生産者の取組み

成功する農業後継『先代の強み×後継者の個性』を活かせ!

父から子へ、強い信念を受け継ぎ事業を発展してきた菊ばり農園。親子2代の経験から学ぶ3つの事業承継のポイントと、後継者の幹大さんからのメッセージを紹介する。農家の事業承継のヒントが、きっと見つかる。

前編:成功する農業後継「失敗を経験に、さらなる強みへ」
後編:成功する農業後継「父から子へ、高い生産性を実現」

菊ばり農園から学ぶ
農業事業承継 成功のポイント

ポイント1.先代の強みを生かす

先代の父・和雄さんは、地域で前例のない菊、カーネーション栽培を天草の離島で始め、事業を拡大し軌道に乗せてきた。子供の頃からその様子を見てきた幹大さんは、先代の苦労と実績をうまく受け継ぎ、自身は農業試験場での2年間の研修を選択する。

その後確実に実家の菊栽培を引き継ぎ、新たな技術の導入も進め事業を拡大してきた。先代が築いた事業の強みをきちんと理解し、適切な投資の決断と販売先の選定により、更に事業を発展させた。

先代の強みの理解とその引継ぎ、そして自分なりの活用と発展にしっかりと重きをおくことはとても大切である。

ポイント2.高い目標の設定と挑戦

幹大さんは、就農前から農林水産祭天皇杯に憧れていた。農業高校を出て試験場で研修生を終え、実家で就農後も農林水産大臣賞という高い目標を持ち、実家の事業にかかわり主体的に技術を工夫し事業に取り組んできた。この年齢にとらわれない目線の高さは特筆すべきものである。

後継者である幹大さんは「いつでも社長の代わりが務まる者」として現場での作業に熱心に取り組んだ。この日々の努力の積み重ねが先代の事業の更なる拡大と成功につながっている。

いかに先代が一線で活躍していても『いつでも自分が先代に替われるよう着実に準備をする』という姿勢こそが事業承継成功の肝であると考えている。全国の若い後継者に見習って頂きたい考え方と行動である。

ポイント3.本業と離れたところでの挑戦、そこからの個性・適性の気づき

幹大さんは30代半ばで葬祭場への花籠の直接販売という事業に挑戦した。最終的には、想定の事業内容や収益性とは異なり、この事業からは1年で撤退することになったが、この経験は、『自分には生産一筋が向いている』という自己理解につながった。

経営者は自身の個性や適正を深く理解する必要がある。自分にとって本質的に喜びを感じることは何かを、心から気付き理解しなければ、リーダーシップを最大限に発揮することはできない。幹大さんが行った葬祭場への花籠の提供事業は、事業そのものは検討不足であったかもしれないが、結果として自身の本質的な強みへの気付きを生み出した。

自身の個性・適性とは、人から教えられるものではない。自身で気付いてこそ力を発揮するのである。幹大さんの行動はこのことをそのまま現実として伝えてくれている。

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