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生産者の取組み

老舗りんご園がICTツールの「自社開発」に挑戦!?

りんご発祥の地、青森県弘前市でりんごを育て続けてきた「もりやま園」。長年悩まされていた摘果果の廃棄問題に対し、新たな付加価値を見出すための試みが話題を呼んでいる。これまでの経験と目の前にある現実を見つめ、生産者自らが開発に踏み切った画期的なICTツールとは?

100年続くりんご園を
守りたい

りんご発祥の地、青森県弘前市。ここは面積のうち16%をりんご畑が占めており、今回紹介する「もりやま園」もそのうちのひとつだ。

もりやま園紹介動画(YouTube)より

もりやま園株式会社は、弘前市で100年に渡って、りんごを育て続けてきた老舗園。しかし、8.7ヘクタールもの大規模な土地で生産を行うには、年間75%もの時間を「葉っぱや枝、摘果果(着果不良の実)を捨てる」作業に費やさねばならない。

代表の森山氏は、この大幅なロスを何とか別の形にして売り出せないかと考えたが、「摘果果」はこれまで、農産物として扱うことを想定していなかったため、慣行栽培では農薬が残留する恐れがあるとして、食品には使用できなかった。

そこで自社開発に踏み込んだのが、「ADAM」だ。

PDCAを繰り返して
「ロス」を「付加価値」に変換

5年の月日をかけて完成されたシステム「ADAM(Apple Data Application Manager)」は、一言でいうと生産工程を可視化させるICTツールだ。

大きな特徴は『ツリータグで品種や場所が誰でもわかる』『スマートフォンを使ってりんごの全生産工程を記録する』『作業データを解析してPDCAサイクルを回す』という3つ。

もりやま園では、この技術を活用することで徹底的に生産管理を行い、摘果りんごを安全に使用可能にするための栽培管理手法を実用化したのだ。

そこからさらに3年を経て、摘果果で作ったスパークリングワイン「テキカカシードル」を見事商品化することに成功。

「テキカカシードル」製造工程:もりやま園紹介動画(YouTube)より

既存農家にはない発想と実行力で、「ロス」を「付加価値」へとつなげたもりやま園の取り組みは、6次化や次世代農業をリードするビジネスモデルと言えるだろう。

代表の森山氏は、「りんご園を成長産業に変えて、20年後にこの街に住む人に良い仕組みを残したい」と話す。


そんなもりやま園では、テキカカシードルの発表に伴い、イベントを開催予定!

農作業を見つめ直すユニークな試みや、IT技術を駆使した新しい食ビジネスの面白さを、シードルとともに味わえるというものだ。

イベント日程は2018年3月5日。もりやま園の取り組みやICT活用、6次産業化に興味がある方は、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

■イベント詳細
日時:2018年3月5日(月)19:00~21:00 ※18:30より開場
場所:Yahoo! JAPAN オープンコラボレーションスペース「LODGE」イベントスペース
住所:東京都千代田区紀尾井町1-3 17F ※東京ガーデンテラス2F受付より18Fまでお越しください
アクセス:東京メトロ永田町駅 9a出口直結/東京メトロ赤坂見附駅より 徒歩1分
参加費:¥1,000(当日会場にて現金払い)
申込方法:下記情報を記載の上、メールにて事前予約
①参加者名(ニックネームではなく本名)
②所属(会社名、団体名、個人事業者等の場合は屋号の取得、もしくは「フリーランス」「個人事業主」などを表記)
③メールアドレス(任意)
送付先:sakaya-sakazuki@oiseau.co.jp(酒屋さかずき事務局)

DATA

もりやま園株式会社

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