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生産者の取り組み

格安センサーを自作!? 脱サラ農家の挑戦がすごい!

4月19日、スマートアグリシンポジウム2018が開催された。日本農業情報協会(JAISA)が主催したもので、農業の課題をITで解決する「スマートアグリ」に取り組む企業が、最先端のソリューションや農業ITの未来について語った。今回は、北海道・自ゆう耕場の取り組みを紹介する。

元SEの脱サラ農家が自作
格安マルチセンサーシステム

農業にIoTやAIが導入されることでイノベーションが起こりつつある今、北海道でユニークなチャレンジが行われている。元SEの脱サラ農家が農業マルチセンサーシステムを自作、販売しているのだ。

自ゆう耕場の農業マルチセンサーシステムは、”とにかく安く””センサーが壊れたらユーザーで部品交換が簡単”という目的を持って開発された。何故なら、そのシステムは農家が自分のために安く作りたかったから。代表の堀田さんは元SEの脱サラ農家。その技術を生かして、安価にセンサーを設置したのが挑戦の始まりだ。

スマートアグリシンポジウムで登壇する堀田さん。

「そもそもセンサーを用いてモニタリングシステムを導入したかったのですが、市販品は、とにかく高い! 私は新規就農者でしたが、とてもじゃないけど挑戦してみる気になれなかった。それに当時のベンダーさんは農業をよく知らず、私が知りたかったことを教えてはくれなかった。だから自分で作ってみたわけです」と言う。自ゆう耕場は、ピーマン・ミニトマト・山菜・小麦・りんどうなどを栽培する農業法人。自作したセンサーシステムは、そこで実験され、改良を重ねているうちに、新たな作物(商品)に加わった。

堀田さん自身が新規就農した際、ハウス内環境の把握・管理の難しさを経験した。そのため自身が開発した農業マルチセンサーシステムを、新規就農者に最適な商品として販売している。本システムは、マルチセンサーを多地点に複数設置することで、遠くの圃場やビニールハウス内の環境を、いつでもスマートフォン・タブレット・PCから確認できる。ハウス内環境はクラウドサービスを通じて、分析グラフを表示させることができるほか、閾値設定することで警報メールを受信することも可能。センサー(子機)から無線で親機を経由してクラウドサーバーへ送信する。

本システム最大の特徴は、なんといっても価格にある。最も簡素な親機と子機セットで約8万円~という格安設定なのだ。また自身が農家であることから、設置や運用ノウハウといった、農家が知りたい具体的なアドバイスができることも、大きな魅力となっている。

現在では他社とパートナーシップ契約を結び、モニタリングだけでなく、農業日誌を作成できるところまで、システムのブラッシュアップが進められている。ご興味を持たれた方は是非、同社にコンタクトしてほしい。


株式会社 自ゆう耕場

日本農業情報システム協会


text:Reggy Kawashima

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