注目キーワード

生産者の取り組み

<若手農家の挑戦>東京の農業ならではのメリットは?

青山ファーマーズマーケットをはじめ、東京のマルシェで評判を呼んでいる若手農家がいる。江戸東京野菜や珍しい野菜を取り扱う、東京都青梅市で新規就農した繁昌知洋さんだ。東京だからこそ出来る、農業の魅力と可能性を聞いた。

東京野菜!朝獲れ!
野菜の美味しさを伝えたい

まだ夜の明けきらない3時半ごろ。青梅にある繁昌知洋(27歳)さんの畑では、ライトを照らしながらの収穫作業が始まる。旬を迎えた野菜は、瑞々しくハリがありツヤツヤとしている。選別・調整した野菜を車に詰め込んで向かう先は、青山ファーマーズマーケットだ。2017年の7月から、月1回程度で出店をしている。

繁昌さんは、江戸東京野菜や全国の在来品種を中心に、年間40品目・100品種ほどを有機農法で栽培している。

「個性豊かな形や味を持つ在来品種には、その野菜が持つ本来の旨味が凝縮されています。今では、生産効率性により栽培量が減りましたが、その美味しさを伝えていきたい」というのが、繁昌さんの考えだ。

マルシェでは、見たことのない珍しい野菜にお客が足を止める。繁昌さんは、調理法やレシピなども提案する。さらに、朝獲れの鮮度の良さも大切なセールスポイントだ。「え!東京で野菜が獲れるの!?」「何時から起きて収穫したの!?」との会話が弾む。また有機野菜にこだわりのあるお客には、堆肥のことや栽培に対する考え方などを詳しく説明することも大切だ。

マルシェを通して
お客さんが「仲間」になる

青山ファーマーズマーケットのほかに、おうめマルシェ、はいじま駅マルシェなどにも参加している。「まえに買ったお野菜が美味しかったから」と言って、あちこちのマルシェに顔を出してくれる顧客のような存在もいるそうだ。
そんな繁昌さんだが、実は2016年2月に就農したばかりの新規就農者だ。お客との信頼関係を築くには「“売る”ことよりも“伝える”ことに力を入れること。“お客さま”ではなく“仲間”になってもらうことが大切です」と説明する。

「“いらっしゃいませ”ではなく、“こんにちは”のイメージですね。それから、マルシェによって客層も違います。それぞれに合わせたコミュニケーションの取り方も必要です」。

また、継続的な関係性を保つために、フェイスブックなどを活用した情報発信も行う。

「東京で農業をする強みは、消費者との距離がとても近いことです。仲間をつくり、仲間に獲れたての本物の味をお伝えしたい。そのために、さらに美味しい野菜づくりに励みたいと思います」。


取材協力・SHARE THE LOVE for JAPAN
SHARE THE LOVE for JAPAN 公式HP


photo: Kentaro Kumon text:Tomoko Kotaka

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. 【参加受付中!】日本農業のこれからを考える『第3回次世代農業セミナー』を開催!...
  2. 肥料価格高騰のなか、地域資源循環に高評価! 牛ふん・汚泥・食品残渣などを混合した完熟堆肥を活用...
  3. 喜界町で実践する新しい排水対策。目詰まりしにくい暗渠排水材「ドレインベルト」に迫る...
  4. ハウスの高温対策に! 炭酸カルシウムのパイオニア企業が生み出した遮光資材...
  5. 業界初!60度の急斜面でも草刈り可能な草刈機「ベローン」で安心・安全&ラクな作業へ...
  6. 【家庭菜園】きゅうり栽培で大事なポイントとは?ベストな肥料や正しい栽培方法を徹底解説!...
  7. 水田除草もスマート化! これから活躍が期待できる除草ロボット3選
  8. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  9. 「隅刈り」まで自動化!ヤンマーが新型オートコンバイン3機種を発売
  10. 夏の農作業に必須! 日差しから身を守る帽子6選

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.36|¥0
2025/07/01発行

お詫びと訂正