成功する農業後継 事業承継をうまく進める順番とは?
2018/02/09
ポイント3.営業から入り→財務会計をつかみ→商品の採用を経て→生産責任は最後に担う
農業後継者が、まず小さな成功を収めようと思ったとき、やりやすい部分とやりにくい部分がある。
大抵の農家では、先代は技術に関して様々な工夫と経験を長年積み重ねている。後継者は、最初に生産を覚え、生産で小さな成功を達成しようとする。しかし「生産」では、先代からの評価は上がりにくい。
後継者は、まず「営業」で小さな成功をおさめる方がやりやすい。営業活動で、新規の取引先を見つける・新たな販売形態を実現する・新たな商品を開発するなど。
後継者は、先代に比べ、ITに関する知識や感覚が優れているし、消費の変化を敏感に感じている。先代に一目置いてもらうには、商品開発を含む営業面から手をつけることが、成功への近道といえる。
営業で小さな成功をくり返しつつ、会計財務面を把握し、新たなビジネスモデルを成功させ、最後に生産面の引き継ぎを終える。
この順番が、農業で事業承継をうまくすすめるコツである。
先代・富基さんの事業承継への想いと
若い農業者へのメッセージ
本当は大変な仕事なので、妻にも苦労を掛けてきた。息子には、この仕事はさせたくないと思っていた。息子は、好きな学校を出て、好きな仕事をし、サラリーマンにでもなってくれれば良いと思っていた。
息子が米国から帰ってきて一緒に仕事をし、営業にも出てくれ、生産から販売まで一貫した事業になってきたことで、先進的な農家になってこられたと思っている。息子が、販売を手がけるのが早く、そして販売に本腰を入れてくれたことで事業はよい方向に向かってきている。
その結果、63歳で社長を息子に引き継ぐこともできた。自分はアナログ人間だけど、若い人はデジタルに強い。せがれの頭が柔らかい30代に社長になってもらってよかったと思っている。
われわれの仕事は大変だけど、先を見てどうしようかと考え、仕事に夢を見て、夢に向かって決断し、自ら進めていってほしい。そうすれば、楽しい仕事が作り出せる。農業は、自分で仕事を作り出せる、大きな夢がある仕事だ。自分で、どんな農業がしたいのかを考えてみてください。