事業承継のヒントが、きっと見つかる。
< 12
PICK UP
注目記事

RANKING

  1. 1
    【イチゴ編】症状別で見る! 生理障害・病害虫の原因と予防の基礎知識
    【イチゴ編】症状別で見る! 生理障害・病害虫の原因と予防の基礎知識
  2. 2
    中~大規模ハウスで大活躍する複合環境制御「ふくごう君Ⅲ」にハウスリモコン機能が追加!
    中~大規模ハウスで大活躍する複合環境制御「ふくごう君Ⅲ」にハウスリモコン機能が追加!
  3. 3
    玉ねぎ栽培におすすめな肥料とは?育て方に最適な追肥の時期や方法を紹介!
    玉ねぎ栽培におすすめな肥料とは?育て方に最適な追肥の時期や方法を紹介!
  4. 4
    【2026年最新版】「バッテリー式刈払機」の選び方。各メーカーおすすめ機種はコレ!
    【2026年最新版】「バッテリー式刈払機」の選び方。各メーカーおすすめ機種はコレ!
  5. 5
    日本農業法人協会が監修 猛暑下の農作業で命を守る「熱中症対策5つのポイント」
    日本農業法人協会が監修 猛暑下の農作業で命を守る「熱中症対策5つのポイント」

MAGAZINE

vol.39|¥0
2026/04/01発行

PRESS

EVENT
イベント・セミナー情報